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薬剤による
再生不良性貧血


汎血球減少症

再生不良性貧血 」「貧血」「息切れ」「出血」「紫斑病」「薬剤アレルギー」「くすり情報

再生不良性貧血
(厚生労働省) 赤血球、白血球及び血小板の3系統の血液細胞の母細胞である骨髄の多能性造血幹細胞の障害によって、すべての血球の産生が減少する重篤な貧血。
症状 発熱、貧血、紫斑などの出血症状
原因となる主な薬剤 抗悪性腫瘍剤(6-メルカプトプリン、アクチノマイシンD)、
合成抗菌剤(ST 合剤、スルファメチゾールなど)、
抗生物質(クロラムフェニコールなど)、
解熱鎮痛消炎剤(イブプロフェン、スリンダク、ピロキシカムなど)、
抗てんかん剤(フェニトイン、エトトインなど)、
精神神経用剤(チオリダジン、ペルフェナジン、クロルプロマジンなど)、
糖尿病用剤(クロルプロパミド、トルブタミドなど)、
抗リウマチ剤(ペニシラミン)、
H2 ブロッカー(シメチジン、ファモチジンなど)、
痛風治療剤(アロプリノール)など

再生不良性貧血  (厚生労働省
英語名:Aplastic anemia
同義語:汎血球減少症
  • 骨髄で血液が造られないために、血液中のすべての血球が減ってしまうことで起きる「再生不良性貧血」は、医薬品によって引き起こされることもあります。何らかのお薬を服用していて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。
    • 「あおあざができやすい」、
    • 「歯ぐきや鼻の粘膜からの出血」、
    • 「発熱」、「のどの痛み」、
    • 「皮膚や粘膜があおじろくみえる」、
    • 「疲労感」、
    • 「どうき」、
    • 「息切れ」、
    • 「気分が悪くなりくらっとする」、
    • 「血尿」
1. 再生不良性貧血とは?
  1. 再生不良性貧血とは、骨髄で血液が造られないために血液中の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気です。骨髄とは、骨の中にあるスポンジ状の部分で、血球が産生される場所です。3 種類のすべての血球が減る(汎血球減少)ことにより、さまざまな症状が出現します。赤血球、白血球、血小板のそれぞれの血球の減少時期が異なる場合もあり、とくに血小板減少のみが先行して血小板減少性紫斑病と診断された後に、貧血や白血球減少が出現してはじめて、再生不良性貧血と診断されることもあります。
  2. 貧血の症状としては、「皮膚や粘膜があおじろくみえる」ほか、進行すると「疲労感」や「どうき」、「息切れ」などを訴えるようになります。貧血の進行がゆっくりな場合には、症状がみられないこともあ
    ります。
    なかでも、血小板が少ないと皮膚に青あざができやすくなり、歯ぐきや鼻の粘膜からの出血がみられることがあるので注意が必要です。
    好中球が減少すると、敗血症や肺炎といった重症な感染症にかかりやすくなります。とくに好中球500/μL 以下では、その傾向が高くなります。
  3. 医薬品の薬理作用として骨髄抑制をおこしうる抗がん剤では、血球減少が予測できますが、ある種の抗生物質や解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬などによっても汎血球減少をおこすことがあります。頻度の差はあるものの、基本的には多くの医薬品が再生不良性貧血の原因となりうると考えなくてはなりません。
    医薬品投与中に発症することが大部分ですが、なかには服用中止後に発症した症例も報告されています。
    なお、再生不良性貧血はほとんどの場合、原因が不明であり、このような場合は、「特発性再生不良性貧血」とよばれています。小児においては、特殊な型としてファンコニー貧血のように遺伝性のものもありますが、その頻度は高くありません。また、原子力発電所の事故で大量に放射線をあびた場合や、ウイルス性肝炎のようなある種の感染症のあとにみられることもあります。
2.早期発見と早期対応のポイント
