腸管免疫
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関連情報
常在菌アレルギー」「アトピー」「下痢」「軟便」「便秘」「消化不良」「ガスがたまる」「風邪を引きやすい」「キトサン」「乳酸菌」「ラクチュロース」「ラクトフェリン」「植物発酵エキス免疫」「免疫機能不全

小腸
  • 小腸は、「十二指腸」「空腸」「回腸」からなる消化器。
    • 小腸の長さ・・・・・・3b(生体で)/6b(死亡時)
    • 小腸の直径・・・・・約4cm
    • 小腸の表面積・・・約60坪
  • ぶら下がっている
    • 小腸は、腹部の後壁から腸間膜というカーテン状のものでぶら下げられている。
    • タップリとヒダをとっているので6mでも十分におさまる。
    • 重力でずり落ちないのも、腸間膜で腹腔後壁に固定されているから。
  • 絨毛
    • 小腸の内壁にはヒダがある。表面は絨毛と呼ばれる突起でおおわれている。その長さは約1mm。絨毛の中には、吸収した栄養素を運ぶ毛細血管とリンパ管が通っている。
  • パイエル板
    • で攪拌された食物を消化吸収するのが小腸。
    • アミノ酸やブドウ糖は血管に入って肝臓に運ばれ、脂肪酸やグリセリンはリンパ管から静脈に入って全身に運ばれる。
    • 胃液でも死なない病原菌対策に、小腸には免疫機能もある。腸管免疫といって、ここにはパイエル板という独自のリンパ節があり、腸管上皮内リンパ球<免疫細胞>が存在している。このリンパ球が体に有害な物質を撃退し、体内に吸収させないようにしている。


善玉菌

悪玉菌
健康のバロメーター
腸内には100兆個もの腸内細菌がすみついていますが、有用菌(善玉菌)、有害菌(悪玉菌)、日和見菌(体調が悪くなったり、免疫力が低下すると有害菌に変身)があり、これら腸内細菌の構成割合(バランス)が重要です。有用菌の減少は健康を崩します。細菌のバランスは、便秘、食物繊維の摂取不足、体調や食事の摂取内容により大きく変動します
活性酸素
悪玉菌の作り出す毒素によっても活性酸素が作り出されます
ビタミンC
ビタミンCを腸まで届くほど充分な量を摂取しますと悪玉菌の繁殖を防いだり、発ガン物質であるニトロソアミンなどの合成を妨ぐ、といった優れた働きがあります。
腸内細菌は多種多様の酵素を持ち、有用、有害な多くの物質を生成します。有害な悪玉菌は大腸菌、ウェルシュ菌などの腐敗型細菌群です。腐敗菌はたん白を分解して有害物質産生し、これらが便秘や下痢を起こすだけでなく、老化やがんにも関係します。有用な善玉菌は、ビヒィズス菌、乳酸桿菌などの発酵型細菌群で、炭水化物を発行させて乳酸や酢酸などを作って腸内を酸性に保ち、酸に弱い悪玉菌の増殖を抑えます。善玉菌は腸の動きを良くして消化、吸収を改善し、さらに免疫、がん予防などに関連しています。
 ご飯や芋などの炭水化物を豊富にとると善玉菌が増加し、一方、肉のたん白質、脂質を多くとると悪玉菌が増加し、善玉菌が減少します。野菜の食物繊維は善玉菌を増やします。40歳代までは善玉菌と悪玉菌はバランス良く維持されますが、高齢とともにビヒィズス菌などが減って、ウェルシュ菌や大腸菌などが増加します。ウェルシュ菌などが産生する腐敗物質のため、高齢者の便は臭くなります。
最近、小腸の乳酸桿菌には免疫力を高めるインターフェロンを増やす働きがあることが分かりました。ストレスや体力の衰えた時には悪玉菌が優勢になり、免疫力が低下します。細菌バランスの崩れが発がんや感染に対する抵抗性に影響します
乳酸菌
乳酸菌の中には、いわゆる善玉菌と悪玉菌がいます。
有害な悪玉菌は大腸菌、ウェルシュ菌などの腐敗型細菌群です。
腐敗菌はタンパクを分解して有害物質産生し、これらが便秘や下痢を起こすだけでなく、老化やがんにも関係します。食べた食物を腐敗させることによって、毒素や発ガン物質まで作り出してしまうのです。つまり、ガン、動脈硬化、肝臓機能障害、老化などといった好ましくない状態を促進したり、善玉菌の消化促進機能や一部のビタミン様物質の合成も阻害されてしまいます。
