| 喘息(ぜんそく) |
| 関連情報 |
「せき」「小児喘息」「気管支喘息」「心臓性喘息」「咳喘息」「ケイレン性咳嗽」「人畜共通感染症」「呼吸困難」「不安」「ストレス」「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」「乾咳」「心身症」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」 |
| 副作用で喘息がおきる | |
| 要注意 | 「インデラル」「セレクトール」「セロケン」「テノーミン」「ミケラン」「ロキソニン」 |
| アスピリン喘息 | アスピリンや酸性非ステロイド抗炎症鎮痛剤でひどい喘息発作を起こすことがあり、一般にアスピリン喘息と呼ばれる。これらの薬は市販薬にも広く含まれており、飲み薬だけでなく張り薬や座薬などにも含まれている為、気付かずに使用してしまう恐れもある。又、『アスピリン喘息』の人は薬や食品の添加物として使用される「防腐剤」や「着色料」にも反応することがあり、以前にそのような既往歴がある人は十分用心することだ。 この種の喘息は喘息患者の約1割に見られ、女性に多いと言われる。 30〜40才代で罹患する。副鼻腔炎・臭覚低下など鼻の病気を伴うことが多い。発作はかなり重く、喘息による突然死の約4割をしめる。アスピリン以外に、インドメタシン・非ステロイド性坑炎症剤・一部の着色剤・一部の防腐剤でも誘発される。」 |
| ベーター遮断薬 | 喘息患者が用心しなければならない、もう一つは『ベーター遮断薬』だ。これは「降圧剤」や「心臓の薬」として一般内科診療でもしばしば使われる。ベーター遮断剤は「緑内障」の治療薬にも含まれており、点眼しただけで喘息発作を起こし死亡したという例もある。 |
| ACE阻害剤 | 『ACE阻害剤(降圧剤)』が副作用として空咳を引き起こすことはよく知られているが、これを引き金にして慢性喘息の症状が悪化したという話もある。又、薬本体には喘息を誘発する作用がなくても、吸い込んだ噴霧液の刺激で気管支ケイレンを引き起こす例もある。1996.10.19《日本経済新聞》 |
| セラトロダスト | 「セラトロダスト」(商品名ブロニカ錠)の副作用とみられる肝障害で4人が死亡。 |
| 喘息発作 | 喘息発作とは、アレルギー症状により引き起こされる気管支の攣 縮による発作をいう。 原因となる主な薬剤= NSAIDs ・アスピリン ・インドメタシン ・ロキソプロフェンナトリウム コハク酸ヒドロコルチゾン、 コハク酸メチルプレドニゾロン など |
| 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(厚生労働省) | |
| 喘息発作の分類 | |
| 小発作 | 苦しいが横になれる。会話普通。動作普通。 |
| 中発作 | 苦しくて横になれない。会話やや困難。動作かなり困難。 |
| 大発作 | 苦しくて動けない。会話困難。動作不能。 |
| 喘息の程度 | |
| ステップ1 | (1)喘鳴とせき。 (2)週1〜2回の短い発作。 (3)夜の発作:月1〜2回。 |
| ステップ2「中等度」 | (1)週1〜2回の発作。日常生活や睡眠に支障。 (2)夜の発作:月2回を超す。 |
| ステップ3「中等度」 | (1)慢性的に症状あり。 (2)β2遮断薬が毎日必要。 |
| ステップ4「重症」 | (1)治療していても、症状が常にある。 (2)夜の発作:しばしば起きる。 (3)日常生活を制限される。 |
| 喘息 asthma(独) |
=アストマ。 ◆発作性呼吸困難の発作を繰り返す。 ◆気管支のケイレン性収縮に伴う喘鳴音を伴う。 ◆肺の小さな通路(気管支)の筋肉が痙縮することで引き起こされるケイレン性(発作性)の呼吸困難状態ですが、病気の本質は炎症です。 →「咳喘息」 ◆吸気より呼気が困難になる。 ヒューヒューと音(喘鳴)がします。 1.気管支喘息 asthma bronchiale 2.心臓性喘息 asthma cardiale 3.尿毒症性喘息 asthma uraemicum ◆患者の6〜7割は、大人になってから発病しています。 ◆小児喘息は思春期にほとんど治ります。 |
| 喘息はアレルギーや細菌の感染によって、気管支が慢性的な炎症を起こしている状態。アレルギー(花粉・ハウスダスト)、細菌やウイルス、タバコなどの刺激、アルコール、運動(過労)、ストレス、気温の低下などいろいろな原因で起きる。 | |
| 秋に多い。 ・ダニ・・・夏に繁殖し、気温が低下する秋に死亡する。その死骸を吸い込むことで発作が起きる。 ・秋には朝晩の気温が低下する。短時間に気温3℃前後下がると発作が起きやすい。 ・上空の気温と地上の気温→地上付近の気温が上空より下がる(逆転層)ことで、地上付近の大気汚染物質が舞い上がる。 ・秋の雨は、昼の気温が朝より下がることで発作が起きやすい。 |
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| ・アレルギー性喘息 ・アトピー性喘息 ・肺胞性喘息 ・気管支喘息 ・気管支炎喘息 ・心臓喘息 ・ネコアレルギー喘息 ・カタル性喘息 ・ケイレン性喘息 ・綿屑性喘息 ・皮膚性喘息 ・肺気腫性喘息 ・本態性喘息 ・外因性喘息 ・食事性喘息 ・ヘバーデン喘息 ・ウマアレルギー性喘息 ・湿性喘息 ・感染性喘息 ・内因性喘息 ・イソシアン酸塩喘息 ・花粉喘息 ・粉砕職人喘息 ・製粉職人喘息 ・神経性喘息 ・花粉喘息 ・陶工喘息 ・反射性喘息 ・性的喘息 ・症候性喘息 ・胸腺性喘息 |
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| 哮喘 | 漢方の病証名。 哮証と喘証が合併したもの。 「哮」=呼吸が気急し、痰鳴声があるもの。咳の発作時には哮と喘が一緒に現れるので哮喘と言われる《丹渓心法》 |
| 気道過敏症 | リンパ球の一種が原因 「2008年、理化学研究所はアレルギー性喘息の発作を引き起こすもとになる『気道過敏症』の発症の仕組みを動物実験で解明した。 成果は11/17の米科学誌に掲載 アレルギー物質の吸引で生じるタンパク質に、リンパ球の一種が反応し、気道収縮を引き起こすという。喘息患者の多くが様々な外部刺激に反応しやすく、気道が収縮する気道過敏症になっており、症状が続くと発作につながる。ただ、詳細なメカニズムが分からなかった。 理研は、リンパ球の一種『NKT細胞』のうち、表面に『IL-17RB』という構造のタンパク質を持つ細胞が、気道過敏症の原因になっていることを突き止めた。 遺伝子操作でこのNKT細胞を無くしたマウスでは、アレルギー物質を投与しても気道収縮などの症状が起きなかった。 アレルギー物質が体内にはいると徳雄種名タンパク質分子ができ、IL-17RBと結合。その後、気道の炎症などを起こす細胞の働きが活性化するという。IL-17RBの働きを抑える物質の投与で発症を抑えられた。 |
