| ウツ病 Depression |
| 関連情報 |
「仮面うつ病」「うつ状態」「躁病」「無気力」「憂鬱(ゆううつ)」「気疲れ」「抑ウツ症」「感情が不安定」「不安」「ストレス」「気ウツ」「手首自傷症候群」「やる気がない」「寝言」「恐怖症」「子どもを虐待」「無月経」「不眠症」「蛋白漏出性胃腸症」「男性更年期障害」「便秘」「譫妄」「慢性疲労症候群」「非行」「パニック障害」「亜鉛」「栄養補助食品」 |
| 要注意 | 「アルダクトンA」「エビリファイ」「タガメット」「タキソール」「テノーミン」「プレドニン」「ロヒプノール」 |
| ○以下の薬剤は、薬物誘発性うつ状態を生じさせる場合がある。 [インターフェロンα] [メチルフェニデート] [ラウオルフィアアルカロイドとその合剤]=(レセルピンなど) |
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| ○18歳以下の自殺リスクが増大 [パロキセン] |
| どんな 病気 ? |
永山素男・日本赤十字社医療センター精神科部長に聞く。 「21歳の女子学生。ここ数週間、何もやる気が起こらず、人に会うのもおっくうになり、憂鬱な気分が続いています。病院では、うつ病との診断を受けました。薬を飲みながら通院を続けていますが、なかなか良くなりません。将来を考えると不安になります ◆うつ病とはどんな病気ですか? <1>気分が落ち込んで悲しく寂しい気分になり、何に対してもおっくうで疲れやすくなります。考えも集中出来ません。自分がつまらないものに思えて、なかには死を考える人もいます。 <2>こうした症状が時間にによって変化し、朝に重くて夕方から軽くなるのが特徴です。 <3>20歳代で初めてかかる人が多く、40歳代から60歳代の人にも多い。女性がかかりやすい病気です。 |
| ◆日常的に気分が落ち込んで、憂鬱(ゆううつ)だと思うのとはどう区別しますか? ・症状の強さ・長く続く点が違う。うつ病の方が重い。 ・食欲が落ちて、体重が減少。 ・よく眠れない。 ・便秘。 ・無月経。 ・性欲低下。 |
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| ◆どうして起こるのですか? 「身体的、性格的な素因と、きっかけとなる出来事の組み合わせで起こると考えられています。 ◇きまじめで責任感の強い人に起こりやすい。 ◇遺伝的素因は・・・少ない。 ◇キッカケは様々で、悲しいことやつらいことの経験が多く、なかには昇進や子供の結婚がきっかけになることもあります。 ◇うつ病にかかる確率(一生のうちに一度以上)は・・・・5%~10%と推定され、比較的多い病気です。 ◇脳内の神経伝達物質の一部の機能が低下している。 ◇検査で異常を示さない肝障害 |
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| ◆周囲が気を付けることは? <1>通院を進める <2>叱咤・激励は禁物。 |
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| ウツ病 | =「鬱病」 「抑うつ症」 「メランコリーmelancholy」→うつ状態 |
| ○気分の障害 ○周期性がある ○病相(憂鬱になっている期間)が過ぎれば完全に元に戻る |
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| ○うつ気分があるからといって、患者が悲しみを体験しているとは限らない。 (イ)悲しみの余り“さめざめ泣く”ということも無い。 (ロ)おっくう・イライラがあり気分が重く沈んではいるが、患者は “感情が湧いてこない” “悲しいという気持ちすらなくなった” とか訴えるのである |
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| ○身体症状が必ず伴う・・・(「正常な悲哀反応」との違い) (イ)食欲不振 (ロ)体重減少 (ハ)便秘 (ニ)その他の自律神経症状。 |
| 正常な悲哀反応 | うつ病 |
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| うつ病の特徴:「悲嘆反応」との違い(厚生労働省) ○ うつ症状の遷延( 重篤な抑うつ症状が6 ヶ月以上続く) ○ 自殺念慮( 死んだ人と一緒になりたいという強い願い) ○ 迫害的な罪悪感 ( 死を避けるためにもっとなにかできたのではないかという自己批判、にとどまらない罪悪感) ○ 精神運動遅延 ○ あらゆるものを変わらないようにして悲しみをとどめておくこと (“ ミイラ作り” と呼ばれることもある) |
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| 正常な悲哀反応は、 愛する人と死別したときなどの、誰でも悲しくなって無理のない状況で生じる |
ウツ病は必ずしもそうではなく、仕事や家庭は順調で心配事の無いときの転勤などで発症している。 (秩序の変化) ◎慣れ親しんだ生活の仕方やリズムが、変化するときにうつ病が発症する。 |
| ★身体症状がない | ★身体症状を必ず伴う (イ)食欲不振 (ロ)体重減少 (ハ)便秘 (ニ)その他の自律神経症状 |
| 正常な悲哀反応では悲しみの理由がその当人にはよく分かっている。 | (イ)きちょうめんで完全主義者。 (ロ)責任感が強く、 (ハ)対人関係でも波風を立てない人。 「きちんとした性格の人が秩序の変化に対応出来なくなると鬱病に陥る。ただし、患者自身は自分の性格や発症状況について自覚していないことがほとんど。原因を自覚していない点で、『正常な悲哀反応』と異なる。 |
| 鑑別(厚生労働省) ・期間: 症状が少なくとも2 週間以上持続している ・変動がない: ほぼ毎日、ほぼいつでも症状が認められる ・症状の重さ: その人のふつうの状態とは明らかに違う |
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| 高齢者のうつ病の症状の特徴(厚生労働省) 「年をとると誰でもうつっぽくなるし」と言われることがありますが、一般的な老化現象とうつ病はまったく異なるものです。 しかし、高齢者のうつ病は、通常の診断基準に頼るだけでは見落とされてしまう可能性があります。高齢者では典型的なうつ病の症状を示す人は1/3から1/4しかいないと言われています。症状の一部がとくに強く現れたり、逆に一部が弱くなったりしていることが多いので注意が必要です。 特徴
・不安が前景にあると背後にあるうつ病を見落としてしまうことがあり、 注意が必要である。 高齢者のうつ病では、身体愁訴はとくに重要です。自分の健康状態や身体機能に対して必要以上にこだわったり心配したりしている場合にはうつ病である可能性が高いです。このような症状は、身近な人が病気にかかったり親しい人と死別したことなどが引き金になっていることが多いようです |
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| うつ病と身体疾患との関係 脳血管障害、 パーキンソン病、 大腿骨頚部骨折、 悪性腫瘍、 心筋梗塞、 心不全、 慢性呼吸器疾患 脳血管障害、心疾患、悪性腫瘍、大腿骨頚部骨折 両者を同時に治療することが大切である |
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| うつ病の症状には文化的要因(地域性)影響している可能性が指摘されており、その地域特有の訴え方や言葉の表現に注意することも大切です。 また、高齢者では、うつ病の症状が少なくても大幅な機能低下をきたすので注意が必要です。 |
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| 老年期うつ病の誘因 (厚生労働省) ○ うつ病の誘因として、重大なライフイベントと慢性的ストレスの2 つがある。 ○ うつ病の誘因を体験している高齢者は注意して観察を行う。 ○ 身近な人との死別を体験した人、とくに注意が必要である。 |
| 概して高齢者の生活は、近親者との死別や身体機能の低下など、大小の喪失体験に囲まれています。その意味で高齢者がうつ状態に陥ることは「理解できる」ことも多いです。しかし、 うつが「理解できる」ことはうつ病を治療しなくてよいということにはなりません。誘因が何であれ、うつ病はうつ病として治療が必要であり、適切な社会支援や、薬物療法、精神療法を行わなくてはなりません。 統計的に裏付けられた老年期うつ病の危険因子は、女性であること、過去のうつ病の既往、配偶者との死別・離婚です。加えて表に示した誘発因子を体験した人はリスクが高いと考えられています。 周囲の人との信頼関係はうつ病の大きな要因です。それまでに他者と信頼できる関係を築くことが困難であった人は、老年期に孤立しやすく、うつ病に陥るリスクが高いとされます。細かい性格や依存的な性格など、パーソナリティ傾向は老年期に顕著になりやすく、人間関係に影響を与えます。 病気にかかっている人や身体機能障害がある人はうつ病になりやすいです。また、そうした人の介護に当たっている人もうつ病になりやすいので注意が必要です。 なお、近親者と最近死別した人は、とくに注意が必要です。死別後に一時的にうつ状態になることは自然なことで、「悲嘆反応」と呼んでうつ病とは区別されています。そのような場合には、頻繁に訪問して患者を支えることが大切です。とくに次のようなときには、うつ病を疑って受診勧奨をすることが望ましいです。 |
| メランコリー | ディスティミア |
| (自罰的なタイプのうつ病) | (他罰的なタイプのうつ病) |
| 「まじめで几帳面」 「責任感が強く頼まれたら“NO!”と言えない」 「対人関係で細やかな配慮を欠かさないで周囲に気を遣う」 |
「世の中が悪い」 「自分が幸福を感じられないのは親のせい」 |
| うつ病を隠したがる。 うつ病になった後も「迷惑ばかりかけて申し訳ない」と過度に自分を責め続ける。 |
「私はうつ病です」と自分から言うことが多い |
| 日常生活に大きな支障がある | 何も楽しいことがないと不満を述べながらも日常生活は何とがやっていける状態。 やや調子のいい日が数日続いてまた落ち込むなど波がある。 |
| 楽しいはずのことも苦痛になる | 好きなことは楽しめる |
| 叱咤激励は逆効果を招く | ときには叱咤激励が必要。 |
| うつ病のタイプ | |
| 仮面うつ病 | 1.便秘や食欲不振などの消化器症状、 2.頭痛・めまいなどの神経症状、 3.身体各部の慢性的な痛みなどの身体症状を主として訴え、 4.ゆううつな気分についてはあまり訴えない人。 「こういうタイプは、身体症状によて精神症状がマスク(仮面)されているという意味で、仮面うつ病と呼ばれている」。 最近多いのは、ゆううつな時にそのことをそれほど自覚せず、『むやみに食べてしまう』タイプである。ウツ病患者が『過食』をするなど以前はほとんど考えられていなかった |
| 行動に出るうつ病 | (1)若年者に多い。 (2)『それまではまじめで成績も良かった子供が急にだらしなくなり、学校の規則にいくつか違反したり、学校をさぼったり、ときには「万引き」などの非行に走る』ことがある。 (3)問題行動の背後に実はうつ病が隠れていることがある |