有用な善玉菌は、ビヒィズス菌、乳酸桿菌などの発酵型細菌群で、炭水化物を発酵させて乳酸や酢酸などを作って腸内を酸性に保ち、酸に弱い悪玉菌の増殖を抑えます。さらに善玉菌は、一部のビタミンなどの合成や免疫システムの機能支援、栄養素の消化吸収を助けたりといった無くてはならない働きをします。このため、各種の乳酸菌(ビフィズス菌、アシドフィルス菌など)や乳酸菌の餌となるオリゴ糖などを摂取することを心がけることが重要になってきます。フラクトオリゴ糖はビフィズス菌やアシドフィルス菌の餌ともなるのですが、悪玉菌の餌とはならないのです
免疫獲得 腸管に免疫獲得機能
京都大学の研究チームは、栄養を吸収する腸管が免疫獲得の機能を持つことを見つけ英科学誌ネイチャーに発表した。腸管免疫の研究が進めば、効き目の高い経口ワクチンの開発につながるとみられる。
京都大学医学部の本庶教授とシドニア・ファガラサン研究員らが、マウスの小腸にある粘膜固有層の細胞を分離して実験した。サイトカインなどの炎症を起こさせる物質を培養液中に加えると、免疫の仕組みを起動させる「クサススイッチ」という反応が起こる。抗体を作る細胞に変化が起き免疫を獲得することを確認した。免疫の獲得は通常、リンパ球が細菌などの異物が体内に取り込まれると変化し、異物に特異的に結合する抗体を作るようになる。
これまでは免疫組織で免疫獲得が起こり抗体を作るリンパ球が全身に送られると考えられていた。消化器である腸管で免疫獲得が起こることを突き止めたのは初めて
高繊維食 人間の体内に生息する腸内菌はほぼ100種類、重さ約1500gに上る。見方を変えれば、人間はこれだけの菌を“飼育”しているとも言える。この集団の新旧交代は激しく、排便乾燥物の30%は菌体が占めている。
腸内菌も生き物なので、当然えさが必要である。
基本は食物の未消化成分、いわば残飯である。
これ以外に腸壁からはがれ落ちた粘膜細胞や腸管内への分泌物も腸内菌の栄養源になっている。これらのえさしだいで菌の勢力分布も違ってきて、病気の原因をつくったりする。
肉食過多の欧米人に大腸ガンが多いのは、腸内菌の影響というのが定説。
脂肪をたくさん摂取すると、消化のために必要な胆汁酸が多量に出てくる。高脂肪食を続けると、胆汁酸をえさとする腸内菌が盛んに増殖する。この菌の代謝作用によって、胆汁酸から発ガン物質が出来ることが分かっている。
高タンパク食では消化吸収しきれなかったタンパク質が腸内菌のえさになる。
タンパク質を構成するトリプトファンというアミノ酸からは、腸内菌の代謝作用で発ガン性物質のインドールが出来る。
一方、野菜・イモ・豆などの高繊維食では、発ガン性物質をつくる腸内菌の勢力は抑えられ、体に有害な腸内菌が優勢になるようだ。
代表的食物繊維のセルロースをたくさん摂取するとビタミンB群を生産する菌が増えて、ビタミン不足になりにくいという。
ニューギニアには、極端なタンパク食に適応している人たちがいる。その腸内からは、タンパク質を生産する菌が見つかっている。まるで、腸内菌が人間に食物を提供しているようだ。徹底した菜食主義者の腸内菌もこれに似てくるという報告もある
免疫関連
遺伝子
AID
京都大学医学研究科の本庶祐教授らのチームは、免疫に関する遺伝子『AID』が壊れると、小腸内の細菌が異常繁殖して全身に免疫不全症状を引き起こすことを動物実験で確認した。
AIDが欠損したマウスを作ったところ、リンパ節や扁桃腺が腫れ、小腸にポリープ状の突起が多数出来ていた。さらに詳しく調べると、小腸内で酸素を嫌う嫌気性細菌が通常の約100倍に増えていた。
抗生物質を投与して嫌気性細菌を減らすと、リンパ節などの腫れは引いた。細菌の異常繁殖が免疫の機能を妨げていた証拠になる。
人間でも原因不明のポリープ状の突起が出来る場合がある。研究チームは抗生物質を投与して治療できる可能性があるとしている。
AIDは本庶祐教授らが1999年に見つけた。異物を攻撃する抗体を作り出す際に働く。成果は米科学誌サイエンスに掲載
腸内細菌・・・抗体で制御
