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疼痛

ペイン

国際疼痛学会(1985年)の定義
  • 「組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか、このような傷害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験」

「生体組織の損傷あるいは損傷の可能性のある侵害刺激が個体に起こす感覚」
「特殊な神経終末への繁樹によって起こる多少とも限局した不快、苦痛、苦悶の感覚」
うずく (ache)
痛み(pain) ズキズキ (throbbing)
刺すように (piercing)
軽い (slight)
激しい (severe)
一時的 (passing)
断続的 (intermittent)
ずっと(永続的に)痛い (constant)
継続的な鈍い痛み ache
刺すような痛み twinge
発作的な激痛 pang
走っているときや大笑いしているときなどに感じる脇腹の痛み stitch

種類:
  1. 体性痛(somatic pain)(somatalgia)
  2. 内臓痛(visceral pain)
◎疼痛は
  1. 「急性疼痛」と
  2. 「慢性疼痛」とに分類できる
    1. 組織が傷ついた時に感じ、キズが治ると消えるのが「急性痛」
    2. 慢性痛とは、慢性頭痛のように痛みの原因が治っても痛みが続く現象。
    3. ガンや関節リウマチの痛みは慢性痛に似ているが、つねに患部で炎症を起こし続けていることから「持続性の急性痛」と呼ばれる。
◎原因によって「侵害受容性疼痛」「神経因性疼痛」「慢性疼痛」の3つのタイプに分けられる。
  1. 傷害受容性疼痛
    • ・骨折やケガで、体の組織が損傷を受けたときに起こる痛み。
    • ・痛みを受けとる傷害受容器は、皮膚、次いで内臓に多く分布。
    • ・体に異常が発生したときに警告信号を発する役割を担っている
  2. 神経因性疼痛(神経性疼痛)
    • ・中枢あるいは末梢神経の神経組織そのものに障害が起きたときに生じる痛み。
      • ヘルペスウイルスによる帯状疱疹後の神経痛
      • 三叉神経痛
      • 坐骨神経痛
      • 幻視痛
      • 脊髄損傷後の痛みなど
      ・組織障害の警告ではなく、疼痛自体が障害となる。
    • ・日常生活ではあまり経験しない痛み方
      • ヒリヒリ、チクチク、
      • 灼けつくような灼熱感
  3. 慢性疼痛(慢性痛)
    • ・痛みの原因になる疾患が見つからないもの
    • ・以前は・・・「心因性疼痛」と呼ばれていた。
    • ・過去に何らかの肉体的な外傷や孵化を受けた経験がある上に、心理社会的ストレス、筋肉の過緊張、撃縮が起こった場合に起こる。
    • ・神経伝達物質(カテコールアミン、サブスタンスP・・)の以上が契機となり、さらに内分泌系や免疫系も関与して痛みが増強する。
ペイン
クリニック
「麻酔や薬物投与によって患者の痛みを和らげるのがペインクリニック。
ガンの痛みや頭痛・腰痛・術後の痛みを緩和する医療だが、最近、アレルギー疾患や花粉症などに応用されている。
ペインクリニックで主流となるのが薬物治療で、痛みの信号が脳に伝わる神経回路を局所麻酔などで遮断する「神経ブロック」が良く用いられる。麻酔医が担当することが多い。
神経を遮断できる場所は体全体で約50カ所。このうち20カ所が治療に使われる。
星状神経節ブロック
適用範囲が広く治療の中心になっているのは、左右の首の付け根にある星形の神経節を遮断する星状神経節ブロック。星状神経節は胸から上の部分を支配する交感神経のセンター。ここに局所麻酔を打つと交感神経の働きが抑えられて、血管が拡張する。肩こり・頭痛などの痛みは末端の血行の悪さが原因の場合が多いので、血管が拡張し、血液の流れが改善することで痛みが和らぐ。
手術後などで痛みが筋肉をこわばらせ、交感神経が過敏になって別の痛みを誘発する「痛みの悪循環」が起こる。この連鎖を断ち切ることも出来る。
星状神経節ブロックは痛みを伴わない疾患の症状改善にも効果がある。腰痛や頭痛持ちの患者が治療の過程で、不思議と鼻炎の症状などが良くなる事例が増えて「予期しなかった副作用」が判明。
顔面神経マヒや花粉症、アトピー性皮膚炎、突発性難聴や過敏性腸症候群などが代表例だ。花粉症シーズンになると毎年100人前後の患者が来院する昭和大病院の場合、他の治療法ではなかなか良くならなかった難治性患者のうち、約3割に症状の大きな改善が見られた。2シーズンにわたって治療した結果、その次のシーズンからは症状がみられない完治した症例もあった。
花粉症の場合、1日から数日おきに最低30回は治療を受けないと効果が出ない。個人差も大きく、疾患によっては保険適用が無い。
手のひらから汗が流れ落ちる多汗症や、暖かい部屋などにいると顔が真っ赤になる赤面症にも効く。いずれも決め手がなかったが、胸部の交感神経遮断で治ることが分かってきた。遮断法としては局所麻酔ではなく、神経の切除手術が行われる。この治療で実績のあるNTT東日本関東病院の塩谷正弘ペインクリニック科部長によると「過去の症例から判断して多汗症の97%、赤面症の80%は完治する」
ペインクリニックの対象
疼痛性疾患 非疼痛性疾患
「帯状疱疹」
「帯状疱疹後神経痛」
「腰下肢痛」
「腰椎椎間板ヘルニア」
「頸肩腕痛」
顔面神経マヒ
多汗症
花粉症
「顔面痙攣」
突発性難聴
過敏性腸症候群
月経困難症
「赤面症」
異痛症 →「知覚異常