| チェック | ◆発症しやすい体質→「SNP」 ◆気道が過敏な人・・・・喘息に注意・・・・・・ 「成人の喘息通院患者954人のアンケート。462人の回答結果、薬を飲まないで5年以上発作がない人が8%、3年以上無発作の人も加えると16%だった。これらの人は、初診時の気道過敏性検査で、弱いことが判明。逆に過敏性が強い人には、長期間症状が出ない人はほとんどいなかった |
| カビ | 風呂場のカビに注意 「浴室のタイルの目地を黒く汚すカビ。洗い落とそうと水をかけると、浴室内に大量のカビが飛び散ることが、大阪市立環境科学研究所の浜田信夫研究主任(45)の実験で分かった。水分がカビの胞子の放出を促進するためらしい。カビの胞子は気管支喘息やアルルギー疾患の原因になると言われる。 実験は浴槽内の高さ1.5mの位置にカビの生えたシャーレを取り付け、 1.扇風機でカゼを当てる 2.25℃の水でスプレーする 3.41℃以上の湯をスプレーする方法で比較。 「 2.の方法では、カビの胞子が爆発的に吹き出し、10秒後には自然状態の約500倍に増え、20分後でも約40%が残り、健康上の問題があるとされる状態(10000個/1‰)が40分以上続いた。 |
| リンゴ | 英国のアバディーン大学の研究チームは、妊娠時に[リンゴ]や[魚]を食べていた女性が産んだ子供は、喘息やアレルギー症状になるリスクが低くなる可能性があるという成果をまとめた。 1200人以上の子供を対象にした調査で分かった。 妊娠中の母親の食事と、子供が5歳になった時点の呼吸器やアレルギー症状を比べた。 これまでも妊娠中の女性が[ビタミン]や[亜鉛]を摂取すると子供が喘息などになるリスクが抑えられるとの研究はあった。 5歳ごろまでの子供は妊娠期間中の母親の食事の影響が大きい。 |
| 喘息死 | (5〜34歳で急増) 「喘息による死が、日本では若い世代を中心に1980年代から急増している。とくに軽症や、重症までいかない中等症の患者の死亡の増加が目立つ。 国内では、人口10万人当たりの喘息による死者は70年の8.8人をピークに下降線をたどり、5.0人だった78年以降は多少の増減はあっても、ほぼ安定した状態が続いていた。ところが、5〜34歳の年齢層に限ると、増加傾向にあり、80年代半ばから、その傾向が強まった。 喘息の症状は、発作の回数などから重症・中等症・軽症の3段階に分けられるが、最近は中等症・軽症患者の死亡率が高くなっている。 日本小児アレルギー学会の喘息死委員会がまとめた89〜91年の報告例51件をみると、重症41%、中等症20%、軽症26%。92年に報告のあった17件でみると、重症30%、中等症35%、軽症12%。どちらも、残りは不明だった。 “重症でないからと、あなどるのは危険” と、東京都立荏原病院(大田区)の小児科医長で、日本小児アレルギー学会・喘息死委員会の委員長も務める松井猛彦医師は話す。“まず、軽症でも死ぬことがあると認識すること。そして、主治医の指示通りに薬を飲み、助言通りに生活しても症状が改善しなければ、再び相談することも必要”と言う。 松井医師は別の病院に勤めていた7年ほど前、『間一髪』の経験をした。 仕事を終えて帰ろうとしていた午後7時過ぎ、救急車で患者が運ばれてきた、幼い頃喘息を発病し、診察を受けていた当時16歳の少女だった。それまでは中等症だったが、その日初めて重い発作を起こし、病院に着いた時には心臓も呼吸も止まっていた。残っていた5、6人の医師で治療に当たり、息を吹き返したが、後で本人は“まさか喘息で死ぬなんて思わなかった”と話したという。 前後して、軽症だった子供の患者が2人相次いで発作のために死んだ。 ★重要なことは、それまで軽い発作しか起こしたことがないとしても、重い発作は起こりうる。ということだ。 [興奮して暴れ出す] [尿や便を漏らす] [息をするたびにゼーゼーといっていたのが、急に音がしなくなる] といった症状が出たら要注意。これらは意識がなくなる直前によく見られるので、すぐに救急車を呼ぶ必要がある。歩かせるのも厳禁だ。 呼吸が出来なくなって低酸素状態が続くと、中枢神経がやられてしまうことがある。発作は止まったものの脳死状態になってしまう例が増えているという。又、数歩歩いただけで症状が急に悪くなることも多い。 テレサテン 「歌手テレサ・テンさんが42歳で世を去ってから、もうすぐ3年になる。喘息死だった。厚生省によると、ここ10年ほどは国内で毎年6000人前後が喘息死で亡くなっている。 船橋市立遺糧センターの金弘・救命救急センター部長によると、死亡につながる大きな喘息発作の多くは、自宅など病院外で起きている。 1995年、同救急センターはオーストラリアの医師が開発した手法を導入した。発作を起こした人の胸を呼吸に合わせて押す。必要があれば、高濃度酸素を吸わせる。「胸郭外胸部圧迫法」と呼ばれ、呼吸を効率よく補助し、死につながる低酸素血症を防ぐのが狙いだ。この圧迫法を取り入れてから、搬送した喘息患者で死亡した人は1人もいない。それ以前には、出来るだけ急いで運ぶことしか頭になかった。 炎症を抑えるのに、大きな力を発揮するのが、吸入ステロイド剤だ。約20年前に欧米で開発され、日本でも10年ほど前から使われ始めた。ステロイド剤は、喘息治療薬として長い間、内服や注射で使われてきたが、骨や皮膚がもろくなるなどの強い副作用が出る欠点があった。吸入方式なら炎症を起こす気管に直接薬が届くため、必要量は少なく、効果は大きい。通常の使用量なら副作用もほとんど出ない。 |
| 喘 息 管 理 の 国 際 指 針 |
昨年、米国立心肺・血液研究所と世界保健機関(WHO)が、牧野さんら17カ国の専門家を集めて「せんそく管理の国際指針」を作成した。 指針によると、客観的な病状は『ピークフローメーター』で知る。最大呼気流量を測る器具で、大きく息を吸い、一気に吐き出す時の目盛りを読む。気管支の太さを反映しており、健康な人は10%程度しか変動しないが、喘息患者は50%も変動する。「高血圧患者の血圧や、糖尿病患者の血糖値と同様、この値で初めて患者の状態が分かる。病状の変化の予測や、薬の量などを決めるデータにもなり、中等度以上の患者には不可欠だ」と牧野荘平・独協医大名誉教授。 国立療養所西新潟中央病院の月岡一治・内科医長によると、現在、ピークフローメーターは英米製の4機種が使われている。月岡さんは、機種や年齢・体格ごとの標準値をまとめた医師向けの啓蒙書「日本人のピークフロー値」(協和企画通信)を昨年秋に出版した。 喘息治療の主役はもちろん薬だが、その内容は、世界と日本では驚くほど違っている。日本では喘息薬というと80%が飲み薬だ。しかも1日分の薬価が他の薬の数倍も高い為、喘息薬全体の売り上げの60%以上を飲み薬の抗アレルギー薬が占めている。この種の薬はフランスでは4%、ドイツでは1%英米はほとんどゼロと対照的だ。一方、各国で50%〜80%を占める吸入薬は、日本では10%強にすぎない。 国際指針は、日常的な予防維持薬として吸入ステロイド薬、急性症状時には吸入気管支拡張薬、内服気管支拡張薬を勧め、内服抗アレルギー薬の大半は有効性が確認されていないと述べている。 |