| 産後うつ病 | (1)出産後1週間程度で母親の気分が沈み、数日間涙もろくなることがある。 これをマタニティー・ブルーあるいはミルク・ブルーといい、多くの産婦に認められる。 (2)産後1ヶ月~数ヶ月の間に母親が抑鬱的になることがある。 1.子供の世話が出来ない。 2.子供がかわいくない。 3.自分は母親として失格ではないかと悔やむ。 4.乳児の無視、虐待、子殺しに至ることもある。 (3)周囲が子供の世話をしない母親を道徳的に責めて、母親をますます窮地 に追い込むこともまれではない |
| 老年期うつ病 | きまじめな方に多い。 肩こり もの忘れ 今までの趣味に興味が無くなる 片付けが出来なくなる |
| 季節性うつ病 | 1.毎年冬になるとうつ状態に陥るが、春になると改善する。 2.発症は年周期であるが、その背景には季節によって変わる 「日照時間の 長さの変化によって起こる生体リズムの障害が重要な役割を果たして いる」 3.治療には光線法が有効。 「朝方2500ルクス以上の高照度光を2~3時間照射し、日照時間を延長することで、患者の生体リズムをつかさどる「生体時計」を春が来たと錯覚させるのである。 |
| 吉村崇・名古屋大学准教授らは、動物が春を感じ、生殖の為に体を変化させるキッカケとなる遺伝子をウズラから発見した。動物が季節を感じる仕組みを解明する成果。2008年3/20のネイチャーに発表。 ウズラの雄は春になると精巣を大きくして、生殖に備える。実験では1日のうち6時間しか光が当たらない状態でウズラを飼育。その後、光を当てる時間を20時間に延ばして「春が来た」とウズラに思わせて、その前後3日間で脳内では働く遺伝子を調べた。 光の照射時間が長くなると、まず脳にある下垂体隆起葉の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の遺伝子が働いて大量にホルモンを作り出し、それをキッカケに約200個の遺伝子が次々に働いて、精巣の発達を促すことが分かった。 |
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| うつ病の症状 | ||
●感情の憂鬱と意欲の抑制が主症状で、
●痴呆との区別が難しいことがある。 |
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| 不眠 | 朝起きたときの気分が最悪 | |
| 中途覚醒の場合、寝入りばなは良いのですが、2~3時間でパッと目が覚め、その後は努力しても眠れず、気になっていた資料やメールをチェックし始めます。明け方に2度寝し、ボーとした状態で出勤。そして遅刻を繰り返します。 | ||
| 早朝覚醒の場合は、いつも起きる時間の1時間前ぐらいに目覚めてしまいます。起きるには早いので、布団の中でうつらうつらと過ごします。 職場では仕事に集中できず、昼食後は猛烈な眠気と戦うというパターンです。(河村哲・風メンタルクリニック池袋院長) |
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| 食欲不振 | 胃の当たりの不快感や胃痛を感じて、市販の風邪薬や胃腸薬を常用していませんか? | |
| 全身倦怠感 | 「いくら寝ても疲れがとれない」 | |
| 「からだがだるい」 | ||
| からだの痛み | 頭痛・背部痛・腹痛など | |
| 肩こりがひどく、時にバンドで締めつけられるような頭痛を感じる | ||
| その他 (体調不良) 何となく体調が悪い |
イライラする | |
| やる気が起きない。物事に集中できない。 | ||
| 急に動悸がして内科で診てもらったが異常なかった | ||
| 通勤中にお腹の調子が悪くなるから電車が不安だ | ||
| 耳鳴りやめまいが続くのに、検査では異常が無かったことはありませんか? 40歳後半になると、体の不調は年齢のせいと考えがちです。 ところが、こうした人に、「仕事の判断力や集中力が低下したり、優先順位が決められないことはありますか?」と聞くと、たいていの人はうなづくのです。 もちろん、年齢とともに体力や気力は落ちていきます。反面で職場では管理職として、社会的責任が増していきます。家庭では親の介護や子育てに直面します。気を使う場面ばかりで、ストレスシャワーを浴び続けるのです。 |
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| いままでカラーで総天然色の中で生きてきたのが、急に白黒写真の中にいるように感じられる | ||
| うつかも? | |
| 睡眠 | まず『睡眠』では “夜中に何度も目が覚める”とか、 “朝早く目が覚めることが続いていないかどうか?”。 もちろん年齢による変化もあるが、これらは眠りが浅くなったためであり、長く続いて日常生活に支障を来すことなどがあったら気を付けなければならない。 |
| 食事 | 『食事』では、 “食べ物の味が分からなくなった” “食欲が湧かない”といったことがないかどうか。 “きちんと朝食をとっていたのに、最近は抜くことが多くなったかどうか?”も大切なチェック項目。 |
| ウツが進むと1日中食欲も元気もなくなるが、初期には午前中の気力が低くなることが多くなる。 | |
| ・仕事 ・家事 |
『仕事』では“気が乗らない” “ミスが増えた”ということはないだろうか? “食事の後片付けや掃除がおっくうになった”ことがないだろうか? これらはウツの初期にしばしば見られる、日常のことに集中できないという症状が現れたものと見て良い。 |
| ・タバコ ・アルコール |
『酒・タバコ』では、“量が増えた”とか、 “今まではしなかったのに最近は寝酒を始めた” ということにも気を付けたい。酒やたばこをたしなむことよりも、それらの変化をみることが大切だ。 |
| ・趣味 ・スポーツ |
『趣味・スポーツ』では、“これまで趣味にしてきたことに関心が薄れた”とか、“運動したあとでも疲れがとれにくい”ということはないだろうか? よく「気分転換にスポーツをしたら」というが、ウツの人には逆効果。かえって“負担”になることが多い。 |
| ・ウツはストレスが引き金になるが、自分では気づかないことが多い。 そこで毎日の生活習慣が変化したかどうかチェックすれば、早めに気づくことが出来る。 |
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| 心の 風邪 |
「うつ病で一番の問題が自殺です。昨年8月に警察庁が発表した1年間の自殺者数は過去最悪の33048人。50年前の2倍以上です。うつ病になったら一定の割合で自殺者が出ているのは事実ですから、正しく対応し、自殺を防ぐ事が大切です。うつ病は“心の風邪”です。 精神障害は高血圧や糖尿病のようにありふれた病気で、誰にでもかかる可能性があります。」 2002年度 厚労省の調査結果では、うつ病を中心とする気分・感情障害の患者数は約711000人だった。 |
| 早期 発見 |
うつ病と診断された100名に身体症状(つらいと感じた)を聞いた結果。 ◆不眠(55%) ◆食欲不振(23%) ◆腹痛(23%) ◆腹部膨満感(23%) ◆動悸(20%) ◆全身倦怠感(19%) ◆めまい(16%) ◆ふらつき(16%) 以上(複数回答あり)が多かった。 |
| 自殺 の サイン |
※うつ病の症状(気分が沈む、自分を責める、決断できない、不眠が続く・・・) ※原因不明の身体の不調が続く。 ※酒量が増す ※失踪など自ら危険な状況を作る ※仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする。 ※職場や家庭でのサポートが得られない。 ※本人にとって価値あるもの(職・地位・家族・財産)を失う。 ※重症の病気にかかる ※大切にしていた品物を誰かにあげる ※自殺を口にする ※今まで沈んでいたのと反対に不自然なほど明るく振る舞う ※自殺未遂におよぶ。 ●自殺者の7割がうつ病と言われている。 責任感の強い者ほど心の病になっても隠そうとするので、うつ病と気づくのが遅れる。 2003年度の自殺者(34000人) ◆アルコール 「うつ病の場合、まずアルコールは厳禁」と大野慶応大教授は忠告する。眠りを浅くし、ウツ症状を強める作用があることに加え、衝動的に自殺に及んでしまうこともある。楽しい酒場の雰囲気も気分の沈んだ人にはつらいので、アルコールに頼るのはよくない。 |
| 女性に 多い |
女性に多い・ホルモンと関係 バリバリ仕事に励んできた人が突然、元気をなくし、重苦しい気分になり、人にも会いたがらない。自分をつまらない人間と思いこみ、会社にも家族にも申し訳ないと言い出す。このような状態が2週間以上続くのが、うつ病(大うつ病または単層性うつ病)だ。 うつ病は世界で患者がとても多い、心の病である。わが国でも人口の5%に相当する600万人が苦しんでいるという。患者があまりに多いため、うつ病は“心の風邪”とも呼ばれている。 うつ病のかかりやすさに、性差があるといわれる。女性の患者の割合が高いことは、精神医療携わる人々には良く知られていた。ただ1つ疑問があった。本当に、女性が男性よりもうつ病にかかりやすいのか?それとも、より多くの女性が助けを求めて病院を訪れるのか?・・・ この疑問は、世界保健機関(WHO)が世界の十数カ国でうつ病の患者数を調べ、女性の数が男性の約2倍になると報告したことで終止符が打たれた。 |
| 悲しみ 米国立衛生研究所(NIH)のマーク・ジョージ氏は1997年人が悲しむとき、脳のどの部分が働くかを調べた。脳の働いている部分は、血液の流量が増大する。陽電子断層撮影(PET)装置でそれを測定する。彼は男性10人と女性10人を被験者に選び、悲しみを思い出している最中に彼らの脳をPETで観察してみた。被験者の悲しみの程度によって結果が左右されるから、あらかじめ別の試験によって、悲しみが同程度と判定しておいた男女の脳の興奮部位を比較した。 すると、男女とも脳の左半球の前頭前野が同じ程度に興奮したが、女性では特に、大脳辺縁系の血液量が男性の8倍にも増大していた。 彼は、怒りや不安、幸福についても同様に、男女の脳の血液の流量をPETで調べたが、悲しみの測定で得られたほど大きな男女差は見られなかった。 その研究で大事な発見は、悲しみの際に活性化された脳の2つの部分が、うつ病になったとき、正常に働かない部分と一致することだ。 つまり、悲しみで大脳辺縁系が過剰に消耗し、この部分の働きが低下してうつ病となる。その傾向が、女性に強かったことを示している。 |
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| うつ病とホルモンの関係も調べられている。 睡眠を誘発するホルモンにメラトニンがある。「暗闇のホルモン」とも呼ばれるメラトニンは、夜だけ脳の松果体から放出される。これにより体温が下がり、睡魔が訪れる。人が朝に目覚め、夜に眠るという1日の周期、いわゆる体内時計を制御する重要な物質である。 NIHのトーマス・ウエア氏は女性では冬の夜にメラトニンの分泌量が増え、夏の夜には減少することを発見した。男性は対照的に、夜のメラトニン量は年間を通じて変わらない。女性のメラトニン量は、季節や環境の変化によって左右されるのだ。 うつ病の時に眠りすぎる女性がいる。日光が乏しい状態でメラトニンが分解されず、眠りが長くなる状態に似ている。この症状の緩和には、光を当てる方法が効果をあげる。 |