  • 2011年、京都大学の本庶佑客員教授や長浜バイオ大学の新蔵礼子教授らは、腸内細菌を制御する免疫の仕組みを解明した。
  • 細菌の種類に合わせて抗体の形を変える細胞の突然変異が重要な役割を果たしていた。
  • 成果は1/24ネイチャー・イミュノロジー(電子版)に掲載。
  • 抗体は細菌などの抗原に結合して体内を守る役割を持つ。
  • 「AID」という酵素の働きにより、抗原の種類に合わせて結合部の形を変えるため、体細胞が突然変異を起こす。研究チームはそのメカニズムを調べた。
    1. 遺伝子操作でAIDを変異させて体細胞突然変異の起きないマウスを作製。
    2. 初めての抗原への変化を見るためにこれら毒素を投与。
    3. 通常は、すべて生存するのに、遺伝子操作したマウスは約6割しか生き残らなかった。
    AIDに変異があり体細胞突然変異が起きないと、腸内細菌の制御が不十分になり抗原への抵抗力も低かった。
  • 本庶客員教授は“(酵素の変異により)病気になる可能性がある”と指摘。アレルギーや生活習慣病などに関わっている可能性がある。
TLR Toll様受容体
一度もお目にかかったことのないウイルスや細菌に接触したときに働くのが自然免疫システムと呼ばれるものです。様々な病原体が作り出す特有の分子を認識し、これらの異種分子を感知すると、自然免疫システムは炎症反応を引き起こします。
ある種の免疫細胞が侵入者のまわりを取り囲み、それが広がるのを抑える。さらにこれらの細胞の活動や分泌される化学物質によって、感染したところが赤くなったり腫れたりして、発熱や身体の痛みなどの症状が引き起こされる。
こうした炎症の引き金になるのは『Toll様受容体』だ。この受容体は自然免疫を引き起こすタンパク質ファミリーの1つで、その起源は古く、系統的に遠く離れたカブトガニからヒトまで生物界に広く見られる。
もしToll様受容体がうまく働かないと、すべての免疫システムは崩壊し、身体は感染に対して全く無防備な状態となる。その一方で、Toll様受容体が強く作用しすぎると、「関節炎」や「全身性エリテマトーデス」「心血管障害」など、慢性的で深刻な炎症を特徴とする疾患を引き起こしてしまうTLR1〜TLR5が知られている。

司令塔役の細胞
TLR5
大阪大学の審良静男教授らのグループは、食物に紛れて体内に入り込む病原菌を見つけ出し、免疫反応を引き起こす司令塔役の細胞を小腸で発見した。
腸内で活動する有益な『善玉菌』には反応せず、<真の敵>だけを見分ける。
生体には複雑な免疫機構があるが、今回発見した細胞は、外敵なら何でも攻撃する「自然免疫」を担っている。科学技術振興機構との共同研究で、成果は2006年7/9付けの「ネイチャーイムノロジー」に掲載。
小腸の粘膜を調べ、『TLR5』と呼ぶ特殊なタンパク質を持つ細胞を発見。遺伝子操作でTLR5を持たないようにしたマウスの実験などから、この細胞がTLR5を利用して病原菌の鞭毛にあるタンパク質を検出し、体の免疫反応を引き起こす役目を果たすことが分かった。
腸に定着している善玉菌は、病原菌より鞭毛が少ないなどの違いがあるので、免疫の不要な攻撃を受けない。これまで善玉菌と病原菌を見分けて免疫が働いていることは知られていたが、どういうふうに識別しているのか仕組みが分からなかった。
この細胞を活性化できる飲み薬を開発できれば、食べるワクチンが出来る可能性がある。2006年7/10《日本経済新聞》

腸内細菌
  • 腸内細菌の種類・・・成人のヒトの場合
    1. ファーミキューテス類・・・腸内細菌全体の85%以上を占める。
      • ギリシャ語で強い(firmus)皮(cutis)を意味する。細胞壁が頑丈なのでこの名がついた。
      • バクテロイデーテス類より、食べ物をエネルギー源に変える効率が高い。
    2. バクテロイデーテス類
  • 腸内細菌の働き
    1. 消化を助ける
      • 小腸で消化・吸収しきれなかった食べ物や、ヒトが消化できない多糖類などを分解する。