| 毎年 6000人 死亡 |
まるで鼻をつまんだ状態で細いストローで一生懸命息を吸っているようなもの」・・・・・・・・・・群馬大学医学部の森川昭廣教授は喘息患者が発作を起こしたときの息苦しさをこう表現する。 患者は気道が慢性的に炎症を起こしている。タバコの煙、ダニなどアレルギーを引き起こす物質や虫、環境の変化、ストレスなどが引き金となって気道が狭まると呼吸が苦しくなり、特有のヒューヒュー、ゼーゼーという音の早い呼吸が始まり発作につながる。 患者は世界的に増加傾向にある。米国立衛生研究所(NIH)によると、世界全体の喘息患者数は1億5000万人以上。アイルランドでは人口の30%に達するという。日本の喘息患者は300万人以上。罹患率は30年前の2倍以上。発作による呼吸困難などで1年間におよそ6000人が亡くなっている。 予防に最も効果があるとされるのが吸入ステロイド薬。欧米で広く使われており、日本でも患者に使用が認められている。ところが治療現場では副作用を心配して余り普及していないという。これに対して、昭和大学の足立満教授は「吸入ステロイド薬は飲み薬に比べ少ない量で効果があるうえ、吸入薬は肝臓で無害化する。声がかれるという副作用が報告されているが、吸入後にうがいをすれば心配ない」と説明する。 発作を未然に防ぐのに大切と専門家が口をそろえるのが、自分で体の状態を記録する「ぜんそく日誌」を作って管理すること。発作が起きた時間や症状の他に、「ピークフロー値」と呼ばれる値を測り記録する。 ピークフロー値は息を勢いよく吐き出した時の速度で、喘息で気道が狭くなっていると空気が通りにくくなり値が小さくなる。 喘息は発作が収まると自己判断で薬を止めてしまう患者が多い。こうした人は再び急な発作を起こすことがある。「症状が良くなっても吸入を根気よく続けて欲しい」と足立教授はアドバイスする。 発作の頻度が数年に1回程度の軽症患者だと毎日ステロイド吸入をする必要があるか悩む。ピークフロー値が1つの目安になる。発作があまり起きていなくてもピークフロー値が日や季節によって変動するようであれば、吸入を続けるのが望ましい |
| ペット | 「“尻なめた舌でわが口なめる猫 好意謝右するに余りあれども”という歌が昨年夏、朝日新聞文化面のコラムに載っていた。 筆者は寒川猫持といい、大阪の歌人で眼科医となっていた。猫を溺愛している様子がよくわかる。 文章では、犬と違って、猫が飼い主をなめるのは余程のことで、アイ・ラブ・ユーの印だとしている。だから、猫持さんは黙ってなめてもらっているのだろう。 私はこれまで、日本人の行き過ぎた清潔志向について述べてきたが、ことペットに関する限り、日本人のこの極端な清潔志向がどこかに飛んでいってしまっているように思える。→「ペット感染症」 ペットと一緒に寝たり、食べたりするのは当たり前。平気でキスもする。かわいいペットなら、飼い主にとっては、風呂に入れなくてもいつまでも清潔らしい。部屋はあまり掃除もせず、ペットの毛が散らばっていても平気というような人が多いようだ。 私の妹もそのタイプの人間だ。 彼女は5年ほど前にマルチーズ犬を飼った。名前を「モモ」と名付け、自分の子供のように「ネコかわいがり」をしていた。 昨年夏、妹は風邪を引いた。かぜ薬や抗生物質を飲んでも、微熱やせきの症状は一向に改善されなかった。 半年くらい経過したある夜、妹は急に呼吸が出来なくなり、救急車で大学病院に運ばれた。 私の大学の吉沢靖之教授(内科)に診察してもらった結果、妹は犬の毛や皮膚が原因の気管支喘息だった。 吉沢教授によると、妹は「モモ」と離れて暮らすしかないということだった。「モモ」を子供よりもかわいがってきた妹にとって、とても出来ない相談だった。 妹は歯科医院を開業し、私の両親と同居していたこともあって、忙しくて部屋の掃除が行き届かなかった。早速、妹は家全体の大掃除をした。 吉沢教授は、「モモ」も風呂にこまめに入れ、よくブラシをかけて清潔に保つように指示していた。 私のところには、「うちの子供は犬にお尻をよくなめさせている。その後、お互いにキスしているけれど、病気は大丈夫でしょうか?」などという相談もくる。 日頃、清潔・潔癖主義を通している日本人が、電車の吊革や他人の使ったボールペンなどを「きたない」といって持たない一方で、おしりをなめたペットとキスを平気でするという極端な現象を私は不思議に感じる。 |
| 妊娠時 | のストレスが一因 2008年、カナダで開かれた米国胸部学会(ATS)で、米ハーバード大のグループは、強いストレスにさらされた妊婦の子供は、喘息などのアレルギー症状を起こしやすくなると報告した。 研究チームは新生児387人を対象に、臍の緒に含まれるアレルギーの原因抗体のレベルを分析。同時に妊娠中の母親のストレスの強さや、家庭の中でアレルゲンとの接触度合いを調べた。 その結果、強いストレスを受けている母親は、アレルゲンが少なくても、子供の抗体が高レベルになる傾向があった。 |
| ピ-クフロ- ・ メ-タ- |
●ぜんそくの状態把握 「鼻や口から吸った空気はノド・気管・気管支を通って肺に入り、気管支の末端にある肺胞という小さな袋状の場所に達する。肺胞では新鮮な空気から酸素が取り入れられ、体内で発生した二酸化炭素が血中から吐き出される。二酸化炭素が多めになった空気は気管支などを通って体外に出ていくことになる。 気管支喘息では、この空気の通り道である気管支が炎症を起こして狭くなる、狭い筒状のところを空気が急速に流れるので、聴診器を胸にあてると、ヒューヒュー、ピーピーなどと笛のような音がする。症状がひどくなると、聴診器をあてなくても、呼吸に会わせて音が聞こえるようになる。もっとひどくなると出入りする空気の量が少なくなり、音が聞こえなくなってしまう。 気管支が狭くなった状態を最も簡便に測ることが出来る器械がピークフロー・メーターである。ピークは最大、フローは流量という意味。口にマウスピースを当て思いっ切り息を吐き出し、ポインター(表示針)が指す目盛りに数字を読みとる。この数字が気管支を通ってきた空気の最大流量である。 ピークフロー・メーターで最大流量をチェックすれば、自宅でもぜんそくの経過を把握することが出来る。気管支の炎症が薬で和らいでいるか、発作が起きそうかなどがある程度分かるので、喘息の治療には不可欠な器械である。」 |