「あおあざができやすい」、「歯ぐきや鼻の粘膜からの出血」、「発熱」、「のどの痛み」、「皮膚や粘膜があおじろくみえる」、「疲労感」、「どうき・息切れ」、「気分が悪くなりくらっとする」、「血尿」といった症状が見られた場合で医薬品を服用している場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。ただちに医療機関を受診し、診察や血液検査を受けることが勧められます。
再生不良性貧血の診断には、骨髄での血液産生の有無を調べるため、骨髄検査が必須です。
再生不良性貧血には、先に述べたように医薬品に起因する他、様々な原因があります。再生不良性貧血と診断された場合には、使用中の医薬品のみならず、最近1 年間に使用した医薬品について、医薬品名、使用量、使用期間について担当医師に伝えることが大切です。
1.早期発見と早期対応のポイント
(1)早期に認められる症状
  • 初期症状としては、
       「体幹や四肢の出血斑」、
       「歯肉出血」、
       「鼻出血」、
       「発熱」、
       「咽頭痛」、
       「顔面蒼白などの貧血症状」、
       「疲労感」、
       「動悸」、
       「息切れ」、
       「めまい」、
       「血尿
    が挙げられるが、貧血症状は遅れて観察されることが多い。
(2)副作用の好発時期
  • 一定の傾向はみられず、医薬品の種類やその発症機序の違いにより、その期間は異なる。
    原因となる医薬品のなかでは、クロラムフェニコールによる発症機序が最もよく研究されている。クロラムフェニコールによる汎血球減少は、用量依存性の可逆性のタイプと、特異体質による非可逆性タイプとが知られている。用量依存性の場合には、その多くは投与開始から6~10 週以内に発症する。特異反応による場合は、投与開始直後からも起こりうるが、3週~5 ヶ月おいて発症した報告が多い。
    フェニトインやカルバマゼピンのような抗てんかん薬では、特異反応による発症機序が考えられているが、発症までの平均期間は3 ヶ月である。
(3)患者側のリスク因子
  • 同じ医薬品を投与されても、特定の個人のみで発症する理由については遺伝的素因が考えられているが、その詳細は明らかではない。遺伝的背景が関与する根拠としては、クロラムフェニコールによる再生不良性貧血が、親族や一卵性双生児の両方に発症した報告がある2)。遺伝的素因としては、ヒト白血球抗原(HLA)や薬物代謝酵素の遺伝子多型が考えられている。
(4)投薬上のリスク因子
  • 細胞毒である抗がん剤やクロラムフェニコールのように用量依存性の発症機序が考えられている医薬品では、投与量や投与間隔が再生不良性貧血の発症に関連するが、多くの医薬品では特異反応によるものであり、通常の投与量や投与間隔でも発症しうるため、予測が困難である。
(5)患者もしくは家族等が早期に認識しうる症状
  • 汎血球減少による貧血、出血傾向、感染症などがみられた場合には、血液検査によって本症が発見される。本症の原因となりうる医薬品、そうでなくても長期間医薬品を投与する場合には、定期的に血液検査をおこなうことで、症状が出現する前に本症を発見することが可能である。
(6)早期発見に必要な検査と実施時期
  • 末梢血の血液検査、さらに血液検査で異常がみられた場合には、骨髄検査をすることでその診断は比較的容易である。これまでに再生不良性貧血の副作用報告がある医薬品については、投薬中は4 週間に1 回、定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施することが望ましい。
2. 副作用の概要
  • 再生不良性貧血は、末梢血での汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする症候群である。それぞれの血球減少の程度に応じて、貧血、出血症状、易感染症が出現する。軽症から最重症に分類されるが、重症や最重症患者においては、充分な治療が行われなければ短期間に死亡にいたるケースも多い。わが国における年間新患発生数は人口100 万人あたり5 人前後と推定されており、これは欧米の2~3 倍の発症率である。その大部分は、血液幹細胞を標的とした自己免疫疾患と考えられており、医薬品に起因すると考えられる再生不良性貧血の発症頻度は低く、わが国の最近の統計では5%以下である。