急性疼痛(急性痛)
  • 体に迫った危険を知らせるもので、自分の体が傷つくのを止めさせるネライがあり、病理学的疼痛とも呼ばれる。組織の損傷などの外的要因がつくり出した痛みシグナルが神経系を通って脳に送られ、痛みとして認識される。
痛覚回路(ニューロン)
  1. 後根神経節(DRG)ニューロン(第1段階)
    • その細胞体は、背骨を構成する椎骨の継ぎ目の部分にブドウの房のように固まっており、背骨に沿って頭蓋骨~尾骨まで2列に並んでいる。
    • 各DRGニューロンは両手を拡げたような藿香で、一夫の触手(軸索という神経線維)を体の遠方まで伸ばし、その先の小領域からくる信号を捉えている。もう一方の軸索は脊髄に入り込み、その中のニューロンと接触している。
  2. 髄ニューロン(第2段階)
    • DRGニューロンは第2段階である連なった脊髄ニューロンに痛みの電気信号を伝える。
  3. 脳幹・大脳皮質
    • 脊髄ニューロンはDRGニューロンからきたメッセージを、痛覚回路の最終段階である脳幹、さらに大脳皮質へ伝達する。
    • 左半身が発した疼痛シグナルは、脊髄の中で交差して右脳へ伝えられ、右側からのシグナルは左脳に届く。
急性疼痛は、3つの段階のどこかで情報の流れを遮断すれは緩和できる
  • 抜歯に使うノボカイン(局所麻酔薬)
    • 注射部位に伸びてきているDRGニューロンの軸索の先端の感覚を失わせることでDRGニューロン尾電気発火を抑える。
  • 無痛分娩の脊椎麻酔
    • 痛覚回路の2万目の段階、DRGニューロンの軸索が脊髄の中に入り込み、脊髄細胞に触れるところで痛みの電気信号を止める。
  • モルヒネ注射
    • 第2段階に作用し、脊髄ニューロンが痛みシグナルを伝達するのを抑える。ただし、痛み以外の感覚はそのまま知覚される
  • 全身麻酔
    • 大脳皮質での情報処理に影響を影響を与えて、脳の外から来るあらゆる感覚入力をすべて遮断する。
鎮痛物質
  • もともと体に備わっている鎮痛物質も、痛覚回路の3段階のどこかに働く。
    • アドレナリン・・・・戦闘中の兵士
    • エンドルフィン・・・自然分娩の時