| 治 療 は 組 み 合 わ せ で |
「全国で患者数が300万人を超えると言われる喘息の治療法が変わりつつある。これまで主流だった気管支を広げる治療薬の使い過ぎはむしろ逆効果で、アレルギーを抑える薬や炎症を食い止める薬などをうまく組み合わせることが重要だと分かってきた」 <1>過剰投与で死亡。 「今年3月、東京都立荏原病院小児科の松井猛彦医長が中心となって調べた厚生省の研究班の報告が問題になった。90年から96年までに日本アレルギー学会に報告された喘息死のうち11件は、噴霧式のベーター刺激薬と呼ぶ治療薬の過剰投与が原因と見られるとしたからだ。 ベーター刺激薬の一般的な副作用は心臓がドキドキしたり、手が震えたりする。ひどいときには不整脈から心不全に陥ることがあるという。昭和大学医学部の足立満教授は「噴霧式が便利だからといって安易に使わないほうがいい」と戒める。」 <2>原因は? 「喘息は、これまでアレルギー反応による気管支の収縮が原因で息苦しくなる疾患と見られていた。そのため、気管支を広げる効果のあるベーター刺激薬などの気管支拡張剤を吹き込むことで発作を抑えるという治療が取られてきた。 ところが、近年の研究成果により、気管支の収縮は喘息発作の第一段階に過ぎず特殊なタンパク質が気管支の上皮を傷つけ、炎症を起こす第二段階があることが分かってきた。さらにこの炎症により気管支が敏感になり、発作が起こりやすくなるという悪循環に陥るという。 気管支の上皮を傷つけるタンパク質を放出するのが、白血球の一種で寄生虫を殺したりする好酸球だ。好酸球の活性化を抑えれば、喘息が起きにくくなる。その役目を果たすと期待されているのが炎症を抑えるステロイド剤。吸入器を使って患部に直接吹き付ける方法が採られている。 こうした新しい治療法のきっかけは、92年に米国で出た「喘息管理リポート」。93年には日本アレルギー学会が「アレルギー疾患ガイドライン」を作製し、喘息が気管支の炎症による疾患であることを定義した。 <3>新しい治療方法 「今では「炎症を抑える治療が大切」という考え方が広がりつつある。 “発作が起きたときや起きそうな時だけ[気管支拡張剤]を使い、その他は発作の予防薬として[抗アレルギー剤]や[吸入ステロイド剤]を使い分けることが必要”と足立教授はアドバイスする。 ただし、ステロイド剤にしても全身に吸収されると、吐き気など深刻な副作用に見舞われるので、使い方には注意が必要。薬を勝手に止めると、発作が前より悪くなることもあるという。 <4>自己管理 「薬に依存しすぎないためにも、喘息治療には自己管理が不可欠。気管支の収縮の程度や炎症の状態を評価する道具が用意されている。ピークフロー(最大呼気流量)メータと呼ぶもので、大きく息を吸ってから、この筒型の道具に息を吹きかけ、肺機能の状態を調べる。朝夕の1日最低2回。喘息の状態を把握し記録しておけば、自分で最適な薬を選びながら発作を抑えることも可能になるという。 ただし、ほとんどの喘息の原因はアレルギー反応によるもの。それだけに松井医長は“ダニやほこりなど、アレルギーの原因となる発症因子を家の中から除去することも自己管理のうち”と強調している |
| 遺伝子異常 | 英ダンディ大学のチームは2006年、皮膚表面の湿度を保って異物を閉め出す保護層の形成に大きな役割を果たす『フィラグリン』と呼ぶタンパク質の生成に関与する遺伝子が突然変異によって機能を失うと、皮膚から体内に異物が侵入してアトピー性皮膚炎や喘息を発症しやすくなることを発見。 (http://www.dundee.ac.uk/)ソームナート・ムコパダイ博士らは、さらに同じ遺伝子異常を持つ人は3〜6倍の頻度でステロイド剤を多く吸入する必要があることを突き止めた。 論文はhttp://www.jacionline.org/article/PIIS0090674907006483/ |
| 喘息ー吸入式治療薬 | ||
| プロピオン酸ベクロメタゾン | アルデシン | エアゾール 100エアゾール 100Dエアゾール |
| ベコタイド | 50インヘラー 100インヘラー |
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| タウナス | ||
| ベクラゾン | ||
| プロピオン酸フルチカゾン | フルタイドロタディスク | |
| フルタイドディスカス | ||
| フルタイド50エアー | ||
| ブテソニド | パルミコート | タービュヘイラー |
| 西洋薬 | ・交感神経刺激薬 ・吸入ステロイド剤 ・吸入β2刺激薬 ・キサンチン誘導体
・気管支拡張剤 |
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| 【禁忌】 | <1>β遮断剤 <2>コリン作動剤 <3>解熱鎮痛剤(アスピリン喘息の人) |
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| 【芳香療法】 | <1>ベルガモット:肺の感染症 <2>カミルレ:アレルギー <3>クラリセージ <4>ラベンダー:肺の感染症 <5>ネロリ <6>バラ <7>乳香: 1.気管支炎・カタルを併発しているとき。 2.呼吸を深くする |
| 【色彩療法】 | <1>紫色(発作中) <2>緋色(発作中) <3>オレンジ色(発作中)(緩解期) <4>レモン色(緩解期) <5>赤紫色(緩解期) |
| 【宝石療法】 | アンバー |
| 食事療法 | サバ |
| 【民間療法】 | アカザ アロエ:痰の切れをよくする。 ザクロ:実の皮+甘草 センブリ:胸が詰まるような発作に ヨモギ |
| [カルシウム][ローヤルゼリー][スクアレン][有機ゲルマニウム] [クマイ笹] |
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| 針灸のツボ | 「肺兪穴」《沢田流聞書鍼灸眞髄》 |
| 針灸いろは歌 | “ぜんそくや百日咳に悩むとき中府、上ヘ、肺兪、尺沢” |
![]() |
温清飲 葛根湯 ![]() ![]() 桂枝茯苓丸 柴胡桂枝乾姜湯 柴胡桂枝湯 柴朴湯 柴朴湯+スクアレン 柴朴湯+霊芝 柴朴湯+紅参+カルシウム 柴朴湯+真珠+スクアレン 三黄瀉心湯 滋陰降火湯 四逆散 四君子湯 芍薬甘草湯 小建中湯 小柴胡湯+半夏厚朴湯 小青竜湯 小青竜湯+麻杏甘石湯 神秘湯 大柴胡湯+半夏厚朴湯 大承気湯 通導散 桃核承気湯 当帰建中湯 当帰芍薬散 人参湯 麦味地黄丸 麦門冬湯 八味地黄丸 半夏厚朴湯 半夏瀉心湯 平胃散 防風通聖散 麻黄附子細辛湯 麻黄湯 麻杏甘石湯 木防已湯 六君子湯 苓桂朮甘湯 苓甘姜味辛夏仁湯 苓姜朮甘湯 |
| 鑑別(投与目標) | 漢方薬 |