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2倍以上 うつ病はごくありふれた精神疾患だ。欧米での調査では、ある時点を区切って地域を調べると約5%の人がウツ病にかかっているということが分かっている。ところが、その男女比で見ると明らかに女性に多く(男性の約2倍)、この傾向は、一生の内に一度はウツ病にかかる割合でも同じようになっている。米国の調査データだが、男性で5~12%、女性で10~25%と、やはり2倍以上になっている。 これには女性特有のホルモンの変化が影響しているかもしれないと考えられていた。月経周期に合わせて月経前に精神的に不安定になったり気分が沈み込んだりする月経前緊張症や月経前気分不快症は月経周期に連動するホルモンの変化が影響していることは良く知られている。 出産後に気分が沈み込んだり精神的に不安定になったりする産褥期うつ病や、中年期の月経がなくなってくる時期にウツ状態になる更年期うつ病もホルモンの変化が関係しているそうである。しかし、最近の研究からは女性がおかれている社会環境の厳しさの方がずっと強くうつ病の発症に影響していると考えられるようになっている。 |
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| ★働く女性に急増 過重労働や仕事上のストレスが原因で「うつ病」などの精神障害を発症したとして労災を申請、認定される女性の数が急増している。成果主義の導入やリストラといった雇用均等の進展で重責を担うようになった女性の心を直撃しているとの指摘もある。 体を動かす気力が出てこない・・・・・大手電機メーカーのエンジニアとして働いていたS子さん(38)が、初めて体調の異変に気づいたのは入社11年目を迎えた時だった。 理科系出身で女性では数少ない技術部門の総合職として入社。工場勤務で認められ10年前に半導体関連の新設ラインのリーダーに抜擢された。早朝から深夜まで会議や設計に追われる日々が続き、ひどい頭痛や気分が悪くなる日が増えていった。しかし、「私が休むわけにはいかない」とがんばり続けた。 診断は「うつ病」。発症前の半年間、1ヵ月当たりの残業時間は80時間に達していた。就業規則で定められた休職期間2年の満了が近づいて、会社から解雇予告通知が届いた。すぐに労災申請。3ヵ月後に「発症は会社が過酷な労働をさせたのが原因」として、解雇の無効と損害賠償を求めて会社側を提訴した。 過重労働で、男性は過労死につながる脳・心臓疾患を発症するケースが目立つが、女性はストレスから精神障害となることが多いと言われる。 厚生労働省によると、過労が原因の精神障害の発症や自殺で女性が労災認定された件数は1999年度には2件だったが、2000年度には12件と急増し、2003年度には31件となった。 |
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| 順調希求 |
「78歳の女性が不眠を訴えて、神経科外来を受診。 よく聞いてみると、3ヶ月前より、息子夫婦と同居するようになってから、気分が憂鬱で、イライラし、眠れない。頭が重く、胸に圧迫感があるという。元来、神経質で、ささいなことが気になり、取り越し苦労をするという。軽度の欝病と診断し、抗ウツ剤と睡眠剤を投与した。1週間後、眠れるようになったが、ウツ気分が取れないとのことで、さらに抗ウツ剤を追加した。 「1ヶ月ほどで、ウツ気分も改善したが、頭重感と胸部圧迫感が頑固に続いた。この人は、頭がすっきりしてほしい、胸のつかえがすっきりとれてほしいという希望がとても強く、体のどこかが少しでも具合が悪いと、それを受け入れるのが難しいという傾向があった。 これを専門的には『順調希求』と呼ぶ。 これはいつも順調でありたいという気持ちがとても強くて、不調な状態を受け入れにくく、欝病になりやすい人の性格特徴の1つになっている。誰でもいつも順調でありたいと望むが、その望み方が強すぎるわけだ。 「この患者の場合も「順調希求」が強すぎて、それがウツ状態の回復を遅らせた。80近くになると、ウツ状態をきっかけにして、自律神経系が敏感になり、頭が少し重かったり、胸の圧迫感があったりするのは避けられないことも多い。「まあ、こんなものだろう」程度に受け止めて、症状を無視しておれば、次第に落ち着いてくるものだ。 「順調であることを望み過ぎると、少しの体の不調が気になり、神経が疲れて、ウツ状態になることがある。体の不調が重大な病気の前触れであることも、もちろんあるが、多くの場合、気にしない方が健全な精神生活につながるようだ。」 |
| 見守って | ●うつ病に・・・はげましは禁物 「J氏(56)は、マジメで責任感も強く、仕事熱心な人で、昨年4月に部長に昇進 した。仕事量が増え、人間関係も複雑となったが、春から夏秋にかけては張り切って仕事をこなしていた。 ところが、初冬にちょっと風邪を引いたのをきっけに食欲が無くなり、不眠に悩み、頭が重く疲れやすくなった。内科を受診したが、異常なしとされた。朝、起きるのがつらく、いつもの元気が出なくなり、何とか出勤はしていた、仕事をするのも何をするのもおっくうになり、人と話すのも面倒になった。 当然、集中力がなくなり、決断するのに手間がかかり、仕事も滞りがちとなってきた。その内に何もする気がなくなり、憂鬱な気分となった。頑張らなくてはと思うが空回りするばかりだった。自分を責めるようになり、「自分ほどダメな人間はいない。会社にも家族にも迷惑をかけている」「自分のために会社は倒産しそうになっている」と思い詰めてとうとう辞表を出してしまった。 責任感が強く、几帳面で凝り性で、融通がきかず、仕事熱心であることが挙がられる。いわゆる執着性格である。 「白か黒か」「良いか悪いか」「好きか嫌いか」という二者択一の思考をとり、柔軟性に乏しい性格の人である。このような性格傾向の人に、過度の心理的プレッシャーがかかって発病することが多い。 まず不眠となる。次に食欲が無くなり、頭が重く動悸がしたり、息苦しくなったり、目がかすんだり、便秘、下痢、微熱、疲れやすさなど身体全体の症状を訴える。そぞれの症状の薬を飲んでも少しも良くならない。環境の変化がキッカケで鬱病になることもある。いわゆる 『引っ越し鬱病』 『配転鬱病』 『昇進鬱病』 『荷下ろし鬱病(一生懸命仕事した後になる)』 などである。 家族は決して励ましてはいけない。本人の苦悩する姿を静かに温かく見守り、本人の話を聞いてあげることである。心のどこかで死を考えていることがあり、自殺には要注意である。」 |
| coming out | 自分が社会から誤解や偏見を受けている立場であることを公表すること。 勇気もってカミンングアウト 「私はバリバリのウツ(鬱)です」。女優の木の実ナナさんが語りかける製薬会社の新聞が話題を呼んでいる。イライラや不安な気分からなかなか回復できない「うつ病」に悩んでいる人は多い。周囲に理解がないと、これを隠そうと苦しみは倍加する。そんななか木の実さんのように自らウツ病を告白、いわゆるカミングアウト(自ら告白)して周囲に理解を求める人も出てきた。心の病だからと偏見を持たれがちだった「うつ」を巡る状況が、少しずつ代わり始めている。 ・・・<遭難信号を送ろう>・・・遭難していることを周りに知らせよう。ウツは日常生活での遭難状態なのです。 ●広告に大きな反響 ある時、人前で笑うことが出来なくなり、いくら自分を励ましても症状は良くならない。こみ上げてくるイライラから、スタッフにもつい八つ当たりしてしまう・・・・・。更年期を迎え、5年間、うつ病と闘う生活をしていた木の実ナナさんは、そのスタッフから「大丈夫ですよ。これからは一緒に治していきましょう」と励まされ、立ち直るきっかけをつかんだ。 「笑顔を忘れないで」と木の実ナナさんがエールを送るこの全面広告は、うつ病の新薬の開発を勧めている塩野義製薬が普及させる啓発運動「DANCEプロジェクト」の一環で企画した。これを見た人から400通以上の手紙が寄せられ、同時に掲載した治験者募集には6000件以上の電話が殺到した。 プロジェクトチームの塩野芳嗣さんは「数多くの手紙を読むと、ウツがひどくて効率が上がらないので病院に行きます。などと職場でいえる米国のような環境が、日本でも夢ではないと思い始めた」と手応えを感じ始めている。 こんな例もある。社会人2年目の会社員、佐々木祐二さん(仮名。24)は、大学時代にケガで入院。長い闘病生活を送るうちに、進路や人間関係を巡る悩みから、うつ病になった。就職は薬を飲みながら突破したが、入社後、生活のリズムが大きく変わり、昨秋、重いウツになってしまった。 佐々木さんは死にたいとさえ思い、面倒を見てくれていた先輩に「実は、うつ病に悩んでいるんです」と告白。すると先輩は「何だ、うつ病の友達がいるけど、薬を飲めば乗り切れるそうじゃないか」と励ましてくれた。 「その一言で、すっと楽になり、どん底の気分を抜け出すことが出来た」と佐々木さんはほほえむ。 |
| うつ病とは精神疾患の一種で、 [興味を持てたことがつまらなくなったり]、 [いいことがあってもいやな気分が改善されなかったりする]症状が続き、元に戻らない状態を指す。 研究が進む米国の精神学会の診断基準では △体重が5%以上変化する。 △集中力が減退する △自殺を考える・・・・・ といった5つの症状が・・・・・2週間以上続く状態をうつ病という。 ■脳動脈硬化などの病気からくる「身体因性」、 ■試験に落ちたなどの要因がはっきりした「心因性」、 ■これといった理由がないのに不安になる「内因性」 に分類される。 |
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| 厚生省の患者調査では(96年度)によると、うつ病で治療を受けている人は約20万人いるが診断を受けていなくても鬱状態の人は多い。国立精神・神経センターなどが国内の18歳以上の220人から聞き取り調査したところ、米精神学会の基準にあてはまる人は30人と、7人に1人になる結果が出た。 ●副作用少ない新薬 うつ病に悩む人たちに福音になりそうなのが、副作用の少ない新薬の相継ぐ登場だ。、昨年5月にSSRIという新薬が発売され、さらにSNRIという薬も発売される。これまでの抗うつ剤に見られた、便秘やのどが渇くといった副作用が少ないのが特徴だ。 ストレスケア日比谷クリニック精神科医の酒井和夫氏は「ウツは、放置すれば症状が悪化するが、きっちり対処すれば治ると理解してほしい」とアドバイスする。 「決して1人で悩まないこと。耐えきれなくなったら、信頼できる周囲の人にうち明けることも1つの方法かもしれない。ウツは薬と治療で対処できるということを信じて根気強く治してほしい」と木の実ナナさんは訴える。 |
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| 小学生 にも |