慢性疼痛(慢性痛)
慢性神経因性疼痛(神経障害性疼痛)
  • 神経障害性疼痛
    • ケガなどによる神経損傷の後に起き、いつまでも消えない痛み、不快感、シビレ、灼熱感、刺されるような痛み(穿痛感)、熱感、冷感、腫れなどざまざまな異常感覚を伴う。
    • ケガの他、神経のウイルス感染、糖尿病による末梢神経の損傷、ガンの手術による神経損傷、ガンの化学療法、栄養不足などによって神経が損傷されても、同様に神経障害性疼痛が起きる。
    • ささいな原因から起きる痛みが、いつまでもおさまらず、逆にだんだんひどくなる。たとえば、
      1. ベッドのシーツに軽く触れるだけで、電気ショックのような痛みを感じる。
      2. シャワーを浴びると、お湯がまるでナイフのように感じられる
      3. 車に乗っているときの振動が耐えられない。
  • 神経それ自体の異常な動作のために起きる痛み。
    • 謝ったシグナルが脳に達するために生じる痛みで、急性疼痛と同様にリアルで、しかも消えることがない。
  • 鎮痛薬
    • 通常の鎮痛薬で神経障害性疼痛は緩和できない。その理由は、従来の鎮痛剤はすべてニューロンを標的にしているが、神経性障害疼痛ではニューロンとは別の「グリア細胞」の機能不全によって生じるため、従来の鎮痛剤は無効。モルヒネでさえ効果がない。
外傷から慢性疼痛
  • CRPS(複合性局所疼痛症候群)
    • ・手足の小さなケガや手術後に、その手足や反対側の手足が痛む
      ・末梢のケガなどで発症し、痛みが患肢以外にも広がる。
  • 脊髄損傷後疼痛
    • ・事故や病気で脊髄を損傷し、手足が麻痺し体幹が痛む
  • 脊椎手術後疼痛症候群(腰椎手術後疼痛)
    • ・椎間板ヘルニアなどの腰椎の手術後に腰や脚が痛む
  • 開胸手術後疼痛
  • 腕神経引き抜き損傷
    • ・バイク事故などで腕の神経が引きちぎれ、肩や腕が痛む。
  • 幻肢症・断端痛
    • ・手足の切断後に、無くなっているはずの手足に痛みを感じる
病気から慢性疼痛
  • 糖尿病性神経因性疼痛
    • ・糖尿病による神経障害で手足の末端が痛む
  • 帯状疱疹後神経痛
  • 多発性硬化性疼痛
    • ・多発性硬化症による神経異常で痛む。
  • 中枢性卒中後痛
    • ・脳卒中後に半身の手足や顔が痛む
緩和
  • 人工塩基で・・関与遺伝子発現を抑制
    • 2010年、岡山大学大学院医師薬学総合研究所の大内田守准教授と板野義太郎助教らは、ガンなどによる慢性の痛みを和らげる新しい手法を開発した。痛みに関連する遺伝子の断片を模倣した塩基配列を人工合成し、遺伝子のスイッチが入らないようにジャマさせる。
    • ラット実験で効果を確認。研究チームは、痛み関連する遺伝子を調べるために、ラットの後脚から腰につながる神経をしばり、慢性的な疼痛がある時に活発に働く遺伝子を突き止めた。この遺伝子の働きを抑えて、痛みが出にくくする手法を見つけた。
    • 具体的には、遺伝子のスイッチを調節するプロモーター部分と同じ塩基配列を持つ断片を人工合成した。合成断片が遺伝子の周囲に多数あると、スイッチをオンにするのに必要な転写因子などがプロモーターと見誤ってくっつく。その結果、スイッチが入らず痛みが抑制されるメカニズム。ラット実験では左脚の神経酒をしばった後に、合成した断片約1万個を脊髄に注射した。両脚の裏を様々な大きさの繊維で突き、細くても脚を縮めれば痛みを感じやすく、太くしたときに始めて縮める場合は痛みが弱いと判断した。注射したラットは翌日から、普通のラットと同程度の太い繊維で押すまで反応しなくなった。
  • 巻き貝のペプチド
    1. 2011年、宮崎大学の池田哲也准教授らは軟体動物である巻き貝「ナガニシ」から見つかったアミノ酸の断片(ペプチド)が神経性の痛みを軽減することを突き止めた。幸福感を高める脳内物質として知られるセロトニンを増やすことも分かり、うつ病治療にもつかえる可能性がある。
    2. 研究チームは巻き貝の一種「ナガニシ」の脳神経節(人間の脳にあたる)をすりつぶし、「APGWamide」と呼ばれるペプチドを抽出。糖尿病のラットに投与した。糖尿病になると手足の末端部分に十分な血液が届かなくなったり、ブドウ糖が変化した糖化産物が蓄積したりして痛みが生じる。2週間高血糖が続いたラットの足を刺激すると、引っ込める動作が多くなり、足に痛みを感じていると判断した。ペプチド(APGWamide)を脊髄に投与したところ、引っ込める動作が減少した。
    3. 痛みを感じるほどの刺激を与えると、神経細胞にあるタンパク質が多くなることが知られている。糖尿病による痛みを感じる場合、このタンパク質が正常状態の2倍に増えていた。ペプチドを投与したラットでは正常ラットと同程度に痛みが減ることが確認できた。
    4. また、うつ病モデルのラットの大脳皮質にAPGWamideを投与したときと投与しない時とで脳内物質のセロトニン量を比較したところ、投与時に1.6倍のセロトニンが出ていることが分かった。一方でほかの脳内物質であるノルアドレナリンやドーパミン量は変化しなかった。現在の抗うつ薬では副作用として吐き気やめまいを起こすが、その理由は、ドーパミン量が増えるのが原因と見られている。