| 咳嗽激しく、発作時に頭部に発汗して喘鳴を伴い、咽喉がかわく者。 | 麻杏甘石湯 |
| 高熱悪寒があるにもかかわらず、自然の発汗が無く、身体や関節が痛も者。あるいは咳嗽や喘鳴がある者。 | 麻黄湯 |
| 色のうすい水様のタン・鼻汁、クシャミ、喘鳴、咳嗽、流涙のある者。 | 小青竜湯 |
| 激しいせきに | 小青竜湯+麻杏甘石湯 |
| 貧血冷え症で、喘鳴を伴う喀痰の多い者。 | 苓甘姜味辛夏仁湯 |
| こみ上げてくるような咳で、顔が真っ赤になる咳。タンは少量でねばく出しにくい。時にはタンに血が混じることもある者。あるいはのぼせて咽喉が渇き、咽喉に異物感があるもの。 | 麦門冬湯 |
| やや慢性に経過し、咳嗽発作とともに、呼吸困難を訴える者。 | 神秘湯 |
| 精神不安があり、咽喉から胸元にかけて閉塞感があり、胃部に停滞感や膨満感がある者。 | 半夏厚朴湯 |
| 胸痛や背痛、あるいは胸水があって、胸元や胃部がつかえ、尿量減少する者。あるいは咳嗽して粘稠なタンが出る者。 | 柴陥湯 |
| 喘息発作 | |
| (厚生労働省) | 喘息発作とは、アレルギー症状により引き起こされる気管支の攣縮による発作をいう。 |
| 症状 | 呼吸困難 |
| 原因となる主な薬剤 | NSAIDs(アスピリン、インドメタシン、ロキソプロフェンナトリウム)、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸メチルプレドニゾロンなど |
| 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作 (厚生労働省) 英語名:Asthmatic attack due to NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs) 同義語:アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、NSAIDs 過敏喘息、鎮痛剤喘息症候群 |
| 「喘息発作」は、医薬品によって引き起こされる場合もあります。 アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)あるいは解熱鎮痛薬でみられ、また総合感冒薬(かぜ薬)のような市販の医薬品などでもみられることがあるので、何らかのお薬を服用していて、次のような症状が見られた場合には、医師に連絡して、すみやかに受診し てください。 「息をするときゼーゼー、ヒューヒュー鳴る」、「息苦しい」 受診する際には服用した医薬品をお持ちください。なお、喘息の治療中で、あらかじめ、吸入や緊急時の医薬品の服用など、指示された処置がある方は、まずそれをおこなってください。 |
| 1. NSAIDs(エヌセイド)による喘息発作とは? アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)あるいは解熱鎮痛薬によって、発作が引き起こされる喘息です。 アスピリン喘息とも呼ばれます。 しかし、アスピリンだけでなく、ピリン系、非ピリン系に関わらずほとんどの解熱鎮痛薬が原因となります。医療機関で処方される非ステロイド性抗炎症薬だけでなく、市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬の多くにアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬が含まれています。また、ほとんどの痛み止めの坐薬、塗り薬、貼り薬などにも非ステロイド性抗炎症薬が含まれています。 症状は特徴的であり、典型的な発作では、原因となる医薬品を服用して短時間で、鼻水・鼻づまりが起こり、次に咳、喘鳴ぜんめい(ゼーゼーやヒューヒュー)、呼吸困難が出現し、徐々にあるいは急速に悪化します。意識がなくなったり、窒息したりする危険性もあり、時に顔面の紅潮や吐気、腹痛、下痢などを伴います。軽症例で半日程度、重症例で24 時間以上続くこともありますが、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品が体内から消失すれば症状はなくなります。 注) のみ薬だけでなく、坐薬や外用薬で症状が現れることもありますが、症状の発現までに時間がかかり、医薬品と症状の因果関係が分かりにくいこともあります。 また、アスピリン喘息のうち、その約半数は患者本人も担当医も非ステロイド性抗炎症薬が原因であることに気づいていないと言われています。 アスピリン喘息には特徴があり、以下のような方はアスピリン喘息の可能性が高いとされています。 ・ 成人になってから喘息を発症した方 ・ 女性(男女比4:6程度でやや女性に多い) ・ 通年性の鼻炎 症状(鼻水、鼻づまり)のある方・ 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸(鼻ポリープ)を合併してい る、またはその手術を受けたことのある方・ 嗅覚異常、無嗅覚症(臭いを感じない)の合併のある方 ・ アレルギー検査の結果が陰性(非アトピー型)の方 ・ 季節に関係なく喘息発作が起こる方 ・ 著明な末梢血好酸球増多(一部の血球の増加)がみられる場合 2.早期発見と早期対応のポイント 「息をするときゼーゼー、ヒューヒュー鳴る」、「息苦しい」などの症状に気づいた場合で、医薬品を服用している場合には、医師に連絡して、すみやかに受診(可能な限り救急外来)してください。受診する際には服用した医薬品をお持ちください。なお、喘息の治療中で、あらかじめ、吸入や緊急時の医薬品の服用など、指示された処置がある方は、まずそれをおこなってください。 喘息と診断されたら、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)過敏症を合併していないか、主治医に検討を依頼して下さい。アスピリン喘息の可能性がある場合は、非ステロイド性抗炎症薬の服用を避けてください。その他にも避けるべき医薬品などがありますので、医師の指導を受けてください。 |