「昨今、ウツの低年齢化が進み、小学生の間でもじわじわ広がっているという。親の期待に応えようとする「良い子」が疲れ切った結果、憂鬱な気分から抜け出せなくなると専門家は指摘する。 ●頭痛・不眠などが予兆 小学校の音楽クラブに所属する6年生のA子さんは、厳しい指導の先生から高い評価を受ける模範児童だった。しかし、ある時、練習の取り組みを引き締めるため、先生は模範生のA子さんをあえて「怠け者だ」としかった。練習についていくのに精一杯だったA子さんは、その一言で緊張の糸が切れ、以来、 「疲れた」 「カリカリする」と口にするようになり、 朝起きられなくなった・・・・ 国立精神・神経センター国府台病院の心理・指導部長、精神科医の斉藤万比古氏が下した診断は「うつ病と強迫神経症」。A子さんの顔から表情がなくなり、親が言葉をかけても返事すらしない。元々おしゃれだったのに着るものも無頓着に。こうした無気力な状態は典型的なウツ症状と言っていい。 このように、ウツに悩む小学生は少しずつ増えているという。「以前は子どもにうつ病は無いというのが定説だったが、10数年前から米国を中心に研究が進み、うつ病と診断されるケースが出てきた。もし、無気力な症状が出た場合、親は疑ってみた方がいい」と斉藤氏は助言する。 「私なんていなくていい」という自虐的な考えが強まり、 自殺を考えるまでになるのは、大人と同じだ。 違うのはイライラが周囲への攻撃に結びつくこと。 投げやりになり非行に走るのも、子どものウツの特徴という。 「ウツに悩むのは良い子であることが多い。 親、教師、周囲の期待にこたえようと自分でがんばり、その結果、ある時点で疲れ切ってしまう」と斉藤氏は分析する。「だから親も急にイライラをぶつけたり、逆に無気力になったりする我が子を診て、“こんな性格じゃ無かったのに”とびっくりすることになる」 米国精神医学会の診断基準によると、うつ病とは、1日中ほとんど毎日、抑鬱気分があったり喜びの気持ちが無くなってしまう。不眠や睡眠過多、過剰な罪責感にさいなまれるいった5つ以上の症状が2週間以上続くこと。児童では明確な定義はなく、この大人の基準に準じて診断される。 国内での子どものうつ病についての疫学調査はないが、海外に目を転じると、例えば、英国では思春期に2~8%、思春期前でも0.5~2.5%がうつ病に罹るという研究結果がある。また米国でも、小学生以下でも1%程度がうつ病になるという研究報告がある。 |
| 親の期待が重圧に 小学校入学時からバレエを習っていたB子さんは、3年生になって発表会が近づくと、急に不安な様子を見せるようになった。「失敗したらどうしよう」。そんなB子さんに「そんなことないよ。がんばろう」と母親は励ましの言葉をかけ続けた。 しかし、がんばりたいという気持ちとは裏腹に体はついていかず、体調を崩し、どうしてもけいこ場に行けなくなってしまった。楽しく通っていた学校にさえ、「休みたい」と言い出す始末。ゆう鬱状態から抜け出せず、だんだんと気力を失っていった。 「本来なら元気良く駆け回る小学校低学年の子どもでもウツにかかる」そう話すのは、思春期の子供らの心の相談に乗る民間相談機関、東京メンタルヘルス・アカデミーのカウンセラー、Mさんだ。 B子さんの母親は「もっとレッスンを積まなきゃダメ」と強要し子どもを追い込むような“教育ママ”だった訳ではない。自分からがんばる姿に「よくやったね」と言葉をかけることが多かった。 しかし、B子さんは親に反抗する兄の姿を見て、「自分は親に心配をかけたくない。親が期待するバレエでがんばらなきゃ」と良い子になる努力をしていたという。「親や周囲の期待に敏感な子どもは本音や自分の感情を表に出さず、心の中で親の期待にこたえなければとつい頑張ってしまう とMさんは分析する。 くもん子供研究所の調査によると、 「自分のことがイヤになることがある」と答えた小学生(4~6年生)は23.1%、 「疲れている」のは46.1%に上っている |
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| 問題 社員 |
ある会社の管理職が部下の相談をするために診察室にやってきた。この部下は新しく異動してきた社員で周囲になじめないでいるというのだ、しかも、ささいなことでイライラするので、話しにくくて困っているという。 この部下は異動当初からもの静かな雰囲気だったものの、仕事はきちんとこなしていてさほど問題があるようには思えなかった。しかし、3ヶ月ぐらい経過した頃から次第に仕事にミスが目立つようになった。注意をするとぶっきらぼうに返事をして仕事をやり直すが、反省する様子は見られない。かえって注意した方がわるいような印象さえ受けて気まずくなる、ほかの社員ははれものに触れるように接するので、その社員だけが孤立したようになってしまい、職場の雰囲気も悪くなった。 上司の話だけ聞いていると、性格に問題がある社員が回されてきて苦労しているのかなと考えてしまう。そこで、上司には異動してくるまでの様子を前の職場に確かめるように勧めた。すると、いまの職場の印象とはまったく違って、礼儀正しくて仕事もきちんとこなしていたことが分かった。 この時点で私は、異動してきた社員がうつ病にかかっていて行動に問題が表れているのではないかと考えた。異動のような環境の変化をきっかけにしてうつ病が発症することは珍しくない。それも、異動してすぐというより、3ヶ月ぐらいたってからのことの方が多い。異動して間もないころは、つらくても弱音を吐いてはいけないと、表面的には分からないように何とかがんばってしまえるからだ。 ウツ症状が強くなっても表面上はがんばりすぎてしまうため、悩んでいるということが周囲の人たちにわかりにくい。異動前のことが分からないと、性格に問題があるように見えてしまう。本人も周りからそのように見られることに気づいて、孤立感を深め、さらに症状が増悪することになる。 こうした行動上の問題は、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な子供によく見られるが、成人でも起こるので注意が必要だ」 |
| 午前 3時 症候群 |
精神疾患の症状は誰もが体験することがあるのものだけに、いろんなニックネームが着けられている。「午前3時症候群」というのは普通の睡眠障害をうまく表現した良いネーミングだ。 ■ウツになると睡眠のリズムが崩れて、寝付きが悪くなったり、夜中に何度も目を覚ましたりするようになる人が多い。同時に、早朝覚醒といって、普段起きる時間の2時間も3時間も早く起きるようになることがある。午前3時でも午前4時でもよいのだが、早く目が覚めてしまう状態が午前3時症候群と表現されているのである。 朝早く目が覚めたからといって、そのままスッキリ起きあがれるわけではないし、眠ろうとしても眠れるわけではない。体も心もずっしり重くて起きあがることが出来ない。布団の中でイヤなことやつらいことを色々思い出して、くよくよ思い悩む。 これがうつ病の典型的な症状の1つである。 |
| ■ただ、うつ病になると眠れなくなるだけでなく、体が重くて眠りすぎるようになることもあるので注意しなくてはならない。 | |
| ■睡眠障害のような体のリズムの乱れは、食欲にも現れる。気分が晴れなくてつい食べ過ぎてしまうということもあるが、食欲が低下してくる事の方が多い。「食欲が全くわかない」というだけでなく、「何を食べてもおいしくない」「味が感じられず砂を噛むような感じがする」と表現するウツ病の人もいる。その結果、体重が減ってくるが、無理してきちんと食べていても体重が減る人がいる。食べたものを消化したり吸収したりする力がストレスで低下しているのだろう。 食欲低下は、特に朝に顕著になる(朝食が欲しくない)。 朝の方が体のリズムが乱れやすく、ウツ症状も朝に強く現れやすいからである。軽いウツ症状が、朝の活動性の低下で気づかれることも少なくない。 |
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| ■毎朝必ず目を通している朝刊を読む気がしなくなると要注意だ |
| 原因仮説 |
○モノアミン学説(1960代) ドーパミンやアドレナリンをまとめてモノアミンといいます。 うつ病ではシナプスの中にモノアミンが足りなくなっていると考える。 ○レセプター学説 |
| 肥満と関連 「肥満とうつ病に密接な関連があることが分かった。肥満の人は肥満でない人に比べて「気分が優れない」「不安」といったウツ症状にかかる確率が25%高いとしている。また、学歴が高い人や収入が高い人にその傾向が見られる。 調査は男女9000人を対象に、ハーバード大学が個人面談した。肥満の定義をBMI30以上とした |
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| Per2・・・時計遺伝子 マウスと人間の行動パターンは、動きの速さを別にすれば、休息の取り方などが全く同じであることを大阪バイオサイエンス研究所や東京大学などの研究チームが突き止めた 成果は、2008年4/30付けの米科学誌プロスワンに発表した。 発表したのは内匠透・大阪バイオサイエンス研究室長や山本義春・東大教授(生体情報論)ら。」 研究チームは、体内のリズムを生む遺伝子の機能を失ったマウスと、うつ病のヒトの休息パターンが同じことも発見。 生物の行動の背景に種をを超えた基本法則が存在する可能性を示すとともに、うつ病の原因究明にもつながる成果として注目される。 マウスはカゴに入れ、重みに反応するセンサーを敷いて動きを記録。人には腕時計型の加速度センサーを着けて普通に生活してもらい、体の動きを記録した。 活動時間や休息時間について、長いものや短いものがどんな頻度で現れるかを分析すると、パターンは全く同じで、人の動きを100倍の速さで早回しにすればマウスと同じになることが分かった。 山本教授は“人とマウスの脳には同じ回路があって、行動を支配する同じ法則を作り出しているのではないか?”と語る。 体内のリズムを作る「時計遺伝子」のうち、『Per2』の機能を失ったマウスと、うつ病の人では長い休息時間の頻度が高いというパターンが同じだった。 Per2に変異がある人では睡眠障害が起こることは知られていたが、うつ病との関連は不明。 内匠室長は“時計遺伝子の機能が失われることで、うつ病になる可能性はある”と語る |
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| 神経伝達物質 細胞の情報伝達 |
セロトニン 「福岡大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所のグループは、生きたままのラットやマウスで神経伝達物質の量を計測する手法を開発、2種類の神経伝達系が互いに関係していることを2003年突き止めた。うつ病などの精神疾患の解明、新しい治療法の開発につながる。 福岡大の山口正俊教授らは、脳に直径0.2~0.3mmの細いハリを刺して脳内の物質を取りだして、うつ病に関連するセロトニンなどの神経伝達物質だけを蛍光標識して計量する技術を確立。この手法をラットに応用してセロチニン伝達系と、別の神経伝達物質であるガラニンとのかかわりを調べた。 神経細胞の末端(シナプス)でセロトニン放出量を調節する自己受容体を刺激するとセロトニン量が低下した。繰り返し刺激するとこの効果は弱くなったが、ガラニンを投与するとセロトニン量が再び大きく減った。 自己受容体を刺激する前処理によって、ガラニンによるセロトニン抑制効果が高まることも分かった。ガラニンだけだと7割までしか減らないセロトニンが、前処理と組み合わせた場合は5割以下になったという。 一方、自己受容体の働きを妨げる物質を投与すると、ガラニンによってセロトニン抑制効果が弱まることも判明。自己受容体の活性と、ガラニン伝達系の働きがお互いに影響を及ぼしあっていることが確認できた。 ガラニンと結びつく受容体タンパク質などを標的に新しいタイプの抗ウツ薬を開発できる。 うつ病では、シナプスでのセロトニン伝達が弱まる。セロトニンを放出する側の神経細胞が同物質を再び取り込んでしまうのが原因とされ、この働きだけを妨げる副作用の少ない新型の薬剤などが開発されている。ただ、こうした治療薬が効かなかったり、副作用が出たりする患者もいる。 ガラニンは老人性の痴呆などで増加することなどが知られているが、うつ病との関係はよく分かっていなかった |