神経因性疼痛


線維筋痛症
神経の異常が原因で起きるもので、手術やケガが治った後にも痛みが続く。
神経自体の故障からくる痛みで
   「焼け付くように痛む」
   「突っ張るような感覚」
   「針でつつかれるような痛み」
   「感覚は鈍いのに痛い」
   「風に吹かれると痛む」
   「複数の痛みが同時に起きる」

井上和秀・九州大学教授とトロント大学のソルターらの研究で、このような神経損傷では、脊髄のミクログリアと呼ばれる免疫細胞のATP受容体が活性化する。
ミクログリアは刺激に応じて生理活性物質を放出し、それが神経を過敏にするため神経障害性疼痛が起きる。
サイトカイン
「2009年、九州大学の井上和秀教授らのグループは、異常な痛みが続く慢性の病気である『神経因性疼痛』で、痛みが起きるメカニズムを動物実験で解明した。
神経が傷つくと情報伝達を担うタンパク質『サイトカイン』が増え、痛みが生じていた。
成果は米国科学紀要電子版に発表。
井上教授らは、すでに神経の障害によって脊髄にある神経細胞の一種『ミクログリア』が増え、痛みに関わるタンパク質(受容体)を刺激すると神経因性疼痛を引き起こすことを解明していた。
ただ、ミクログリアが増える理由が分からなかった。
研究チームはネズミを使った実験で、脊髄内でサイトカインの一種『インターフェロンγ』が増え、ミクログリアを活性化して増殖させていることを突き止めた。ネズミの脊髄にインターフェロンγを摂取すると、傷みが増すことも実験で確認した。」
抗うつ剤
異常な痛みが続く神経因性疼痛に、抗うつ剤が有効なことを井上和秀・九州大学教授と美根和典・福岡大学教授らが確認した。
効果を確認したのは『塩酸パロキセン(パキシル)』。
神経細胞から出た神経伝達物質(セロトニン)が再び細胞に取り込まれるのをジャマするSSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤
井上教授は2003年、脊髄で免疫機能を担う細胞の表面で情報伝達に関わるタンパク質『P2X4』が神経因性疼痛の発症に関与していることを突き止めた。
P2X4を抑えるのにパロキセンが有効なことを発見。
ラット実験で効果を確認。
美根教授らは井上教授とは別に33人の患者にパロキセンを投与し、21人が普通の生活を送れるまでに回復した。他のSSRIの抗うつ剤もテストしたが、効果はなかった。
(ブレガバリン)
すでに世界で使用され、実績を積み上げている薬剤。
糖尿病性神経障害に伴う疼痛、帯状疱疹後神経痛、部分てんかん補助治療薬、全般性不安障害として欧州で承認を取得している。