      • 腸内細菌がもたらす栄養として・・・アミノ酸やビタミン、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸)などが知られている。
    2. 免疫系
      • 獲得免疫は、人体に入り込んだ異物(抗原)を、「抗体」というタンパク質を使って攻撃し、取り除く仕組み。抗原の情報を元に、1種類の抗原に対して1種類の抗体がつくられる。
      • 腸内細菌は、体の免疫系を刺激して、抗体の元となる物質を作らせる働きがある。抗体を持たない無菌マウスでは、普通のマウスに比べて抗体をつくるタンパク質(免疫グロブリン)の量が少ないことが知られている。
    3. 病原菌の感染を防ぐ
      • 常在菌が生息していることで、病原菌は十分な栄養や生息場所が確保できない、と考えられている。
      • 常在菌が作り出す酸によって腸内は弱酸性に保たれているので、病原菌は生息しにくい。
    4. 肥満を起こす細菌群・・・2009/nature
      • 肥満型のマウスから腸内細菌群を取りだして、無菌のマウスに移植すると、生活環境や食生活は変化していないにもかかわらず、肥満になった。
    5. メタボリック症候群・・・2010/4/9Science
      • メタボリック症候群のマウスから腸内細菌を取りだして、無菌マウスに移植したところ、このマウスがメタボリック症候群になった。
  • 培養困難
    • 腸内細菌の大半が培養困難。35年間に腸内細菌の新種を多数発見。人の腸内環境を10パターンに分けられるという。(辨野義己・理研特別招聘研究員)
  • メタゲノム
    • 人間の体内や海中・土中にいる微生物を丸ごとまとめて遺伝情報を読み取る研究手法がメタゲノムという手法。
      人間の腸内細菌をメタゲノムで調べているのが服部正平・東京大学教授。
      “これまで遺伝子を調べることができたのは培養で増やせる微生物だけ。実はほとんどの微生物は培養できない。培養できるものも、できないものも区別せず、たとえば海水1g中(土壌1g中)の微生物群の遺伝子を丸ごと調べるのがメタゲノムだ”(服部教授)
      “見つけた遺伝子を手掛かりにしてその持ち主の微生物を探し出すことはできるまた、単純な構造の微生物体を人工的に合成して、有用遺伝子を組み込むこともできるようになりつつある”
      “腸内細菌の研究は歴史があるが、ビフィズス菌が多い方が健康的だというように大きな傾向しか分かっていなかった。腸内細菌のゲノムを見ると、病気の人と健康人では構成が違う。離乳前の赤ちゃんと離乳食をとりはじめた赤ちゃんとでも違う。個人差もある。それが飲み薬の吸収の差にもつながっているらしい”
      “人間が病気にかかりやすい・・・かどうかは遺伝的なものだけでは決まらない。生活習慣も関係する。食べた物が腸内細菌と、相互にどうかかわり合うかも重要だ。”
      “生活習慣は脂肪の摂りすぎといったアナログ情報でしか表せないが、腸内細菌のゲノムは計量可能なデジタル情報。体質や病気の診断に役立てられる”
      “私が知る微生物は氷山の一角です。地球に住む微生物の0.01%しか知らないのです”(服部教授)
  • ゲノム解明
    • 2007年10/18、服部正平・東京大学教授らのグループが、日本人の腸内にすむ様々な細菌のゲノム(全遺伝情報)を解明したと発表。
      離乳前後で腸内細菌の遺伝子の種類が大幅に異なることが判明した。
      腸内細菌はビフィズス菌や大腸菌など約1000種類ある。
  • 新生児・・・出生前から
    • 2011年、フランスのパスツール研究所は、新生児が生後すぐに腸の免疫が働くように、生まれる前から準備している現象を発見した。
    • この仕組みが生後も腸内の細菌をバランスよく制御し腸管免疫の維持に役立っていることも解明した。沢新一郎研究員は“自己免疫疾患や新生児の腸炎の病態解明につながる”と語る。
    • ネズミの腸管免疫の仕組みを分子レベルで解析し、出生直後の新生児に腸の表面から殺菌物質を分泌する免疫機能が備わっていることを確認した。