| ガラニン 「福岡大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所のグループは、生きたままのラットやマウスで神経伝達物質の量を計測する手法を開発、2種類の神経伝達系が互いに関係していることを突き止めた。うつ病などの精神疾患の解明、新しい治療法の開発につながる。 福岡大の山口正俊教授らは、脳に直径0.2~0.3mmの細いハリを刺して脳内の物質を取りだして、うつ病に関連するセロトニンなどの神経伝達物質だけを蛍光標識して計量する技術を確立。この手法をラットに応用してセロトニン伝達系と、別の神経伝達物質であるガラニンとのかかわりを調べた。 神経細胞の末端(シナプス)でセロトニン放出量を調節する自己受容体を刺激するとセロトニン量が低下した。繰り返し刺激するとこの効果は弱くなったが、ガラニンを投与するとセロトニン量が再び大きく減った。 自己受容体を刺激する前処理によって、ガラニンによるセロトニン抑制効果が高まることも分かった。ガラニンだけだと7割までしか減らないセロトニンが、前処理と組み合わせた場合は5割以下になったという。 一方、自己受容体の働きを妨げる物質を投与すると、ガラニンによってセロトニン抑制効果が弱まることも判明。自己受容体の活性と、ガラニン伝達系の働きがお互いに影響を及ぼしあっていることが確認できた。 ガラニンと結びつく受容体タンパク質などを標的に新しいタイプの抗ウツ薬を開発できる。 うつ病では、シナプスでのセロトニン伝達が弱まる。セロトニンを放出する側の神経細胞が同物質を再び取り込んでしまうのが原因とされ、この働きだけを妨げる副作用の少ない新型の薬剤などが開発されている。ただ、こうした治療薬が効かなかったり、副作用が出たりする患者もいる。 ガラニンは老人性の痴呆などで増加することなどが知られているが、うつ病との関係はよく分かっていなかった |
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| タンパク質 | BDNF不足 千葉大学の清水栄司講師と橋本謙二助教授らは、うつ病患者では血液中の特定のタンパク質量が減少していることを突き止めた。治療を受けるとタンパク質の量が回復する。 研究グループは、脳神経の栄養因子である『BDNF』というタンパク質に着目。未治療のうつ病患者16人、治療を受けている患者17人、健康な人50人の同意と協力を得て、血液中のタンパク質量を比較した。 未治療の患者は、タンパク質が健康な人より4割程度少なかった。抗ウツ薬を使っている患者では健康な人とほとんど変わらなかった。未治療患者でも投薬を始めると、タンパク質量が増えるのを確認した。 動物実験で抗ウツ薬を投与すると、脳でBDNFが増加することが知られていた BDNFの一塩基多型→産総研 |
| 診断 | 脳血流 2008年、独立行政法人・労働者健康福祉機構は、労働者の脳内の血流を調べ、うつ病の診断に役立てる新しい評価方法を開発した。単光子放射線コンピューター断層撮影装置(SPECT)を使って実施する。うつ病に罹った40~50歳前後の労働者25人の脳血流量を調べたところ、18人で脳の左前頭葉の特定部分の血流量が低下していた。さらに、うつ病が治りつつある時期の脳血流を調べると、75%の患者でこの部分の血流が回復していた。 |
| βフィブリンーゲン 2009年、国立精神・神経センターの川村則行室長らのチームは、うつ病の患者に多く含まれる血液中の成分を突き止めた。 健康な人とうつ病患者とを比較して、血液中のタンパク質と代謝産物を詳しく調べたところ、『βフィブリノーゲン』の分解物が、うつ病患者の多くで見つかった。 うつ病患者の8割にβフィブリノーゲンの分解物が見つかったが、健康な人には無かった。 |
| 治療 | うつ病の治療は ①休養 ②薬物療法 抗うつ薬で脳内の機能低下している神経伝達物質の機能を高める。 抗不安薬 入眠剤 ③カウンセリング(認知療法) ④通電療法 精神的休養が大切で、仕事を休んだ方が良い場合が多い |
| 断眠療法 “徹夜をして眠らないでいるとウツ症状が改善する” という記述は古くからあったが、うつ病に対する最初の治療的断眠療法がドイツのミュンスター大学精神科で行われたのは1960に入ってからだ。 断眠療法で完全に徹夜すると抑ウツ症状の急速な改善が見られた。 典型的なうつ病では、「日内変動」といって、ウツ症状が夕方~夜になると軽くなるが、一晩眠るとまた悪くなっている。このような人で、断眠後の朝の症状改善が、特に著しく改善された。断眠中の患者を注意深く観察すると、早朝の3時~4時に急激に気分が改善する。この時間帯に眠ってしまうと気分の改善が見られない。 夜間前半部は眠り、後半部起きて過ごせば、ウツに対する効果は十分だと分かった。 一方、断眠後に眠たいから昼寝をすると[憂うつ]になったり、 次の晩に通常通り眠ると翌朝に再びウツ症状が出たりする。 まれに効き過ぎて躁状態が出ることも分かった。 典型的うつ病では、 ▽早朝覚醒といって、朝方の睡眠が浅く不安定になる。 ▽うつらうつらするが、休養にならず回復感がない。 ▽朝方の睡眠がかえって気分を悪化させている。 断眠療法は、このうつ病に特有の悪い睡眠を回避することで、気分の悪化を防ぐものだ。1人で行うのは困難だが、効率的入院治療プログラムができれは価値ある治療法になるだろう(内山真・日本大学医学部清心医学講座教授) |
| うつ病に用いる西洋薬 | ||
| 三環性抗ウツ薬 | (1)三環性抗ウツ薬には以下のものがあります: 1.塩酸イミプラミン(一般名):「イミドール」「クリミチン」「トフラニール」 2.塩酸クロミプラミン(一般名):「アナフラニール」 3.塩酸アミトリプチリン(一般名):「アデプレス」「アトリプタール」「アミプタノール」「アミプリン」「塩酸アミトリプチリン「トリプタノール」「ノーマルン」「ミケトリン」「ミタプチリン」「ラントロン」 |
第1世代 |
| (2)アルコール 「アルコールと三環性抗ウツ薬を一緒に摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に上がる。原因は良く分かっていない。 |
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| 主にノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬 | 1.アモキサピン(一般名):「アモキサン」 2.塩酸ドレスピン(一般名):「プロチアデン」 3.塩酸ロフェプラミン(一般名):「アンプリット」 |
第2世代 |
| ノルアドレナリンだけの再取り込みを阻害する薬 | 塩酸マプロチリン(一般名):「ルジオミール」 | |
| ノルアドレナリンの放出を抑制している受容体を遮断して抑制を解除し、ノルアドレナリンの量を増やすもの | 1.塩酸ミアンセリン(一般名):「テトラミド」 2.マレイン酸セチプリン(一般名):「テシプール」 |
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| セロトニンの再取り込みを選択的に阻害する薬 | 塩酸トラゾロン(一般名):「デジレル」「レスリン」 | |
| 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 | SSRI | |
| セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 | SNRI | |
| SSRI | =選択的セロトニン再取り込み阻害剤。 (SSRI=selective serotonin reuptake inhibitor)。 従来の抗うつ剤と異なり副作用が少ないため、長期、継続投与が可能になるという。鬱病と鬱状態のほか、“戸締まりや火の始末が気になり外出できない”といった症状がある強迫性障害の患者への投与を日本で初めて厚生省に認められた。 神経伝達物質の1つであるセロトニンの量を調節する作用を持つ『SSRI』と呼ばれる医薬品。SSRIの国内販売は初めて。ベルギーの医薬品メーカー、ソルベイが開発、国内では明治製菓とソルベイ明治薬品が開発を進めてきた。明治製菓は『デプロメール錠』、併売する藤沢薬品は『ルボックス錠』という商品名で1999.5発売する。」 「うつ病・ウツ状態のほか、強迫性障害に対する効能・効果も初めて取得。SSRIは神経伝達物質の1つであるセロトニンの量を調節する働きを持ち、すでに海外では高い実績があった。欧米では抗うつ剤の市場の3/4を占める。「三環系」「四環系」に比べ、ノドの渇きやめまい・便秘といった副作用が少ない。欧米では仕事で悩みを抱えるビジネスマンが服用するよになり市場が拡大。日本でも「ハッピードラッグ」などの名で並行輸入業者が紹介、承認前からも愛用者も少なくないと言われる。 <1>マレイン酸フルボキサミン(一般名): 「デプロメール」(明治製菓) 「ルボックス」(藤沢) <2>塩酸パロキセン水和物(一般名):「パキシル」(スミスクライン) 「うつ病の治療薬として広く使われている塩酸パロキセチン水和物(商品名・パキシル)を18歳未満の重症のうつ病患者に投与した場合、自殺の危険性が増すことが2003年10/20」までに判明。厚生労働省は輸入販売元のグラクソスミスクラインに対し、18歳未満の大うつ病性障害患者への投与を禁止するよう添付文書の改訂を指示した。同省は「急に投与を中止すると、めまいや知覚障害などの症状が出る危険性がある。中止する際には徐々に減量してほしい」と強調している。 同社によると、グラクソ本社が英国で実施した7~18歳の患者に対する臨床試験では、大うつ病性障害の患者に対しいては有効性が確認できず、逆に自殺を考えるようになるなどリスクが2倍以上になったという。パロキセチンは、選択的セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)と呼ばれる新しいタイプの抗ウツ薬 |
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| SNRI | =セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)。 脳内で神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高める効果がある。副作用が少ない。 SNRIは脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの量を調節することで、抗ウツ作用を発揮する。それに対し、SSRIはセロトニンのみを選択的に調節する。SSRI・SNRI、どちらのタイプも、従来抗ウツ剤の主流だった「三環系」「四環系」といわれる薬剤と比べ、のどの渇きやめまい、便秘などの副作用が少ないのが特徴。 SSRIは、三環系などの薬に比べて副作用は少ないものの効果は劣るという指摘があるが、SNRIは旧世代の薬と同等の効果があり、さらに効果が早く現れる。 ◎塩酸ミルナシプラン(一般名): 「トレンドミン」(ヤンセン協和) |