    再生不良性貧血の発症と医薬品との因果関係やその発症機序については不明な点が多く、発症機序に関する研究も細胞免疫機序の解明が主である。医薬品による再生不良性貧血の発症機序として、用量依存性の場合もあるが、その多くは特異反応によるものと考えられている。
(1)自覚的症状
  • 汎血球減少に基づく様々な症状が出現する。重要な症状としては、労作時の息切れ、動悸、めまいなどの貧血症状や歯肉出血、鼻出血、血尿などの出血症状がみられる。好中球減少による重症感染症に罹患した場合には、発熱が持続する。
(2)他覚的症状
  • 顔面蒼白などの貧血症状や体幹や四肢の出血斑、歯肉出血などの出血症状がみられる。
(3)臨床検査値
  1. 血液検査で汎血球減少を認める。
    • 汎血球減少とは、
      • ヘモグロビン:男12.0 g/dL 未満、女11.0 g/dL 未満、
      • 白血球:4000/μL 未満、
      • 血小板:10 万/μL未満
      を指す。
  2. 骨髄穿刺所見では、有核細胞数の減少、特に巨核球の減少とリンパ球比率の増加が特徴的である。
    血球の形態には、異形成を認めない。
    骨髄生検で細胞密度を評価することが望ましい。
(4)画像診断所見
  • 骨髄穿刺や骨髄生検で評価できるのは、ごく一部の骨髄に限られるので、全身の造血能を評価するために胸椎や腰椎のMRI をとることもある。典型的な再生不良性貧血では、脂肪髄のためTI 強調画像では均一な高信号となる。
(5)病理検査所見
  • 骨髄生検像では、細胞密度の低下がみられる
(6)発生機序
  • 特定の個人のみに医薬品に起因する再生不良性貧血が発症する理由については、不明といわざるを得ないが、最近では医薬品の解毒作用をもつ酵素の遺伝子多型に関する研究が行われている。
    抗てんかん薬による薬剤性再生不良性貧血に罹患した患者において、薬剤代謝産物を解毒する作用が減弱していることが解明されたことから、解毒作用をもつ酵素の一種であるGlutathione S-transferase(GST)の遺伝子多型についての研究が行われた。
    ドイツにおける小児再生不良性貧血の患者の検討では、GST theta-1(GSTT1)遺伝子が欠落しているnull genotype を有する場合には、後天性再生不良性貧血に罹患するリスクが高いことが判明した(オッズ比:2.8 倍)。
    韓国からの報告でも同様に、GSTM1,GSTT1欠損遺伝子をもつ頻度は、正常人コントロールと比較していずれも高かった。(オッズ比:3.1 倍)。
    これら 2 つの研究は、薬剤起因性再生不良性貧血患者のみでなく、特発性を含む後天性再生不良性貧血患者を対象とした研究であるが、医薬品に起因する再生不良性貧血の発症機序を考えるうえで参考となる研究である。
(7)医薬品ごとの特徴
投与量に依存性のタイプは、医薬品の投与の中止により可逆的に回復するが、特異反応によるものは用量非依存性で不可逆的変化であり、充分な治療がおこなわれなければその予後は不良である。すぐに医薬品がどちらかの機序に明確に区分されるわけではなく、発症機序がよく研究されているクロラムフェニコールにおいては、両方の機序が関与すると考えられている。
最近では、関節リウマチの治療薬として低用量メトトレキサート(MTX)が広く用いられているが、MTX に起因する汎血球減少が注目されている。Lim らは、1999 年から2004 年までに25 例のMTX による汎血球減少を経験し、そのうち5 例が敗血症により死亡したことを報告している。
わが国においても、汎血球減少をおこした原因医薬品として副作用報告されている原因医薬品のうちでは、MTX が最も多い。MTX 投与中に汎血球減少をきたすリスクファクターとしては、
  1)腎不全の合併、
  2)葉酸欠乏、
  3)高年齢、
  4)低タンパク血症、
  5)プロトンポンプインヒビター(PPI)や
  利尿薬の併用
などがあげられている。