    • これにより、新生児は生れた直後に大量の病原体にさらされても体を守れるという。
    • 胎内の無菌状態で育つ胎児に免疫は無いと考えられてきた。
    • 新生児の免疫系には特殊な白血球がかかわっている。この白血球は病原体の刺激を受けなくても腸で免疫機能を働かせる役割を持つ。一方でこの仕組みは腸内の細菌を殺しすぎないように、腸内細菌が減った場合には殺菌物質の分泌を抑える機構を備えていることも分かった。
  • 潰瘍性大腸炎
    • 大阪大学の研究チームは、難病の潰瘍性大腸炎クローン病が発症する仕組みをマウス実験で突き止めた。
      腸内細菌によって過剰に放出されたATP(アデノシン三リン酸)が免疫細胞の分化を促し、炎症を誘発する物質を多く作り出していた。
      成果は2008年8/21ネイチャー電子版に発表。
      潰瘍性大腸炎クローン病は炎症性腸疾患と呼ばれ、体の免疫システムの異常が発症の引き金と考えられている。欧米では多い病気だが、日本でも増えつつある。
      阪大の竹田教授と本田賢也准教授らは、これらの病気発症との関連性が指摘されている『Th17細胞』という免疫細胞に着目し、マウスを使って働く仕組みを詳しく調べた。
      腸管にTh17細胞の分化に関わる樹上細胞が存在し、樹状細胞が活性化すると炎症性サイトカインが放出され、Th17細胞も数多く作られることが分かった。
      樹状細胞を活性化するのが[ATP]で、腸内の常在菌によって放出されることも分かった。
      ATPは細胞内のエネルギー源として知られているが、免疫にも深く関係していた。ヒトでも同様の仕組みがあると見られている。
    • 細胞内のエネルギー源として知られるアデノシン三リン酸(ATP)を腸内の細菌が過剰に放出すると、腸管に存在する免疫細胞の樹状細胞を刺激し、炎症を誘発する物質が増えることを突き止めた。
  • リンパ組織に発見
    • 2010年、東京大学の清野宏教授らは、腸内部のリンパ組織に住み着いている腸内細菌を発見した。これまで腸の粘膜上にいる細菌は知られていたが、内部で細菌が見つかったのは初めて。
    • 清野教授らは、小腸の粘膜で免疫に関わる「パイエル板」というリンパ組織に着目。マウスから取り出したパイエル板を解析したところ、内部にアルカリゲネスという細菌が共生していた。
    • 組織の内部ではパイエル板だけに存在してるという。
    • 腸内部が無菌のマウスに細菌を口から与えると、パイエル板の内部にだけ入った。リンパ組織にワクチンなどを届ける手段に応用ができるかも。
    • サルや人のパイエル板の内部にも同じ細菌が共生していることを確認。
    • 腸の中には腸内細菌が住み着いているが、免疫作用で除去されないのはなぜか?不明。
  • 海藻消化酵素
    • 2010年、日本人の腸内細菌には北米人では見られない酵素の遺伝子がある・・・という報告をフランスとカナダのグループがまとめた。
    • 成果はネイチャーに発表。
    • 日本人13人と北米人18人の腸内細菌のゲノムを網羅的に解析。日本人の腸内細菌だけから、ノリの仲間をエサにしている海洋微生物が持つ、炭水化物を分解する酵素を作る遺伝子が見つかった。
  • 腸内細菌のバランスをチェック
    • 理化学研究所は、おなかにいるありふれた腸内細菌のバランスを調べるサービスを事業化する。便に含まれる悪玉細菌と善玉細菌の割合や、病気と関係する菌の有無から健康状態をチェックする手法を考案。
    • 2011年にも「おなかクリニック研究所」を設立する。
    • 人の体には大腸を中心に500〜1000種類の腸内細菌がいる。
    • 大腸癌と関連の深い菌や糖尿病予備軍の人に特徴的な菌の組み合わせも分かってきている。
    • 便の潜血反応などで異常を見つける前に病気の兆しや健康状態を知るバロメーターとして注目されている
    • 理研では辨野義己・特別招聘研究員らが日本人のデーターベースを構築中。
