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ウイルス療法
ウイルス療法とは?
  • ガン細胞の中にウイルスを侵入させて殺す治療法。
    ガン細胞が増殖する際に、特定の酵素を出していることに注目して開発された。
    ウイルスの遺伝子を組み換えると、酵素を作り出しているガン細胞の中でだけでウイルスが増殖し、正常な細胞では増殖しなくなる。
    1995年に米国で動物実験が始まり、98年から臨床試験が進んでいる


ガン細胞だけをウイルスに感染させる
  • 種痘用ウイルスや麻疹ウイルスを血管に注射すると、全身に流れて病巣にたどり着き、ガン細胞に感染する。
  • ガン細胞を殺すだけでなく、周囲のガン細胞にも感染を広げ腫瘍が小さくなったり消えたりする。




患者の負担が少ない
  • 手術や抗がん剤に比べて患者の負担が少ない。
  • 注射して血流にのって広がれば、手術では取り切れなかった小さなガンや転移したガンを攻撃できる。
  • その一方で、以下の弱点がある。
  1. 治療用のウイルスを注射しても免疫の働きで排除されてしまい病巣に届かない可能性がある。
  2. 繰り返し使うと、ウイルスに対する免疫が働いて効果が落ちる恐れがある。
  3. 治療用ウイルスが体内で増殖するうちに変異し、正常な細胞を攻撃する可能性もある。










脳腫瘍
  • 2014年12月、脳腫瘍の患部に遺伝子組み換えヘルペスウイルスを注射して治療する臨床試験を始めた。
  • これまでの臨床研究では、副作用はほとんど無く、治療効果も確認できた。
  • 東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授


肺ガン膵臓ガン
  • 天然痘の予防接種に使われていたワクシニアウイルスを使って「肺ガン」や「膵臓ガン」を治療する技術を開発した。
  • 遺伝子組み換え技術で、ガン細胞にだけ感染した時だけ増殖し、正常な細胞では増殖できないようにした。
  • 腹部に人間の膵臓ガン細胞を注入したマウスで実験。
  • ガン細胞の90%以上が死んだ。
  • 中村准教授は“もとはワクチン用のウイルスなので安全性は高い”と語る。
  • 鳥取大学の中村貴史准教授


乳ガンを対象。


麻疹ウイルスの一種が乳がん細胞の表面にある「PVRL4」というタンパク質にくっついて感染することを見つけた。
  • 乳がん細胞だけで増殖し、正常な細胞には感染しないようにウイルスを遺伝子操作した。
  • 人間の乳がんを移植したマウスに注射すると、ガンはほとんど増殖せず、病巣のガン細胞のほとんどが死滅した。
  • 健康なサルやイヌに投与しても副作用は出なかった。
  • 東京大学の甲斐知恵子教授


乳がん・肺がん

2016年、甲斐知恵子・東京大学教授

麻疹ウイルスを使いガン細胞を攻撃する治療法を開発した。

マウス実験で、乳がん細胞や肺がん細胞に効果があった。
  • ガン細胞の表面にある「ネクチン4」という部分を目印に、麻疹ウイルスがガン細胞に入る
  • 直後に増殖して細胞を壊す。
  • 麻疹ウイルスは白血球などにも感染するが、遺伝子組み換えで白血球を認識できないようにした。
  • 研究チームは、ヒトの乳がん細胞や肺がん細胞をマウスに移植し、40日後の腫瘍の体積を調べた。
  • その結果、ウイルスが作用した腫瘍は大きくならなかった。





微小ガンをウイルスで殺す
2015年、岡山大学の藤原俊義教授らは、大腸からリンパ節に転移した微小ガンをウイルスで殺す治療法を開発した。

岡山大学では同じウイルスで食道ガン を治療する臨床研究が進行中。

大腸ガンは早期発見で、ガンが粘膜の中にとどまっていれば、内視鏡手術で除去できる。しかし、粘膜に深く入り込むと、10~20%の確率でガンがリンパ節に転移している。現在では、患部とリンパ節を除去することが多い。