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| 攻撃性 | 抗うつ薬で「攻撃性増す」 2009年6/24、抗うつ薬として広く処方されている「SSRI」は「SNRI」について、厚生労働省は・・・・「そううつ病患者や衝動性が高い障害を併発している場合など、他人への攻撃性が増す可能性がある」・・・として医薬品安全性情報をだして<慎重に投与するよう>医師に注意喚起した。 |
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| ミルタザピン | オランダの製薬会社が開発した飲み薬。1994年に発売、80ヶ国で使われている。 1週間以内に薬効が出る。 症状が重い患者にも |
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| 抗不安薬 | ベンゾジアゼピン系に注意 | ||
| マオ 阻害剤 |
MAO阻害剤 =monoamine oxidase inhibitor「MAOI」 ◎MAO阻害剤は、3種類の生物起源のアミン、すなわちノルアドレナリン、ドーパミンおよび5-HTならびに他のフェニルエチルアミン類の酸化的脱アミノ化を阻害する。MAO阻害剤は正常な気分に対してはほとんど影響を及ぼさない。 ◎消化管から吸収されやすく、2~3日で血中濃度は最高になる。 (1)MAO阻害剤には以下のものがある: 1.「フェネルジン」 2.「トラニルシプロミン」 3.「イソカルボキサジド」 (2)「ノルアドレナリンやセロトニンが足りないとウツ病になる(モノアミン理論)。ウツ症状を改善するためにMAO阻害剤(MAOI)が使われる。非定型うつ病に対しても使われる。
1.肝障害:服用量や投与時間に関係なく肝実質障害を起こす。 2.起立性低血圧 3.発疹 4.中枢神経症状:頭痛・振戦・眩暈・幻覚・不眠など。 5.ときに異常高血圧・異常高体温。 ★相互作用→「ロヒプノール」 |
| 【宝石療法】 | <1>[ルビー] <2>[珊瑚] <3>[ガーネット] |
| 【芳香療法】 | <1>ベルガモット <2>バジル <3>カミルレ <4>クラリセージ <5>ゼラニウム <6>ジャスミン <7>ラベンダー <8>メリッサ <9>ネロリ <10>パチュリー <11>サンダルウッド <12>イランイラン |
| 栄養療法 | 葉酸 |
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加味逍遥散 加味逍遥散+四物湯 甘麦大棗湯 桂枝加竜骨牡蛎湯 牛黄清心丸 四逆散 小柴胡湯 神秘湯 大柴胡湯 女神散 |
| [亜鉛][コウジン(紅参)][カルシウム][セントジョンズワート][有機ゲルマニウム][ローヤルゼリー][SOD][イソフラボン][真珠][胎盤エキス][西洋カノコソウ] |
| うつ病について(厚生労働省) |
| うつ病とは うつ病というのは、気分がひどく落ち込んだり何事にも興味を持てなくなったり、おっくうだったり、なんとなくだるかったりして強い苦痛を感じ、日常の生活に支障が現れるまでになった状態です。こうしたうつの状態は、日常的な軽度の落ち込みから重篤なものまで連続線上にあるスペクトラムとしてとらえられていて、原因についてはまだはっきりとわかっていません。うつ病のときのつらい気持ちを言葉で表現するのはとても難しいのですが、うつ病にかかっているある女性は、悲しくて苦しくて涙がこぼれ落ちそうになる直前に胸が強く締めつけられるようになる、そうした状態がずっと何日も、場合によっては何ヶ月も続いているようなものだと語ったことがあります。 うつ病は、以前は内因が関与している内因性うつ病と、心因が強く関与している心因性うつ病ないしは神経症性うつ病とに分けて考えられていましたが、現在はそうした原因がはっきりしないことや、内因性うつ病でも発症のきっかけとなる心因があることが多いことから、症状の形で分類されるようになりました。 それには、精神的に活発になりすぎていろいろな問題が出てくる躁の状態を体験したことがある双極性障害(以前の躁うつ病)と、抑うつ症状だけを体験する大うつ病性障害major depressive disorder(中核的なうつ病)、比較的軽い症状が長期間続いている気分変調性障害 dysthymic disorderなどがあり、全体を気分障害と呼びます |
| 症状
うつ病の基本的な症状は以下のようなものですが、大うつ病性障害と診断されるためには、このなかのうつ気分または興味や喜びの喪失のどちらかの症状を含む5つ以上の症状が存在している必要があります。しかもそれに加えて、期間(ほとんど毎日1日中、2週間以上持続)と障害の強さ(症状のために精神的ないしは社会的な障害が生じている)の基準を満たす必要があります。 また、症状数が2から4の場合に小うつ病性障害、大うつ病性の基準を満たさないうつ病症状が2年以上持続している場合に気分変調性障害と診断することになっています。 |
| 気分障害の分類 双極性障害 うつ病性障害 大うつ病性障害 小うつ病性障害 気分変調性障害 |
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頻度
危険因子
受診行動
経過
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治療
補足:双極性障害
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躁病エピソードの特徴的症状
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| 薬剤惹起性うつ病 (厚生労働省) 英名:Drug-induced Depression |
| 疾病の治療を目的として投与された医薬品により、「薬剤惹 起性うつ病」を発症する場合があります。インターフェロン製 剤、副腎皮質ステロイド薬などの服用により起こることが知ら れています。 もしも、何かのお薬を服用していて、次のような症状がみら れた場合には、医師・薬剤師に連絡して、すみやかに受診して ください。 「眠れなくなった」、「物事に興味がなくなった」、「不安やイラ イラが出た」、「いろんなことが面倒になった」、「食欲がなくな った」、「気分が落ち込んだ」 |
| 1.薬剤惹起性うつ病とは 薬剤惹起性うつ病とは、治療を目的として投与された医薬品によって生じたうつ病のことです。うつ病を起こしやすい薬物としては、インターフェロン製剤や副腎皮質ステロイド薬がよく知られています。 また、 レセルピン、 ベータ遮断薬、 カルシウム拮抗薬といった降圧薬や、 抗ヒスタミン薬、 経口避妊薬などでも報告があります。 2.早期発見と早期治療のポイント これらの医薬品を服用後に、「眠れなくなった」、「物事に興味がなくなった」、「不安やイライラが出た」、「いろんなことが面倒になった」、「食欲がなくなった」、「気分が落ち込んだ」など、うつ病の症状が出てきた場合には、まずはその医薬品によるうつ病の可能性を疑うことが必要です。 勝手に服用を中止することはせずに、まずは担当の医師と相談してください。出来ればその薬物を減量・中止して、経過を慎重に観察することが重要です。減量または中止してうつ病が改善すれば、その薬物がうつ病の原因であったことがわかります。しかし、減量や中止が困難な場合には、抗うつ薬などの薬物をさらに服用することがうつ病を治療するために必要となります。 |
| インターフェロン製剤によるうつ病 2001年12月に、C 型慢性肝炎に対して、IFN/リバビリン併用療法とコンセンサスIFN 療法が承認され、 2002年2月には、IFN の投与期間や再投与の制限が撤廃された。 さらに、2003年8月にPeg-IFN 療法が、 2004年10 月にPeg-IFN/リバビリン併用療法が承認された。 このように、従来の方法では限界の見えたIFN 療法が新しい時代に入り、IFN(Peg-IFN)が使用される機会は再び増加傾向にある。IFN(Peg-IFN)使用中には多彩な副作用がみられることは周知の事実となっている。中でも、精神神経症状はIFN 継続を困難にする重大な原因の1つである。 以下に、IFN の副作用としての抑うつ状態・うつ病に関して概説する。 (1)IFN の副作用 IFN 投与初期には、発熱、頭痛、全身倦怠感、食欲低下、関節痛、筋肉痛、悪寒などのインフルエンザ様症状がほぼ必発であり、IFN 単独治療では発熱は38℃以上になることが多いが、Peg-IFN での発熱は多くは38℃以下である。発熱に対してはしばしば非ステロイド性抗炎症剤で対処する。インフルエンザ様症状の強さはIFN の用量に依存するが,約1週間で、いわゆる「慣れ」の現象がおこる。しかし、中期以降にもインフルエンザ様症状が持続し、IFN の中止や精神症状発現の契機になりうるので、十分な注意と対処が必要である。その他のIFN の身体的副作用に関しては、ここでは割愛する。 (2)IFN による精神神経症状 ①IFN による精神神経症状の種類 IFN による精神神経症状の中で、最もよくみられるのは抑うつ状態であり、次いで多いのがせん妄である16,18,19,23)。他にも、極めて多彩な精神神経症状[不眠、不安焦燥状態、攻撃的な性格変化、躁状態、幻覚妄想状態、けいれん、軽度認知障害(健忘、短期記憶障害)、傾眠、昏睡などの意識障害(いわゆるIFN 脳症)]が報告されている。ただし、精神神経科医のもとで薬物治療を必要とするような副作用の頻度はIFN 単独治療でも数%である。 また、これらの症状は、必ずしも独立して起こるわけではなく、縦断面で、不安焦燥状態~抑うつ状態~せん妄と移行したり、横断面でも、抑うつ状態に軽度の意識混濁や健忘を伴う場合がある。 ②IFN による抑うつ状態の特徴 IFN による抑うつ状態は、大きく精神運動制止型と活動型の2 群に分けられる19)。前者は、全身倦怠感を伴い、意欲、活動性、言葉数、自発性の低下、興味の喪失を示す(全体にぼーっとした印象)で、後者は、強い不安感、焦燥(いらいら)感を前景とし、時に攻撃性を伴う(医療スタッフや家族に対して易怒的となる)。後者の方が日常診療で問題となることが多い。 近年、IFN による抑うつ状態は、純粋な抑うつ状態というより、抑うつに、焦燥や敵意、易怒性が加わった抑うつと躁の混合状態が多いとも報告されている。 ③早期発見と早期対応のポイント 多くの場合、抑うつ状態に不眠や軽い焦燥感が先行する16,18,19)。寝つきの悪さや、日中のいらいら(こらえ性がなくなる)が出現した場合、早期にベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬を使用することが推奨される(後述)。