  • 過剰な免疫反応を抑える
    • 2010年、東京大学の本田賢也准教授らとヤクルト中央研究所のチームは、過剰な免疫反応を抑える細胞が腸内細菌の働きで増えることをマウス実験で突き止めた。
    • 成果は12/24のサイエンス(電子版)に掲載。
    • 正常マウスの腸内細菌約500種類を調べると、「クロストリジウム属細菌」がいた場合に、免疫の暴走を抑える免疫細胞「Treg細胞」が多かった。
    • クロストリジウム属細菌を腸内細菌がいない無菌マウスに飲ませると、Treg細胞が約4倍に増え、正常マウスと同じになった。
    • クロストリジウム属細菌がいるとサイトカインという物質が体内にたくさん出てくる。
    • Treg細胞はサイトカインの作用で増えることが知られている。
    • 炎症性大腸炎などの患者では免疫の過剰な反応を和らげる免疫細胞「Treg細胞」が少なくなっている。
  • 常在細菌が抗体刺激
    • 2011年、東京医科歯科大学の樗木俊聡教授らは、腸管内を病原体などから守っている免疫の仕組みを明らかにした。
    • 常在菌の影響で、腸管の表面にある抗体が分泌されることが分かった。
    • 成果は米科学誌イミュニティー(電子版)に掲載
    • 腸管や皮膚の粘膜では、病原体から防御するために「IgA」と呼ぶ抗体が分泌されている。IgA(免疫グロブリンの一種)は病原体が感染していないときにも常につくられており、分泌の仕組みがよく分かっていなかった。
    • 研究チームは、マウスの腸管粘膜の組織から、抗体の産生にかかわる「樹状細胞」などを取りだして調べた。その結果、樹状細胞の一部を好採算性細胞と一緒に培養すると、IgAが作られた。
    • また病原体の感染などで分泌され樹状細胞に働きかける物質「T型インターフェロン」に着目。この物質が作れないマウスではIgAが作りにくくなっていた。
    • 常在細菌がいないマウスではT型インターフェロンが作られないことから、常在細菌が刺激になりIgAが産生されると推測している。
  • SFB・・・免疫高める菌
    • 2011年、東京大学の服部正平教授とヤクルト中央研究所のグループは、腸の常在菌の一種で、免疫を高める作用がある細菌「SFB」のゲノムの解読に成功した。
    • SFBはマウスやラット、ウサギなどの腸の上皮細胞の上に強く張り付いている常在菌。
    • 白血球の一種であるT細胞やリンパ球を増やし、外部からの細菌感染を防御するなどの役割を果たす。
    • 理化学研究所、麻布大学、国立遺伝学研究所との共同成果。
    • 研究チームはSFBを混ぜたエサを無菌マウスに与え、腸内でSFBを増やした。取りだして高速にゲノムを調べられる次世代シーケンサーで解読すると塩基数は大腸菌の1/3程度の150万個で、約1400個の遺伝子を持っていた。
    • 現在知られている腸内細菌の中で最小だという。
  • 制御性T細胞
    • 白血球の仲間であるT細胞の一種である制御性T細胞。通常は胸腺で作られ、免疫が活性化するのを抑える働きがる。
    • 米ワシントン大学の研究チームはマウスの腸の中で、腸内細菌を抗原としてできる制御性T細胞があることを発見。腸内の粘膜上で免疫寛容を引き起こしていることを突き止めた。
  • 腸内で細菌が作る物質を検出
    • 2012年、理化学研究所と協同乳業などのチームは、マウスの腸内で生息する細菌が作り出す物質を検出することに成功した。
    • 約120種類が見つかった。
    • こうした細菌は腸内の環境を整え、健康に影響を与えるとされるが、実際にはどの物質が影響しているのかよく分かっていない。
    • 腸管内にあるとは思われていなかった物質が多数見つかった。
    • たとえば、細菌が腸内に胃内状態を人工的につくり出したマウスでは、細胞などが酸化された時に出るストレスマーカーも「オフタルミン酸」が検出された。しかし腸に細菌を持つマウスでは見つからなかった。