マウスの実験では、直腸表面に人間の大腸ガンを移植し、リンパ節に転移した段階でテストした。

大腸ガンを手術で取り去るときに、患部の下にウイルスが入った溶液を注射したところ、7日後にはリンパ節に転移したガンが消えていた。

比較に、多くのガンに使うシスプラチン (抗がん剤)を注射したときは、ガンは小さくなったが、無くなることはなかった。

治療用のウイルスはアデノウイルスを改変して作った。
  • 正常な細胞では増殖せず、ガン細胞に多い酵素「テロメラーゼ」が働く環境で増殖する。


サバイビン遺伝子
  • 2015年鹿児島大学が臨床試験を予定。
  • ガン細胞の中でだけ増殖してがんを死滅させるウイルスを投与する医師主導の治験を始める。
  • 対象は、骨や筋肉にできた腫瘍のうち、抗がん剤や放射線治療で効果が認められない患者。
  • 投与するウイルスは鹿児島大学の小戝健一郎教授を中心に作製。がん細胞で特に活発に働く「サバイビン」という遺伝子を利用して増殖するように遺伝子を改変した。
  • サバイビン遺伝子はほとんどのガン細胞で活発に働いているが、正常な細胞ではほとんど働かない。







ウイルスでガンを破壊
2016年、東京大学の谷憲三朗特任教授らは、ガン細胞の中で増えてガンを死滅させるウイルスを開発した。

大腸などにいる「コクサッキーウイルス」を改良した。

ガンで活発に働く「チロシンキナーゼ」などの酵素を利用して増殖する。
  • サルを使った実験で成功した。

ウイルスのRNA(リボ核酸)に正常な細胞にだけある2種類の「miRNA」が結合すると、ウイルスが死ぬようにした。
  • 正常細胞でウイルスが増える危険を避けるため。

抗ガン剤が効かなくなった乳がんの細胞をマウス移植した。
  • ウイルスを投与して約3週間後に腫瘍の大きさを調べた。
  • その結果、約1/4に抑えられた。





腫瘍溶解性ウイルス薬
オプジーボ(抗PD-1抗体)は
臨床試験で患者の2割~3割しか効果がないことが分かってきた。
  • そこで注目されているが腫瘍溶解性ウイルス薬。

(腫瘍溶解性ウイルス)
  • 細胞に感染するとガン細胞では増殖するが、正常細胞では増殖しない特殊なウイルス。
  • ガン細胞にだけ存在するタンパク質を利用して増殖する。
  • ガン細胞では猛烈に増殖し、最後はガン細胞を溶解して、ウイルスを放出する。放出されたウイルスは、さらに周辺のガン細胞へ感染する。
  • 化学抗ガン剤や分子標的薬では延命効果を期待出来ない患者がいることも分かってきた。腫瘍溶解性ウイルスはガン細胞に壊死を誘導し、患者の免疫系を強く刺激する。
  • 活性化した患者の免疫系は溶解したガン組織から遊離したがん特異的な抗原を認識し、ガン細胞を攻撃するキラーT細胞を誘導する。
  • その結果、転移したガン細胞も患者の免疫系が見逃さずに、長期間にわたってガンの再発を抑止する。

(オプジーボと併用)
  • オプジーボなどは患者のキラーT細胞のガン細胞に対する攻撃にブレーキをかける免疫チェックポイントを阻害する。
  • オプジーボと腫瘍溶解性ウイルスを併用すると、がんに対する患者の免疫力を最も効果的に増強し、延命を実現する可能性がある。





腫瘍溶解性ウイルス薬  
商品名 開発企業 開発状況(2016/11)
T-VEC 米アムジェン 2015年欧米で発売
CAVATAK 米ビラリティクス 治験フェーズ2
HF10 タカラバイオ 治験フェーズ2
G47Δ 東京大学医科学研究所・第一三共 治験フェーズ2
テロメライシン オンコリスバイオファーマ 治験フェーズ1




ウイルス  

ガン
  

重粒子線がん治療










    
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