(8)副作用発現頻度
再生不良性貧血の発症自体が人口 100 万人あたり年間5 人程度とごく稀であり、そのうち医薬品に起因するものはさらに少数である。よって、各医薬品による再生不良性貧血の発症頻度は明らかにされていない。

3. 副作用の判別基準(判別方法)
薬剤性再生不良性貧血においても、他の原因による再生不良性貧血と同様の診断基準や重症判定基準が用いられる。表1には、厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班によって提案されている診断基準、表2には重症度分類を示す。

4.判別が必要な疾患と判別方法
表3には、再生不良性貧血と判別すべき疾患名を示す。これらの疾患のうち特に判別が困難であるのは、骨髄が低形成の不応性貧血(RA)と骨髄不全型の発作性夜間血色素尿症(PNH)である。血球の形態異常の有無や骨髄染色体所見から、再生不良性貧血とRA を鑑別するが、RA においても免疫抑制療法に反応する場合があり、両疾患を厳密に区別するのは不可能である。また、再生不良性貧血においても、GPI アンカー型タンパクを欠損するPNH タイプ血球の増加がみられることがあり、典型的な再生不良性貧血からPNH への移行例も知られており、両疾患は共通の病態をもつ類縁疾患と考えられている。
骨髄異形成症候群(MDS)との判別には、骨髄染色体検査が、
発作性夜間血色素尿症との判別には、ハムテスト、シュガーウォーターテストやフローサイトメトリーによるCD55 陰性、CD59 陰性血球の検出が有用である。
表3 再生不良性貧血の鑑別診断
●骨髄が低形成を示すもの
   低形成の骨髄異形成症候群
   発作性夜間ヘモグロビン尿症の一部
   有毛細胞白血病の一部
   低形成性白血病
●骨髄が正〜過形成を示すもの
   一次性の血液異常
   骨髄異形成症候群
   発作性夜間ヘモグロビン尿症の一部
   有毛細胞白血病の一部
   急性前骨髄球性白血病の一部
   骨髄線維症
   二次性の血液異常
   全身性エリテマトーデス
   脾機能亢進症(Banti症候群、肝硬変など)
   血球貪食症候群
   ビタミンB12または葉酸の欠乏
   敗血症などの重症感染症
   アルコール依存症
5.治療方法
薬剤性再生不良性貧血による治療で最も重要なことは、疑わしい医薬品の服用を直ちに中止することであり、それと同時に強力な支持療法を血球減少の程度に応じ開始する。
貧血に対する赤血球輸血の施行は、ヘモグロビン値を7 g/dL 以上に保つことが一つの目安である。血小板数が5,000 以下/μL、または鼻出血などの粘膜出血がある場合は、血小板輸血の適応がある。重症感染症の合併がみられた場合には、適切な抗生物質、抗真菌薬を投与するとともに、好中球数が500 /μL 以下であれば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与も考慮する。
医薬品の投与中止後4 週間たっても造血の回復傾向がみられない場合には、他の原因による再生不良性貧血と同様に、
  1)造血幹細胞移植、
  2)免疫抑制療法、
  3)蛋白同化ホルモンによる治療も考慮する。
治療の詳細については、文献などのガイドラインを参照する。
6.典型的症例の概要
【症例】30 歳代、男性
10 年前に急性糸球体腎炎に罹患、ある年の1 月から慢性腎不全に移行、7 月からはフロセミド(160 mg/日)、8 月からはアロプリノール(200 mg/日)を投与されていた。
入院前日までは元気であったが、入院当日鼻出血と歯肉出血に気付き、近医を受診、血液疾患を疑われ紹介入院となった。入院時の身体所見では、肝脾腫やリンパ節の腫大はみられなかった。検査ではヘモグロビン9.2g/dL、白血球数2,300/μL、(好中球32%、リンパ球64%)、血小板30,000/μL と汎血球減少を示した。1 週間後の検査では、ヘモグロビン5.8 g/dL、白血球1,400/μL、血小板15,000/μL と汎血球減少はさらに進行した。同時期におこなった腸骨骨髄の塗沫標本は著明な低形成であり、骨髄球系や赤芽球系細胞比率の減少、相対的にリンパ球比率の増加がみられた。巨核球は確認されなかった。骨髄生検像は著明な脂肪髄であった(図1)。
再生不良性貧血と診断し、直ちにアロプリノールの投与を中止した。
入院1 ヶ月後から網状赤血球数の増加がみられるようになり、同時におこなった骨髄生検でもいまだ低形成ではあるも、骨髄球系細胞や赤芽球系細胞は前回と比較して増加していた。
この間、ヘモグロビン値を7 g/dL 以上に保つように定期的な輸血をおこなった。入院3 カ月後には、白血球数6,100/μL(好中球50%、リンパ球39%)、血小板63,000/μL に達し、骨髄検査でも造血細胞の回復が確認され退院となった。血球数の推移を図2に示す。
7.その他、早期発見・早期対応に必要な事項
再生不良性貧血と診断され、医薬品の投与を中止しても改善がみられなければ、同種骨髄移植の施行が可能な専門病院へ早期に紹介するのが望ましい。

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