痛みの種類 治療法
身体的痛み
(侵害因子受容性)
nociceptive
筋の攣縮 理学療法、ジアゼパム、非アヘン系鎮痛薬
組織のゆがみ 鎮痛薬
神経圧迫 鎮痛薬、コルチコステロイド、神経ブロック
痛覚求心路遮断(神経破壊) 抗うつ薬、抗ケイレン薬
麻薬、コルチコステロイド
神経ブロック
コルドトミー(脊髄前側索切除術)・・・・・・
(注)末梢神経病変には時に有効、脊髄病変には無効。

電気刺激 2009年、大阪大学、日本大学、北海道大学、福島県立医科大学、浜松医科大学、近畿大学、産業医科大学など7大学は、脳卒中や神経損傷などの後遺症である慢性の激しい痛みを軽減する新しい治療法の臨床研究を始める。
頭の外から脳を磁気で毎日刺激して、薬では抑えられない激痛を和らげる。
脳卒中や脊髄損傷、帯状疱疹、手や足の切断後に感じる激しい痛みやシビレは、投薬や神経ブロックなどの通常の治療法では効果が出ないことが多い。阪大の斎藤洋一准教授らは、大脳で運動を司る領域の特定個所を磁気発生装置で刺激すると痛みが軽くなることを確認。10分刺激すると痛みは3時間軽減でき、重い副作用も無いという。
臨床研究は、患者70人に対して2週間、毎日刺激を与えて効果が持続するかどうかなどを調べる。
PG 痛み強める物質解明
「体の中で痛みを感じるとき、生理活性物質の一種、『プロスタグランジンⅠ』が痛みを増強させる役割を果たしていることが京都大医学部の成宮周教授(薬理学)らの動物実験で分かった。14日付けの英科学誌ネイチャーに発表された。
 プロスタグランジン(PG)が痛みの増強や、炎症、発熱などに関係していることはこれまで分かっていた。しかし、PGは化学構造の違いによってD・E・F・Iなどに区別され、それぞれ違った機能を果たしていると考えられている。
成宮教授らは、遺伝子を操作してPGの中でもPGⅠと結びつく受容体がないネズミを作った。
実験ではネズミの腹部に酢酸を注射して痛みを起こさせた。普通のネズミは30分間に約40回、身をよじるという痛みへの反応を見せたが、PGⅠ受容体がないネズミでは身をよじる回数が約10回に減った。鎮痛薬を与えても同様に約10回だった。
成宮教授は、PGⅠ受容体が無くなったことで痛みはゼロにはならなかったが、PGⅠによる痛みの増強効果は抑えられたとみている。
成宮教授は「PGⅠの働きだけを抑える薬が出来れば副作用が少ない鎮痛薬になる可能性がある」と話している
皮膚刺激 で鎮痛・・・モルヒネに似た物質
2010年、東京都健康長寿医療センター研究所の堀田晴美研究副部長、渡辺信博研究員らとドイツピュルツブルグ大学の研究チームは、病気やケガによる痛みを軽減できる新しい仕組みを発見した。
皮膚に軽く触れるとモルヒネに似た物質が体内に分泌され、痛みを抑えていた。
腹痛や頭痛、けがなどで痛みを感じた場合に患部に近い部分の皮膚を手で触れたり押さえたりすると痛みが和らぐことは経験的に知られていたが、生理的なメカニズムは不明だった。
研究チームは、麻酔したラットの後ろ脚の神経に電気刺激を与え、心臓を制御する交感神経が痛みを感じるようにした。この状態で脚のももの皮膚上にゴム製の重さ12gのおもりをのせて10分間刺激した。
おもりを取り除いてから20分後の交感神経の電位を調べたところ、おもりをのせる前より60%まで減少した。皮膚の刺激で痛みを軽減できることを確認した。
痛みを和らげる物質の正体を探るため、神経細胞が分泌するモルヒネに似たオピオイドという物質に注目。オピオイドの働きを防ぐ物質を体内に入れて、同様の実験をしたところ、おもりを外した後の電位の減少幅が小さくなっていた。
皮膚に触れることでオピオイドが分泌され、痛みを和らげている可能性が高いという。
オピオイドはヒトでも鎮痛作用を起こす物質として、脳や脊髄で分泌される事が知られているが、皮膚に触れるだけで働くのが確認されたのは初めて。