| 1.早期発見と早期対応、予防のポイント 成人気管支喘息の中にはアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用をもつアスピリン様薬物=非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidalantiinflammatory drugs, NSAIDs)を投与されることにより、喘息発作を主体とする激しい過敏反応が誘発される患者群が存在する1)。 一般にアスピリン喘息と呼称されるが、アスピリンの他にほとんど全てのNSAIDs で過敏反応が誘発されることを忘れてはならない。 アスピリン喘息患者には、アラキドン酸代謝経路上あるいはアラキドン酸代謝産物が関わる生体反応に何らかの異常があり、それがNSAIDs によるCOX 阻害(おそらくCOX-1 阻害)で顕在化し、過敏反応として現れてくるものと考えられる。 過敏反応のトリガーとしては、防御因子としてのプロスタグランジンE2(PGE2)の減少というステップが重要であり、最終メディエーターとしてはシステイニル・ロイコトリエン(cysLTs=LTC4,LTD4,LTE4)が重要な役割を演じているものと考えられている2)。しかし、その間の機序(関与する細胞やメディエーターなど)に関しては不明な点が多い(図1)。 アスピリン喘息は成人喘息の約10%を占めると言われているが、その4 割は潜在しており、不幸にしてNSAIDs を投与されることにより初めて過敏症をもつことが明らかとなる5)。その際に患者に重大な健康被害の発生する恐れがあり、気管支喘息患者にNSAIDs を投与する際には注意が必要である。アスピリン喘息は鼻茸(鼻ポリープ)、慢性副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔疾患を合併することが多く、昔から喘息、アスピリン過敏、鼻茸はアスピリン喘息の3主徴といわれてきた。確かに他のタイプの喘息と比べると鼻・副鼻腔疾患の合併頻度が高いが、3 者の関連性については明らかでない。 NSAIDs による不幸な事例を回避するだけでなく、適切な管理により喘息を良好にコントロールするためにも、潜在しているアスピリン喘息を可能な限り正しく認識しておく必要がある。 |
| (1)アスピリン喘息患者にNSAIDs で発作を誘発しないために: 潜在症例を見出すためのポイント アスピリン喘息はやや女性に多く、ほとんどが20 歳代後半から50 歳代前半に発症する。小児喘息の既往を持つ者は少ない。初診時(確定診断前)には重症者が6 割を占めるが、確定診断されて自己管理を指導すると軽症化する症例が多い。ただし、副腎皮質ステロイド依存症例が半数近くを占め、他のタイプと比べるとやはり重症者が多い。 ある報告では、慢性鼻炎を持つ者が84%を占め、しかも鼻症状の重いものが多いとされ、また鼻茸(鼻ポリープ)は72%の患者にみられるが、非アスピリン喘息にも8%程度の頻度で認められ、結局鼻茸を合併する喘息患者の約半数がアスピリン喘息であるといえる。慢性副鼻腔炎はほとんど全て(97%)のアスピリン喘息患者に認められるが、非アスピリン喘息患者も30〜40%が慢性副鼻腔炎を合併しており、アスピリン喘息を診断するための所見としては特異性に欠ける。嗅覚障害を合併する頻度が高いのもアスピリン喘息の特徴である。 末梢血中の好酸球比率は他のタイプの喘息と変わらないが、副腎皮質ステロイドやβ 刺激薬を使用する前には好酸球が多い症例もみられる。アトピー型喘息を合併する症例が2 割程度存在するために、一部血清IgE 値の高い症例がある。 以上のように、鼻・副鼻腔疾患の合併頻度が著しく高いという特徴などがあり、ある程度アスピリン喘息を疑うことはできるが、確定診断のためには負荷試験が必要である。 複数の特徴が揃えば、明らかなNSAIDs 過敏歴がなくても、とりあえず、アスピリン喘息として扱うことが適当である。NSAIDs を副作用なく服用できたことが確認できたとしても、それが鼻・副鼻腔症状や喘息を発症する以前の場合、その後のアスピリン耐性(安全性)を担保するものではない。NSAIDs過敏性は後天的に獲得されるものであり、通常は鼻・副鼻腔症状や喘息症状の出現と同時か数年遅れて明らかとなるためである。 以上のように,NSAIDs による過敏症の既往の確認と臨床像からアスピリン喘息の可能性を考えることが予防にとって極めて大切である。 (2)喘息患者にNSAIDs を投与する際の注意と問題点 @ NSAIDs による発作の誘発歴がある場合 病歴上NSAIDs による発作の誘発歴があっても、実際にはそのうちの20〜30%はアスピリン喘息ではないとされている7)。自然増悪や、同時に服用した抗菌薬などに対する過敏反応をアスピリン喘息と誤診したものである。しかし、負荷試験をしない限りは確定することが出来ないため、アスピリン喘息として扱うことになる。解熱消炎鎮痛薬のうちCOX 阻害作用をもたない塩基性薬剤を考慮する。 なお、選択的COX-2 阻害薬(rofecoxib,celecoxib)8,9)は日本においては販売されていない(平成18年3月時点)。 A NSAIDs の服用歴がない場合 上に述べた臨床像を参考にする。X 線写真を含めた耳鼻科的診断で副鼻腔炎が否定でき、その他のアスピリン喘息の特徴がなければ、アスピリン喘息を否定しても良いと思われる。 B 喘息発症前にNSAIDs を副作用なしに服用できた場合 多くのアスピリン喘息患者は、喘息発症前にはNSAIDs を服用可能である。NSAIDs 過敏性は後天的に発現してくるものであり、喘息の発症と同時か喘息より先に現れることの多い鼻炎・副鼻腔炎の発症と共にNSAIDs 過敏性を獲得するようである。したがって、喘息発症前の状況は参考にはならず、上記のAに準じて対処する。 C 喘息発症後にNSAIDs を副作用なしに服用できた場合 ほとんどのアスピリン喘息患者は、喘息の発症時にはすでにNSAIDs 過敏性を獲得している。したがって、このようなケースではアスピリン喘息を否定しても良いと思われる。 (3)NSAIDs による過敏症状の早期診断のポイント NSAIDs 使用後の急激な喘息発作と鼻症状の悪化(鼻汁や鼻閉)は本症を強く疑う。ただし、以下のような場合は、NSAIDs による過敏症状でない可能性を考える。 a) 誘発症状出現のタイミングが合致しない場合 b) 発作が軽い場合 c) 鼻症状を伴わない喘息発作だけの場合 注射薬、坐薬>内服薬>貼付薬、塗布薬の順で症状が早くかつ、強く起こることを認識する。またNSAIDs を含んだ点眼薬も原因となりうることを念頭に置く。 (4)早期対応のポイント @ 基本的には通常の急性喘息発作に対する対応と同じであるが、エピネフリン(アドレナリン)の筋肉内注射、皮下注射が有効であることと、副腎皮質ステロイドの急速静注は危険であることを十分に理解しておく(注)。 (注)静注用副腎皮質ステロイドにはコハク酸エステル型(ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロンなど)とリン酸エステル型(デキサメタゾン、ベタメタゾンなど)がある。このうち、コハク酸エステル型のものをアスピリン喘息に急速静注すると高頻度で喘息発作の誘発や喘息症状の増悪がみられる11)。