副作用の概要
- 自覚症状
- 味覚障害の症状はその多くが自覚症状である。その症状は以下のように分類される。
- @ 味覚減退:「味が薄くなった,味を感じにくい」
A 味覚消失・無味症:「全く味がしない」
B 解離性味覚障害:「甘みだけがわからない」
C 異味症・錯味症:「しょう油が苦く感じる」
D 悪味症:「何を食べても嫌な味になる」
E 味覚過敏:「味が濃く感じる」
F 自発性異常味覚:「口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる」
G 片側性味覚障害:一側のみの味覚障害
- 薬物性味覚障害では、@味覚減退、C異味症・錯味症、F自発性異常味覚(苦味や渋味)などが多く、進行するとA味覚消失・無味症に至ることもある。
- 他覚症状
- 薬物性味覚障害において,明確な他覚症状はない。味覚検査、血液検査などによって、その症状を把握することはできるが、患者自身の主観的な訴えによるところが大きい。
- 臨床検査
- @ 血液検査
- 血液一般検査(貧血の有無)、微量元素(亜鉛、銅、鉄)、ビタミンB12などの検査を行う。また、鑑別のために糖尿病、肝機能、腎機能などの検査も行う。
- A 味覚機能検査法
- 味覚機能検査により味覚障害の診断および程度を評価するのに重要である。味覚機能検査には幾つかあるが、患者及び症状により使い分ける。現在、広く用いられているのはろ紙ディスク検査法および電気味覚検査法である。
・ろ紙ディスク法 (filter-paper disc method; FPD method):
- ろ紙ディスク検査法は「甘味」、「酸味」、「苦味」、「塩味」の4つの基本味を、具体的に蔗糖(甘味)、酒石酸(酸味)、塩酸キニーネ(苦味)、食塩(塩味)を含んだ液を直径5 mmのろ紙ディスクに含ませ、舌表面に置き、味を判定させる。
・全口腔法:
- ろ紙ディスク法と同様に味液を口腔に垂らして、口腔内全体で味覚の有無を測定する方法もある。高齢の方などには時間がかからない利点があるが、領域ごとの味覚機能を判定することはできない。欧米では比較的汎用されている。
・電気味覚検査 (electrogustometry; EGM):
- 電気味覚計を使用し、陽極の直流電流で舌を刺激すると、鉄くぎをなめたような金属味や酸味を感じることにより判定する(不関電極は被検者の頸部に装着)。
・味覚の検査部位
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- 舌前方(2/3):鼓索神経
- 舌根部:舌咽神経
- 軟口蓋:大錐体神経
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- B 唾液分泌検査
- ガムテスト(正常値:10 mL以上/10分)を行い、口腔乾燥症の参考とする。
- 発症機序
- 味覚の生理的観点から、三つの味覚異常発症機序が考えられる。
- @ 味物質の運搬
- まず、味物質を含む食物が唾液と混じり合い溶液となって、味蕾の先端の味孔の微絨毛に到達することが重要である。微絨毛に味覚受容体があり、ここで味物質が受容体と反応する。この段階は唾液が必須である。唾液分泌低下は唾液の溶解作用、抗菌・殺菌作用や保護作用も低下をきたすので、味孔内への細菌や食物残渣の侵入がおこり、味物質の味覚受容器への拡散を阻害する。唾液分泌を低下させる薬剤には、降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、精神安定薬などが挙げられる。
- A 味覚受容器への影響
- 味蕾の機能低下や異常によるもので、舌苔、舌炎、放射線障害、薬剤の副作用、内分泌疾患、肝・腎障害などが関連している。鉄欠乏性貧血による平滑舌、ビタミンB12欠乏によるHunter舌炎にみられる味覚障害はこれに含まれる。また、味覚障害の発症機序に、副腎皮質ステロイド、金属などの微量元素などの関与が示唆され7,8)、なかでも、必須微量元素の一つである亜鉛との関連性がよく検討されている9)。味覚障害をおこす可能性のある薬剤は200種類以上とされる。その発現機序は、薬剤の亜鉛に対するキレート作用、これに続発する亜鉛欠乏による味細胞のターンオーバーへの影響などが原因として指摘されている。
- B 神経伝達異常
- 味蕾から中枢への味覚伝達の異常で、ウイルス感染、悪性腫瘍、頭部外傷、外科手術、脳梗塞などが関連している。また、歯科での下顎孔の伝達麻酔による障害なども含まれる。
このなかで薬物性味覚障害は、@とA が圧倒的に多く、Bは少ない。
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