モービック 消炎鎮痛剤・・・・・・・胃腸障害を抑制
「日本ベーリンガーインゲルハイム(川西市)と第一製薬は、新しい非ステロイド系の消炎鎮痛剤「モービックカプセル」を15日に発売。
モービックは体内で炎症反応に関係するシクロオキシゲナーゼ2(COX2)と呼ばれる酵素の働きを強く抑えるのが特徴。これまでの非ステロイド系消炎鎮痛剤は、COX2と同時に他の酵素の活性も抑えていたため、副作用が出ることがあった。
リウマチなどに
「慢性関節リウマチや変形性関節症などの治療に使う。リウマチなどの疼痛にはCOX2が関係している。細胞にはシクロオキシゲナーゼ(COX1)と呼ぶ酵素が存在し、胃や腎臓の粘膜を強化する生理活性物質であるプロスタグランジンを日夜作っている。ところが筋肉が断裂したときなど生体に異変が起きると、通常は休眠状態にあるCOX2が働き、COX2由来のプロスタグランジンが痛みの元凶となる。
1991年まで、COXに2種類あることは科学的に解明されていなかった。それ以前の消炎鎮痛剤はCOX2ばかりか、善玉のCOX1まで止めてしまい、胃腸障害の重い副作用を誘発した。
消炎鎮痛剤は紀元前からヤナギの樹皮に含まれるサリチル酸塩類を使う療法があったが、近代に入って消炎鎮痛剤の幕を開けたのは1892年に開発された「アスピリン」。その後、約60種類にのぼるアスピリン系鎮痛剤が登場した。だが、アスピリンは持続時間が2~3時間と短い。さらにCOX2と同時にCOX1の働きを阻害することで胃腸障害や皮膚のかゆみを引き起こす。
そこで86年に剤形などに工夫を凝らした三共の「ロキソニン」が登場。消炎鎮痛剤は第2世代に入る。第2世代は患部にだけ薬効が届くようにする薬物送達システム(DDS)技術を使い、胃粘膜をあまり傷めずに発生源で痛みを止める仕組みだ。ロキソニンは消炎鎮痛剤の売り上げトップに立った。
日本ベーリンガー・インゲルハイムのモービックは、いわば第3世代。94年に英国の学者が痛みをもたらすCOX2だけを阻害する「夢の薬剤」を理論的に提唱したことで欧米メーカーによる開発競争が始まった。
96年に独ベーリンガー・インゲルハイムが開発に成功し、米メルク、米ファルマシアが追随した。
モービックと第1世代の代表格であるノバルティスファーマの「ボルタレン」を比べると、従来弱点だった消化不良・嘔吐・腹痛などの副作用が「モービックでは統計的に有意に少ない結果が出ている」(壺山泰幸マネジャー)という。国内臨床試験での副作用発現率は16.2%で、6割前後出ていた第1世代に比べ低い値がでた。
一方、効き目ではモービックは、慢性関節リウマチ・変形性関節症など、すべての効能でボルタレンと同等の改善効果があった。ボルタレンは効き目でいえば、第2世代に比べて「切れ味が鋭い」という定評がある。第2世代のロキソニンとの比較ではリウマチ・変形性関節症でモービックの改善効果が高かったという
西洋薬 →「消炎鎮痛薬
「リリカ」・・・ファイザーが開発し、2010年4月、帯状疱疹後神経痛向けで承認を取得。6月に発売。過剰に興奮した神経系において、各種伝達物質の放出を促すカルシウムイオンの働きを抑えて痛みを和らげる。
2010年、11月に、末梢性神経障害性疼痛全般にも使える承認を取得した。
神経障害性の痛みは神経の損傷による機能異常で起こる。非ステロイド系鎮痛薬は効果がほとんど無い。
術後疼痛 術後痛
2010年、関西医科大学の伊藤誠二教授らは、外科手術後の傷口の痛みを和らげるゲル状の鎮痛剤を開発した。
ゼラチン質に染み込ませた薬が1週間ほどかけて徐々に放出され、鎮痛効果が持続することをラット実験で確認した。
伊藤教授と權雅憲教授、海堀昌樹講師らの成果。
外科手術で筋肉や腹膜などを切開後、傷口が塞がるまでの1週間前後続く「術後痛」をうまく取り除くのが目的。
研究チームは、一般的な消炎鎮痛剤のケトプロフェンや局所麻酔剤のリドカインをゼラチン質に染み込ませたシート状のゲルを作製。ラットでテストした。
術後痛に対する処置は通常、点滴などによる鎮痛剤の全身投与や局所麻酔を使っている。こうした方法ではケトプロフェンの作用時間は4~6時間、リドカインの作用時間は1~2時間と短いが、ラットの実験ではゲルが薬をすこしづつ放出し、切開から7日後まで鎮痛効果が続いた。
2ccPA モルヒネに劣らない
2010年、お茶の水女子大学の室伏きみ子教授らはモルヒネに劣らない強い作用を持つ新型鎮静剤に使える物質を発見した。
依存性や幻覚などが起きにくく、安全性が高い。
発見した物質は、粘菌から発見した生理活性脂質の環状ホスファチジン酸(cPA)の一種で、「2ccPA」と呼ぶ、
天然のcPAより数十倍鎮痛作用が高いことを確かめた。
2ccPAには、慢性痛の原因物質とされる「リゾホスファチジン酸」を合成する酵素の働きを抑える性質がある。研究グループはこの性質が鎮痛効果をもたらすという。
強い鎮静剤であるモルヒネは、カンナビノイド受容体を介して作用することが知られており、嘔吐・幻覚・依存性などの副作用がある。
2ccPAはカンナビノイド受容体と結合しないため、こうした副作用を持たないという。
毒性試験でも問題は見つかっていない。