リン酸エステル型の製剤はそのような危険性は少ないが、溶液にパラベン(パラオキシ安息香酸エステル:防腐剤)や亜硫酸塩(安定化剤)が含まれている場合には、これらで一部の患者に症状の増悪がみられる。急速静注を避ければそのような危険性は少なくなる。経口ステロイドにはこのような危険性はない。 A NSAIDs 使用後数時間は急速に症状が悪化しやすいことから、迅速な対応が必要である。 B まずSpo2 をモニターし、十分な酸素投与をし、0.1%エピネフリン(アドレナリン)筋肉内注射(0.1〜0.3 mL)を試みる。エピネフリン(アドレナリン)は皮下注射よりも筋肉内注射のほうが即効性がある。 C その後、末梢静脈を確保する。 D 重症発作の場合は、救命救急施設へ搬送する。 E エピネフリン(アドレナリン)は、喘息症状だけでなく、鼻、消化器、皮膚などすべてのNSAIDs 過敏症状に奏効するため、積極的に用いる。禁忌でなければ2〜3 回繰り返し用いても良い。 F 副腎皮質ステロイド+アミノフィリンは通常の喘息発作と同様に点滴で用いる。特に静注用ステロイドは、その急速投与で発作の悪化をきたしやすいため急速静注してはいけない。 G 鼻閉や顔面潮紅、皮疹を認める症例では、抗ヒスタミン薬の点滴内追加も考慮する(これらの症状の発症にはヒスタミンも関与するため)。 H 内服可能であれば、ただちに抗ロイコトリエン薬を内服させる。 I 最初の数時間を乗り越えれば、原因NSAIDs の薬理学的効果の消退とともに発作も改善してくる。 (5)患者側のリスク因子 普段の喘息のコントロールが不十分な例や喘息発作を繰り返している重症例が NSAIDs で誘発された場合は、非常に重篤な発作につながりやすい。 (6)原因薬に関連したリスク因子 @ 坐薬や注射薬は急激な発作をまねきやすい。 A 解熱鎮痛効果の強い薬剤、COX-1 阻害作用が強いNSAIDs(インドメタシンやアスピリン)は重症発作を誘発しやすい。 B 長時間効果のあるNSAIDs では、誘発症状が遷延化する。 |
| 副作用の概要 (1) 自覚症状 原因となるNSAIDs 服用から通常1 時間以内に、鼻閉、鼻汁に続き、咳、息苦しさ、時に嘔気や腹痛、下痢などの腹部症状が出現する。 (2) 身体所見 NSAIDs 使用後、1 時間以内に、鼻閉、強い喘息発作や咳嗽を認める。誘発症状が強い例では、頸部から顔面の潮紅、消化器症状を認めやすいが、皮疹は少ない。過敏症状は軽症例では、約半日、重症例では24 時間以上続くが、症状のピークは、原因となるNSAIDs の効果発現時間である。ただし血管浮腫などの皮疹例は、その発現が遅れ、持続も長い。 (3) 臨床検査成績 急性期には通常の検査で行うべき項目はなく、急性喘息発作同様に治療が優先される。喘息発作が重症であるため、動脈血の炭酸ガス分圧の上昇に注意する。過敏症状に関与する主たるメディエーターは、cysLTs であり、その代謝産物である尿中LTE4 の著増を認める。 (4) NSAIDs 過敏性獲得機序 現時点では、不明である。家族内発症はまれである。 (5) NSAIDs 過敏反応の機序 PG 合成酵素であるCOX-1 が阻害されることにより過敏症状が誘発される。 すなわち,COX-1 阻害で内因性のPGE2 が減少し、何らかの機序によりマスト細胞が活性化され、cysLTs の過剰産生が生じ、過敏症状が発現すると考えられている。したがって、COX-1阻害作用の強いNSAIDs ほど過敏症状を誘発しやすく、かつ誘発症状は強度である。 (6) 薬剤ごとの過敏症状の差 @ 解熱鎮痛効果の強い薬剤、すなわちCOX-1 阻害作用の強いNSAIDs ほど激烈な副作用を生じやすい。 A 吸収の早いNSAIDs ほど急激な過敏症状をもたらす。 B NSAIDs のもつ共通の薬理作用であるCOX-1 阻害により生じる副作用のため、原因となるNSAIDs に化学構造式上の共通点はない。 (7) 副作用の発現頻度 アスピリン喘息は例外なくNSAIDs で過敏症状を呈する。 (8) アスピリン喘息の頻度 成人喘息の約10%とされるが、喘息が重症になるほど頻度は高まる。対象母集団によって頻度は異なり,以下のようにまとめることができる. @ 小児喘息患者:まれ A 思春期発症の喘息患者:少ない B 成人発症の喘息患者:約10% C 重症成人喘息患者:30%以上 D 鼻茸および副鼻腔炎を有する喘息患者:50%以上 |
| NSAIDs 過敏(アスピリン喘息)の診断手順 |
| (1)NSAIDs に関係したと思われる喘息発作の判別(鑑別):以下の4点を満たせばNSAIDs 過敏(アスピリン喘息)と確定してよい。 @ COX-1 阻害作用をもつNSAIDs 投与後の喘息発作 A 鼻症状(鼻閉、鼻汁)悪化を伴う。 B 中発作以上の喘息発作である。 C NSAIDs 投与から1〜2 時間以内に発作が始まっている(ただし貼付薬と塗布薬は除く)。 (2)NSAIDs による負荷試験 NSAIDs 過敏症に関する病歴は不確実であり、偽陽性や偽陰性が少なくない。確定診断にはNSAIDs を用いた負荷試験が必要になる。本邦ではスルピリンあるいはトルメチンを用いた吸入負荷試験が行われることが多い。吸入負荷試験は実施に要する時間が短く、全身性の過敏反応を起こすことが少ないという利点があるが、気道以外の症状が誘発されにくいし、非特異的な気道刺激による反応が出やすいという欠点をもつ。 一方、内服負荷試験はNSAIDs の通常の投与ルートに沿った負荷方法であるが、実施には数日を要し、全身反応の惹起される危険性が少なくない。 何れにしても過敏症状を誘発することになり、有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、最大限の注意を払って実施されるべきである。 |
| 判別(鑑別)が必要な疾患 (1)たまたまNSAIDs を使用していた際の喘息発作 常に鑑別が問題となるが、通常は、3.(1)のA、B、Cを満たさないことが多い。 (2)NSAIDs アレルギー 特定のNSAIDs に対してのみアレルギー症状を発現する場合を指す。過去に原因となるNSAIDs の使用歴があり、感作された結果生じるアレルギー反応である。誘発症状はアナフィラキシー症状や皮疹が主体となるが、もともと気道過敏性を有する例では、喘息発作も誘発されるため、鑑別は難しい。 (3)皮疹型NSAIDs 不耐症 アスピリン喘息と同じく、COX-1 阻害作用の強いNSAIDs で蕁麻疹/血管浮腫を生じるが、気道症状は少ない。 |
| 治療方法 | |
| 急性期 (NSAIDs 誘発時) |
