Congestive Heart Failure |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 関連情報 |
「うっ血性心不全」「バチ指」「心不全」「心臓病」「腹水」「肝機能障害」「ドキドキ」「呼吸困難」「チアノーゼ」「尿量減少」「むくむ」「浮腫」「肝臓肥大」「脾腫」「息切れ」「突然死」「ステロイド」「赤血球」「SOD」 |
| うっ血性心不全 (厚生労働省) 英語名:Congestive Heart Failure 同義語:Chronic Heart Failure |
|
| 心臓から全身に身体が必要とする量の血液を送り出すことができなくなり、肺に血液が貯まってきて、息切れ、疲れやすいなどの症状を示す「うっ血性心不全」が、抗不整脈薬、β遮断薬、副腎皮質ステロイド薬、解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)、抗がん剤などの医薬品によって引き起こされる場合もあります。これらのお薬を服用していて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに医師・薬剤師に連絡してください。 | |
| 1.うっ血性心不全とは? | |
| 心臓は、肺と全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。うっ血性心不全は、「心機能障害」の一つで、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などさまざまな原因により心臓のポンプ機能が低下することにより引き起こされます。心臓が全身に血液を十分送り出すことができなくなると、肺にうっ血が生じ、息苦しさ、むくみ、疲れやすさなどさまざまな症状が出現します。 急激な体重増加、脈拍の増加、尿量の減少などがあります。 うっ血性心不全という副作用をおこす原因となる医薬品としては、さまざまな種類のものがあり、抗不整脈薬、β遮断薬、副腎皮質ステロイド薬、解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)、アントラサイクリン系抗がん剤(ドキソルビシンなど)、などが知られています。 |
|
| 2.早期発見と早期対応のポイント | |
| 「動くと息が苦しい」、「疲れやすい」、「足がむくむ」、「急に体重が増えた」、「咳とピンク色の痰」などの症状に気づいた場合で、医薬品を服用しているときには、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。 なお、医療機関を受診する際には、症状の内容、服用している医薬品の種類と量、服用からどのくらい時間が経っているのかなどを担当医師もしくは薬剤師に伝えてください。他の医療機関で処方された医薬品や市販の医薬品などについても服用していれば、伝えてください。 |
|
| (1)早期に認められる症状 | |
| 労作時の息切れ、易疲労感、発作性の夜間呼吸困難注)、咳嗽(せき)、血痰(泡沫状・ピンク色の痰)といった息苦しさ(肺うっ血症状)、および下腿浮腫、腹部膨満、食欲不振、陰嚢水腫、急激な体重増加といった全身うっ血症状が特徴的症状である。 重症例では、尿量が低下(夜間多尿)し、手足の冷感、倦怠感、意識混濁といった低心拍出性循環不全症状が出現する。 感冒症状に似た喘息様のせきには注意を要する。 医療関係者は、上記症状のいずれかが認められ、その症状の持続や急激な悪化を認めた場合には早急に入院設備を有した循環器科のある専門病院に紹介する。
|
|
| (2)副作用の好発時期 | |
| 原因医薬品やその発症機序によって好発時期は異なる。ドキソルビシン(アントラサイクリン系抗がん剤)は、生涯累積使用量が500 mg/m2以上に達すると心筋障害が発症するとされている。また薬剤による心筋炎は、被疑薬投与から数時間から数日で発症する中毒性心筋炎と、発症までに数日から数ヶ月かかる過敏性心筋炎とが存在する。 | |
| (3)患者側のリスク因子 | |
| ・ 心不全の既往がある患者は、薬剤による心不全症状が出現しやすい。そのため、明らかに心毒性作用を有する薬物では、心筋障害を発症するとして知られている通常の生涯累積閾値以下でも心不全をきたすことがあるので注意を要する。 ・ 薬剤性心筋炎を発症する患者背景は不明であるが、自己免疫疾患やアレルギー有病者に好発することが知られている。 |
|
| (4)推定原因医薬品 | |
@薬理作用として心不全を生じる薬物:
|
|
| (5)医療関係者の対応のポイント | |
| (4)の処方を受けている患者で、被疑薬投与開始により心不全症状が出現したら、被疑薬を中止し、心機能検査を定期的に行う必要がある。 うっ血性心不全の早期発見には、(1)で述べた心不全症状の病歴聴取を丹念に行うことが肝要である。被疑薬中止により速やかな改善が認められれば、副作用と判断できる。 [早期発見に必要な検査項目] ・聴診、視診および触診:奔馬調律(ギャロップリズム)と肺ラ音の聴取、内頸静脈の怒張、肝臓の腫大、腹水貯留、下腿浮腫など・胸部エックス線、心電図、心臓超音波検査・バイオマーカー: BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値、心筋トロポニンT値など |
|
| 副作用の概要 | |
| (1)自覚症状 | |
| (2)他覚症状 | |
| (3)臨床検査値 | |
|
|
| (4)画像検査所見 | |
| 胸部エックス線検査が心不全診断に役立つ。左心不全による所見としては、心拡大(左房または左室の拡大)、肺静脈うっ血による間質性浮腫、肺胞性浮腫、胸水貯留などがある。右心不全には、右心系の拡大、肺血流減少による肺血管陰影の減少、肺高血圧をきたすと肺動脈幹または肺動脈中枢部の拡大と末梢側の狭小化を示す。 非侵襲的に基礎疾患の診断および心機能を評価する目的で、心臓超音波検査がよく行われる。各心腔拡大の程度、心収縮能、拡張能、心肥大の有無、機能的房室弁逆流の程度、局所壁運動異常の程度などを評価する。 |
|
| (5)病理組織所見 | |
|
|
| (6)発症機序 | |
| 心臓に対する陰性変力作用もしくは陰性変時作用により、心不全の発症・悪化をきたす。また、尿細管での Na 再吸収を促進する薬剤は、Na 貯留による循環血液量増大により、心不全を誘発する。 | |
| (7)医薬品ごとの特徴 | |
| ・ β遮断薬は心拍数の減少、心収縮力の減弱、伝導速度の遅延をきたし、心不全の悪化・誘発をもたらす。 ・ 抗不整脈薬は陰性変力作用、陰性変時作用により心不全をきたす。 ・ ドキソルビシンをはじめとするアントラサイクリン系抗がん剤は心筋細胞のミトコンドリア機能を障害し、心不全を引き起こす。 ・ 副腎皮質ステロイドは鉱質コルチコイド作用を有しており、尿細管での Na 再吸収を促進し Na 貯留をきたす。 ・ 非ステロイド性抗炎症薬はアルドステロン拮抗作用のあるプロスタグランジンの生合成を抑制するため、アルドステロンの作用が相対的に増強し、水分貯留をきたす。 |
|
| 副作用の判別基準(判別方法) | |
| (1)概念 | |
| 心不全は、全身が必要とするだけの有効な循環血漿量を心臓が駆出できないことを表す概念であり、そのような病態に至る原因には多数の疾患がある。 | |
| (2)見落としてはいけない所見 | |
| 被疑薬投与後に、次に示す自他覚所見を認めた場合は速やかに詳細な病歴聴取と理学診断を行い、同時に諸臨床検査を施行する。表1は世界的に広く用いられている心不全の診断基準を示す。大基準2つ、もしくは1つの場合には小基準2つを満たすものを心不全とする。 | |
| (3)参考所見 | |
| 自覚症状として認められるのは、夜間発作性呼吸困難、体重増加、夜間咳嗽、起座呼吸、下腿浮腫、労作時息切れや動悸である。身体所見では、頸静脈怒張、湿性ラ音、心拡大、V音・W音亢進、頻脈、肝腫大、下腿浮腫を認める。 これらの自他覚所見からうっ血性心不全が疑われた場合は、胸部エックス線、心電図、心臓超音波検査、BNP の測定と一般的な血液・尿検査を行う。BNP 値の上昇は心不全診断において感度、特異度も高いことが知られている。ただし、高齢者、腎機能障害を有する患者では高値を示すことがあるので注意をする必要がある。さらに、他疾患との鑑別を行う |
|
| 表1 心不全診断基準(フラミンガム) | |
| 大基準 | 小基準 |
| ・夜間発作性呼吸困難 ・頸静脈怒張 ・湿性ラ音 ・心拡大 ・急性肺水腫 ・V音奔馬調律 ・静脈圧上昇 ・循環時間延長(≧25 秒) ・肝頸静脈逆流 ・治療に反応して、5 日間で4.5kg 以上の体重減少 |
・下腿の浮腫 ・夜間咳嗽 ・日常的な労作での呼吸困難 ・肝腫大 ・胸水 ・身体活動の低下(最高時の1/3 以下) ・頻脈(≧120bpm) |
| 判別が必要な疾患と判別方法 | |
| 治療方法 | |
|
| β受容体遮断薬投与開始により一旦心不全が増悪し、β受容体遮断薬の用量調節により奏功した症例 | |
|