稀に、明らかな前兆もなく激昂したり、投げやりな態度、衝動的行為(入院中の無断外泊や飲酒など)、自殺企図がみられたりする場合があるが、その場合も注意深く観察すると、不眠と焦燥の先行がある。 ④IFN による精神症状の診断 IFN による精神症状は、IFN との時間的関係、IFN の減量や中止により精神症状の改善をみること、縦断的にみると精神症状が多彩に変化することなどから診断される。その発現形式は、Wieck の通過症候群としてとらえられる。 通過症候群は、正常の精神機能状態から意識混濁へ移行したり、逆に意識障害から回復し正常状態に移行するまでの中間段階を指し、その程度に応じて、発動性の低下、情動の変化(抑うつと躁)、気分易変性、健忘、幻覚・妄想などを生じるという概念である。IFN による精神症状は全体として通過症候群の特徴を備えている。その証拠として、IFN 使用中には、一見意識清明に見えるにもかかわらず1/3~半分の患者において徐波化(基礎律動の徐波化、α波減衰の消失、徐波群発の出現、光駆動反応の増強、過呼吸後の回復不良など)を中心とした脳波異常がみられる1,6)。このような症例では、活動性・言葉数・自発性の低下、あるいは短期記名力低下や問題処理能力低下などの軽度の認知障害を示すことがある。 ⑤IFN による精神症状の頻度 IFN による精神症状の頻度は、研究により精神症状の取り上げ方の基準が異なるので単純な比較はできない。我が国において、IFN 療法中のC 型慢性肝炎患者85 人を前方視的に追跡した報告では、IFN 療法中にうつ病エピソードを満たした者が37.3%、IFN を中止したのは9例(10.6%)であり、その主な理由が精神症状によるものが4 例(4.7%)であった。また、積極的な精神科治療かIFN の中止が必要であったのは14.1%と報告されている 我が国では2004 年12 月にPeg-IFNα2b/リバビリン併用療法が可能になり、C 型肝炎治療の第1 選択はこの治療になったが、多数例の解析でPeg-IFN、リバビリン併用48 週投与ではうつ病が4.1%、 うつ気分2.2%、うつ症状が7.1%の患者にみられている(2008 年3 月時点の副作用報告の集計)。またPeg-IFNα2a/リバビリン併用療法国内第III相試験(N=199)ではうつ病0.5%、抑うつ気分・抑うつ症状6.0%、Peg-IFNα2a 単独治療(N=178)ではうつ病5.6%と報告されている。これらは全て主治医判断であり、うつ病、抑うつ気分、抑うつ症状の正確な鑑別は困難ではあるが、精神神経用薬投与やIFN の中止などの何らかの対処が必要な中等症以上の精神症状は、5~10 数%で、対処は必要としない程度の軽症の精神症状は、約30%にはみられると考えられる16,18,19,23)。ただ、C 型肝炎にIFN 治療が開始された1990 年代と比べて、副作用やその素因に関する治療する側の医師の知識が増え、不眠を訴える頃から眠剤などの投与が行われ、精神科医のもとでの治療を必要とするような重篤な副作用の頻度は明らかに減少している。Peg-IFN は週1回投与であり患者の負担が少ないが、患者の高齢化により精神症状の頻度はIFN 単独でもPeg-IFN/リバビリン併用療法でもほぼ同様である5,10)。Raison らは、169 人のC 型肝炎患者を対象としたPeg-IFN/リバビリン併用療法試験で、治療中39%において抑うつの悪化を認め、抑うつはリバビリン量(対体重比)と有意な相関を示したと報告している。 ⑥IFN による精神症状の発現時期と経過 高木は、IFN による精神症状は、IFN 投与後1 ヶ月以内の発症が60%以上で一番多かったと報告した23)。Malaguarnera らの報告14)ではIFN開始4週後が、他の報告17)では12 週後が、最も抑うつの重症度が高かった。IFN 投与後、1~3 ヶ月は注意が必要であるが、Peg-IFN/リバビリン併用療法は通常48~72 週投与されることから、より後期に副作用が出現する傾向になる。なお、IFN の中止後数日~10 日程で消退する16,18,19,23)といわれていたが、IFN 中止後も精神症状が1 ヶ月以上持続する場合23)も比較的多く観察され、注意が必要である。特に精神病症状や意識障害を示した例では、症状が遷延することがある (3)IFN による精神症状発現の危険因子 IFN による精神症状発現の危険因子として、高用量、高齢、脳器質性疾患(脳萎縮、外傷、脳腫瘍)、精神疾患既往歴や薬物乱用歴、および現在の精神疾患への罹患、IFN 開始前の抑うつ、不眠傾向、疾患に対する不安の強さが挙げられる。また、併用するリバビリンが高用量であった場合(補足:対体重比投与で800-1400mg/日と投与量は変わる)、抑うつ症状(depressive symptoms)の出現頻度が有意に増加したとの報告がある。 精神疾患既往歴、薬物乱用歴、現在精神疾患に罹患していることは必ずしもIFN の禁忌とはならないが、重要な危険因子として考えるべきであることは確かである15)。場合によっては、入院の上、内科医と精神科医との連携が必要となる。 (4)IFN による精神症状の発現機序 多彩な作用を持つIFN が外部から人体内に大量に入ることにより、神経-免疫-内分泌系のバランスを崩し、直接・間接的に精神症状を惹起する。IFN は、分子量が2 万前後であり、正常脳では血液脳関門(Bloodbrainbarrier: BBB)を通過しないが、第三脳室前壁近傍などからわずかに中枢神経内へ移行しうることが確認されている。 また、IFN の視床下部-下垂体-副腎皮質系や視床下部-下垂体-甲状腺系を介する作用、IFN のオピオイド作用、ドパミンアンタゴニストやアゴニスト作用、ノルアドレナリン、トリプトファン、セロトニンを介した作用、IL-1、IL-2、IL-6、TNF の分泌を誘導したり、TNF-receptor、IL-1α、IL-5、IL-6-receptor、IL-8 を抑制する作用などが関連すると考えられている。他に、IFN 自体が、海馬の神経新生を抑制するとの報告もある。 (5)IFN による精神症状の予防と治療 ①IFN の減量・中止および種類の変更精神症状の出現とともにIFN を中止、または減量することが推奨されている。希死念慮、幻覚妄想、せん妄などの意識障害、躁状態では中止すべきである。軽症の抑うつの場合、IFN の減量や薬剤投与で治療継続可の例が多い。IFN 300 万単位/日の場合、軽い抑うつはあったが、IFN を中止するほどの者はいなかったとの報告がある。 Malaguarnera らは、天然型IFN がrecombinant IFNαより抑うつの惹起が少なく、患者にあったIFN への切り替えを強調しているが、わが国ではPeg-IFN/リバビリン併用療法、Peg-IFNα2a,天然型IFNα、天然型IFNβの単独治療が主で、Peg—IFN/リバビリン併用療法ではリバビリン量にも注意する必要がある ②精神神経用薬およびその他の薬物療法 軽症の抑うつ状態に対しては、パロキセチン塩酸塩水和物、フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やミルナシプラン塩酸塩のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など新しい抗うつ薬を使用しながらIFNを継続することが推奨されている7)。ミルナシプラン塩酸塩は肝臓のミクロゾーム代謝経路を経由しないので、特に肝炎の患者に有用である可能性がある。 不安や焦燥に対してはロラゼパム、不眠にはロルメタゼパムが推奨される。いずれも代謝において肝臓への負担が少ない。 ③精神療法的アプローチ IFN による精神症状には患者の心理・社会的要因も大きく関与していることが多い。なぜなら、純粋にIFN による作用のみで精神症状が起きているなら、IFN の使用期間の延長にともない、精神症状の頻度が増すはずだが必ずしもそうではなく、治療期間の終了が近づくに伴い改善することも多い。また、C 型肝炎患者は、肝硬変、肝癌への進行の不安を常に抱えている。実際、IFN を受けていないC 型慢性肝炎患者自体に抑うつや不安が多く認められたとの報告もある。IFN 投与に際しては、十分なインフォームドコンセントのもと、受容的・支持的な態度で接し、精神症状を注意深く観察する。特に不眠や焦燥感が、抑うつに先行して出現するので、それを患者が気軽に相談できる環境を作ることが重要である。 IFN により抑うつが出現した方が抑うつがない場合より、肝炎ウイルスへの治療反応性は良好であったとの報告があり、注目される |
| 3.副腎皮質ステロイド薬によるうつ病 (1)ステロイド薬による精神症状の種類 1940 年代後半にステロイド薬が導入されて以来、喘息、アレルギー、膠原病、種々の皮膚疾患などさまざまな病態に用いられている。その効果は広く認められているが、副作用もさまざまで、躁状態、抑うつ状態(ステロイド薬によるうつ病)、幻覚・妄想状態、せん妄などのさまざまな精神症状が生じうる。その中で、うつ病は頻度が比較的高い精神症状である。 (2)ステロイド薬の投与量 プレドニゾンの投与量が40mg/日を超えるとうつ病の発症率が増加するという意見がある12)が、後述するように、10~20mg/日程度であってもうつ病を生じる可能性がある。 (3)ステロイド薬の投与期間 早い患者ではステロイド薬の投与初日に生じ、遅い患者では3 ヶ月以降になる。多くの症例では数日から1、2 週間後が多い。 (4)患者側の危険因子 女性が罹患しやすいが、年齢や精神疾患の既往の関連は否定的である。 (5)早期に認識しうる症状 ステロイド薬投与後に、抑うつ気分や不安感、焦燥感、不眠や食欲低下など、うつ病の一般的な症状として生じることが多い。しかしながら、いわゆる制止型うつ病の病像というよりは、焦燥型うつ病の病像をとるものが多い印象がある。したがって、不安感や焦燥感などは重要な指標と考えられる。 (6)病態生理 うつ病患者では血中コルチゾール値が高く、海馬も萎縮していることが指摘されている。クッシング症候群の患者においても海馬が萎縮しており、その程度が血中コルチゾールと相関していることが報告されている。さらに、副腎腫瘍を切除してクッシング症候群が治癒すると血中コルチゾールの正常化に伴い海馬の体積も正常化したことが報告されている。このようなことから、ステロイド投与の際にも同様の現象が生じ、抑うつ状態が発症する可能性が推測される。Brown らは、プレドニン(国内未承認:調査時の平均15.6mg/日)を平均92ヶ月投与されていた17名の患者(プレドニゾン投与群)と、身体疾患や性・年齢を一致させた15名(対照群)の患者の海馬の体積、代謝率、記憶と気分を比較した。その結果、プレドニゾン投与群の方が対照群よりも左の海馬は7%有意に小さく、右の海馬は9%有意に小さく、海馬の代謝率(N-acetylaspartate を指標にしたもの)、記憶、気分も有意に悪かった。これらの所見は、ステロイドが海馬に影響を与えて形態やその機能を障害し、記憶や気分を損なう可能性を示唆している。この研究でさらに興味深いことは、平均15.6mg/日という比較的少量のステロイドで有意な変化が認められていることである。 (7)早期発見と早期対応のポイント まずは、ステロイド薬を投与する際に、抑うつ状態が生じる危険性を念頭に置くことが重要である。