【懸痛】 (けんつう)=ひきつり痛む。
サンツウ (さんつう)=疼痛。
【酸疼】 (さんとう)=わるだるく痛む。
【掣痛】 (せいつう)=ひきつれ痛む。
【走痛】 (そうつう)=痛みがあちこちと移動する。


[霊芝][コウジン(紅参)]
主薬
<漢方医学>
「上に在るは風に属す:(羗活・桔梗・桂枝・威霊仙)を主薬とし、
「下に在るは湿に属す:(牛膝・木通・防已・黄柏)を主薬とすべし
「諸痛を止むるには、乳香・没薬を主薬とすべし」《万病回春》

疼痛(痛み)に用いる漢方薬
漢方薬
  1. アコニンサン
  2. 黄蓍建中湯
  3. 海馬補腎丸
  4. 葛根加朮附湯
  5. 葛根湯
  6. 桂枝加朮附湯
  7. 桂枝加竜骨牡蛎湯
  8. 桂枝茯苓丸
  9. 桂芍知母湯
  10. 五積散
  11. 牛車腎気丸
  12. 芍薬甘草湯
  13. 芍薬甘草附子湯
  14. 小建中湯
  15. 続命島
  16. 疎経活血湯
  17. 大柴胡湯
  18. 大防風湯
  19. 風湿舒筋丸
  20. 桃核承気湯
  21. 当帰建中湯
  22. 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
  23. 当帰芍薬散
  24. 人参湯
  25. 風湿舒筋丸
  26. 八味地黄丸
  27. 風湿舒筋丸
  28. 防已黄蓍湯
  29. 防風通聖散
  30. 麻黄湯
  31. 麻杏甘湯
  32. 苓姜朮甘湯
  33. 六味丸