どの程度の投与量で生じるのかは個人差があるが、先にも述べたように、40mg/日を超えると起こしやすいので要注意であるが、先述したBolanos ら2)やBrown ら3)など最近の報告では10 mg/日台で抑うつ状態を惹起する可能性もある。また、女性に投与するときも要注意である。 鑑別を要するのは、全身性エリテマトーデス( Systemic lupuserythematosus: SLE)などしばしば精神症状を生じうる原疾患に対してステロイド薬を投与した時である。その抑うつ状態がSLE によるものか、ステロイド薬によるものか、結局はSLE の活動性の推移とステロイド薬の投与の経過を縦断的に検討して判断することが重要となる。ステロイド薬を減量して精神症状が改善すれば、ステロイド薬による可能性があり、その逆(ステロイド薬を減量して精神症状が増悪)は原疾患による精神症状が疑われる。 (8)治療方法 もし、ステロイド薬が減量できるようであれば、主治医と相談の上、減量することが原因治療となる。しかし、原疾患の活動性が亢進しており減量できないとき、もしくは減量しても抑うつ状態が改善しないときに薬物治療が必要となる。以前から、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬を投与すると焦燥感や幻覚・妄想が悪化することが多いことが知られている。そこで、リチウムや選択的セロトニン再取り込み阻害薬27)を投与する試みがなされており、それなりの効果をあげている。しかし、依然としてエビデンスとしては不十分であり今後の検討が必要である。 (9)参考事項 1983 年にLewis らは自験例と合わせた総説をまとめた。投与量に関しては、プレドニゾン(国内未承認)を40mg/日以上投与されていた患者に多く精神症状が生じていた。有病率に関しては、比較的軽度の気分変化を把握したの研究(比較対照をもたないもので、患者数は計935 名)では、ステロイド薬による精神症状の有病率は13から62%(重み付け平均27.6%)であった。比較的重度の精神症状を扱った研究(やはり比較対照をもたないもので、患者数は計2,555 名)では、1.6%から50%(重み付け平均5.7%)であった。精神症状の種類は、55名の症例報告を検討したところ、22名(28%)は躁状態、32名(40%)は抑うつ状態、6名(8%)は混合状態、11名(14%)、8名(10%)はせん妄であった。危険因子として年齢、精神疾患の既往はやはり否定的であるが、女性であることは原疾患の性差を考慮しても、なおステロイド薬による精神症状と関連しているものと考えられる。 抑うつ状態に限定した調査では、Patten20)が2000 年にカナダの一般人73,402 名を対象とした横断的な調査を行っている。回答のあった70,538 名中815名が調査の前月にステロイド薬を服用していた。ステロイド薬を服用していた者の大うつ病の有病率は11.1%(95%信頼区間は6.6~15.5)、服用していない者のそれは4.1%(3.8~4.5)で有意差があった。さらにPatten ら21)はステロイド薬のみならず降圧薬や抗ヒスタミン薬、ホルモンなど抑うつ状態を起こしうると報告されている薬物に関し広く調査を行った。ここでもステロイド薬と抑うつ状態の関連は有意であり、ステロイド薬を服用していた者の大うつ病有病率は服用していない者の2.28倍(95%信頼区間は1.11~4.68)で男性では0.92倍(0.13~6.43)と有意でなく、女性では3.02倍(1.74~5.24)と有意であった。年齢では、45歳以下ではステロイドの服用者に3.61倍(1.92~7.76)有意に大うつ病が多く、45 歳より年長だと1.57 倍(0.37~6.58)と有意差が消失した。これらは、横断的な研究であり、因果関係を示唆するものではない。 ステロイド薬が精神症状の原因となりうることを示すには、ステロイド薬を投与せず他の患者背景が同様の対照群と比較することが必要となる。2004年にBolanos ら2)は、少なくとも7.5 mg/日のプレドニゾン(国内未承認)を6 ヶ月以上投与されている患者20名と、ステロイド薬を投与されておらず他の患者背景が同様の対照群14名を精神症状の点から比較した。患者群は調査時点で平均19.1mg/日のプレドニゾン(国内未承認)を平均10年間投与されていた。その結果、患者群では調査時点で抑うつ状態が認められた患者が3名、対照群では0名、患者群で過去プレドニゾン(国内未承認)投与中に抑うつ状態が認められた患者は7名、対照群では0名であり、有意に患者群の方が抑うつ状態に罹患した、もしくは罹患している患者が多かった。ハミルトンの抑うつ状態評価尺度得点も患者群の平均が16.2点、対照群の平均が4.5点と有意差が認められた。これらの所見は、ステロイドが抑うつ状態を惹起する可能性を強く示唆していると考えられる。また、以前の研究ではプレドニゾン(国内未承認)40mg/日がひとつの閾値となっていたが、それよりも少ない量で抑うつ状態が引き起こされる可能性も示唆される |
| 【症例1】 50 歳代、女性 既婚、主婦、出産時輸血歴あり、まじめな性格 約5年前より肝機能障害を指摘される。2年前の健康診断で、トランスアミナーゼの上昇を認めたため、近医受診し、C 型慢性肝炎と診断され、大学病院を紹介された。 大学病院内科入院後、ジェノタイプ、高ウイルス量のため、Peg-IFNα2b 100μg 1回皮下注/週とリバビリン 200mg錠4錠 2×朝夕を48 週間の予定で開始した。 2週間後、退院した。 4週後より、食欲不振の持続と、不眠(入眠困難、熟睡困難)を認めたため、ゾルピデム10mg/日を眠前に服用開始した。 その後、ゾルピデム服用により、不眠は多少改善したが、次第に、食欲不振、全身倦怠感、意欲低下、興味の減退、日中のいらいら、人に当たる(焦燥感)が強くなり、家事が手につかなくなる。 6週後、内科より、精神科に診察依頼。中等度のうつ状態との診断であったが、本人はIFN の継続を希望し、かつ、希死念慮を認めなかったため、Peg-IFNα2b を60μg に減量、リバビリンは同量で継続しながら、ミルナシプラン50mg/日 2×朝夕を投与開始した。 8週後、ミルナシプラン100mg/日に増量した。 10 週後、次第に、全身倦怠感、焦燥感、意欲低下改善、家事が可能となる。 20 週後、ミルナシプランを使用しながら、Peg-IFNα2b を100μg に戻す。 その後は、大きな変化なく、48 週間のIFN/リバビリン併用療法を終了した。 ミルナシプランは、IFN 療法終了後、4週目より、50mg/日に減量、6週目より、25mg/日に減量し、8週目には中止した。 その後、うつ状態の再発はない。 (ミルナシプランは肝臓代謝酵素阻害が少ないため、肝機能障害患者のうつ状態治療に向いている) |
| 【症例2】 40 歳代、女性 既婚、明るくまじめでがまん強い性格 突然、右手の脱力と運動失語が生じた。脳血管障害を疑われ神経内 科へ入院した。精査の結果、全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。 SLE の治療目的で40mg/日のプレドニゾロンが開始された。 その1ヶ月後に抑うつ状態を呈し、自殺念慮、不安感、焦燥感、食欲低下、不眠が出現した。この時点で既にSLE の活動性は低下していたため、抑うつ状態はSLE の精神症状というよりはむしろプレドニゾロンの副作用と考えられた。そのため30mg/日へ減量されたが改善を認めず、内科治療にも拒否的となり、離院を試みたために精神科へ入院した。 入院後、マプロチリンやミアンセリンなどの四環系抗うつ薬を順次開始したが、いずれも効果なくむしろ焦燥感や自殺念慮が増悪し、自殺企図を繰り返した。そこで、気分の安定化を目的にリチウムを600mg/日から開始したところ、数日以内に改善した。しかし、SLE に伴う腎機能障害のために、増量せずとも血中リチウム濃度が0.4mEq/L から0.8mEq/L へ上昇した。さらに、手指振戦が粗大になったので、いったんリチウムを中止した。その結果、まもなく抑うつ状態は再燃し焦燥感や自殺念慮も顕著となった。今度はリチウムを400mg/日から再開したところ、血中濃度は0.4 mEq/L で抑うつ状態も改善した。 その後、精神状態はさらに安定し、患者は自ら進んで歩行訓練を始めるようになった。 リチウム400mg/日とプレドニゾロン20 mg/日を継続しつつ、入院から2 ヶ月後に退院した。退院6 ヶ月後、プレドニゾロンが10 mg/日へ減量された時点でリチウムを中止したところ再燃は認めなかった。さらに退院3 年後、経過を尋ねたところ、プレドニゾロンは5mg/日へ減量されており、患者はリチウムを服用する必要もなく精神的に安定していた。 |
| その他の精神障害との関連 (厚生労働省) | ||
| 1) 発動性障害 発動性障害(脳器質性障害が原因の無気力状態)とうつ病は重複する点も多いですが、臨床的に区別することは可能です(Anderssonら,1999)。無気力の患者は、意欲は低下していますが、アンヘドニア(楽しみを感じられない状態)がなく、うつ的思考も稀です。無気力は抗うつ薬よりも行動療法的介入によく反応します。 |
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| 2) 認知症(痴呆症) うつ病が痴呆に併存する場合、若干症状が変化します。 例えば、罪悪感や無価値感などのうつ思考を認めることが少なく、奇声や焦燥などの問題行動が増えます。 うつ病によって認知障害が引き起こされることがあります(いわゆる仮性痴呆)。 慢性うつ病の患者は、記憶の座である海馬が障害を受けている可能性があります。 |
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| 3) 器質性気分障害 うつ病は全身疾患や薬物によっても誘発されます。 全身疾患によるものは“器質性気分障害(DSM-IV-TRでは“一般身体疾患による気分障害”)“と呼ばれ、若年者と比較してその率が高いために、注意が必要です。 |
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| 4) 双極性障害(いわゆる躁うつ病) 双極性障害の一部としてうつ病が起こることがあります。通常はより若い年代で発症します。 晩発性の発症の場合には、器質性の脳疾患の存在を疑いましょう。 |
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| 5) 血管性うつ病vascular depression 近年提唱されている新しい分類です。皮質下線条体―淡蒼球―視床―皮質経路を栄養する終末動脈の障害によって、気分の調節に関与する神経伝達系が障害され、うつ病が引き起こされるという仮説が立てられています。実際に脳血管性障害が直接の原因になっているかどうかはまだ証明されていません。実行機能障害を併存する可能性が高く、抗うつ薬単独療法には反応しにくいとする研究もあります。血管性うつ病の特徴を表3.3に示しました。
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