通常の急性喘息発作と同様であるが、急激に悪化するため、以下の治療を順番に迅速に行う。救急対応や入院が不可能な施設では、以下の@、Aを行った後に専門施設に転送する。 @ 十分な酸素化 A エピネフリン(アドレナリン)の早期および繰り返しの投与(筋肉内注射) B アミノフィリンと副腎皮質ステロイドの点滴ただし、ステロイドの急速静注は禁忌。またステロイドはリン酸エステルタイプのものを用いる。 C 抗ヒスタミン薬の点滴投与 D 抗ロイコトリエン薬の内服(可能ならば) |
| 慢性期(長期管理) | @ 通常の慢性喘息と同様、吸入ステロイド薬が基本となる。 A 他のタイプの喘息と比べて、本症に比較的有効性が高いのは抗ロイコトリエン薬、クロモグリク酸ナトリウムである。 B 鼻茸や副鼻腔炎の治療(内視鏡下手術、点鼻ステロイド薬)は喘息症状も安定化させる。 C 不注意や誤ってNSAIDs が投与されることを防ぐために、病状説明書や患者カードを携帯させる |
| 6.典型的症例概要 【症例1】80 歳代の男性 7年前に高血圧を指摘され、降圧薬を内服中である。喫煙歴は15 本/日× 67年間。2001 年5 月頃より体重減少がみられ、9 月に胸部X線写真で左中肺野に異常陰影を指摘され、検査・加療目的で9 月に入院した。超音波下経皮的生検で肺扁平上皮癌と診断。病期分類ではcT2N1M0、stage IIB で、heavysmoker、間質性肺炎、陳旧性肺結核、腎機能低下(24hrCcr. 38)であり、治療として放射線療法を選択した。胸部照射60Gy を施行し治療効果はpartialresponse(PR)であり、退院となった。 外来通院中に腫瘍が再増大し、2002 年8 月よりゲフィチニブの服用を開始した。しかし下痢による消化器症状が強く服用18 日目にはゲフィチニブの服用を中止していた。服用中止2 日目に朝方のトイレ歩行後に呼吸困難を自覚し、服用中止3 日目には呼吸困難が増悪し意識障害もみられ、救急車で来院し入院となった。 入院時の検査所見は、WBC 10,800 /μL(neut 87%、 eos 1%、 lymph 10%、mono 2%)、RBC 264X104 /μL、Hb 7.6 g/dL、PLT 246X103/μL、TP 4.7 g/dL、Alb 2.7 g/dL、AST 246 IU/L、ALT 245 IU/L、LDH 1408 IU/L、BUN 47 mg/dL、Cr 1.4 mg/dL、CRP 17.2 mg/dL、動脈血液ガス分析は酸素3L の吸入下でpH7.319、Pao2 74.0 Torr、Paco2 50.0 Torr、HCO3- 25.0 mmol/L、Sao2 91.5%であり、低酸素血症を伴う多臓器障害が考えられた。また肺障害のパラメーターである血清KL-6 は、770 U/mL から1,488 U/mL へと、SP-D は362 ng/mLから705 ng/mL(いずれも7 月上旬、服用中止3 日目の採血結果)へとゲフィチニブの投与後に急激な上昇を示した。ゲフィチニブ投与前後の胸部X線写真とCT 画像を図1 と図2 に示したが、投与前は正常と考えられた肺野を含めて、投与後には両側の全肺野にびまん性のスリガラス陰影が拡がっていた。ステロイドパルス療法を施行するも、呼吸不全が進行し入院3日目に死亡した。 剖検により得られた肺の病理組織では、右上葉肺にはびまん性肺胞障害(DAD)の浸出期(図3A)、左上葉肺にはDAD の増殖期(図3B)が主にみられた。また両側下葉には蜂巣肺病変が散在していた。当症例は、肺線維症が既存にあり、ゲフィチニブによる肺障害を来したものである。病理的にはDAD が局所的にかつ経時的に発症したものと判断される。ゲフィチニブによる肺障害は、重篤な例はDAD が本態であるが、当症例のように臨床像はかならずしも典型的な急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を示さず、画像的にも間質性肺炎的なものがみられることも多い。 |
| 【症例2】 70 歳代の女性 乳癌の再発肝転移および鎖骨上窩リンパ節転移に対してドセタキセル+ゲムシタビン19)の化学療法にG-CSF も併用され治療中であった。 入院5日前より呼吸困難を自覚していた。4 年前に乳癌で右乳房切除術を施行され、術後局所に放射線療法を施行された。手術の2 年後に肝転移および鎖骨上窩リンパ節転移が再発し、シクロホスファミド+ミトキサントロン+5-フルオロウラシル(5-FU)の化学療法を施行され部分寛解となった。5 ヶ月前に腫瘍が再度増大し、ドセタキセル 75 mg/m2, day 1+ゲムシタビン 800mg/m2, days 1 and 8 を3 週間ごとに投与する二次化学療法を開始した。2 コース目にグレード3 の好中球減少を認めたため、両薬剤の量を25%減量し、day 8 のゲムシタビンは中止し、day 5 からday 10 までG-CSF を併用し、2コース目と3 コース目を施行した。両コースとも薬剤投与1 週間後に咳嗽、軽度の胸部不快感、微熱を認めていた。入院の2 週間前に4 コース目の化学療法が施行された。入院5 日前、第4 コースの10 日目に、激しい咳嗽と呼吸困難を自覚し徐々に悪化した。 入院時に体温37.3℃、血圧120/70 mmHg、脈拍90/分、呼吸数36/分であった。両肺野で広範に吸気時に断続性ラ音を聴取したが、頸静脈怒張や下腿の浮腫などの心不全を示唆する所見は認めなかった。鎖骨上窩リンパ節は縮小し、肝は触知しなかった。動脈血液ガスではPao2 37.4 mmHg、Paco2 37.2 mmHg、pH 7.4、HCO3- 25 mmol/L、Sao2 77%と著明な低酸素血症を認め、胸部X 線写真では両側びまん性の浸潤影を認めた。心電図は洞性頻脈で心エコーでは左室の機能は良好で、駆出率は70%、左室拡張末期径は41 mm と正常であった。WBC 8,000/μL、Hb 12.2 g/L、Plt 12.6×104 /μL、LDH 500 IU/L でその他の生化学検査値はほぼ正常であった。CA15-3 は60 U/mL から48 U/mL へ低下していた。喀痰の細菌、抗酸菌の塗抹および培養検査、血液培養、各種日和見感染症の血清学的検査結果は陰性であった。呼吸状態が不良のため気管支鏡検査は施行できなかった。薬剤によるALI/ARDS と考え、プレドニゾロン 50 mg を1 日2 回点滴し、利尿薬フロセミド20 mg を静注した。第2 病日には臨床症状が改善し、第3病日には胸部X 線写真の浸潤影が改善した。プレドニゾロンは漸減し、第13病日に動脈血液ガスでPao2 76.8 mmHg、Paco2 36.0 mmHg、pH 7.39、HCO3-23 mmol/L、Sao2 90.5%まで改善し退院した。 |
| 7.その他早期発見・早期対応に必要な事項 (1)輸血関連急性肺障害(TRALI)について TRALI は、輸血中あるいは輸血後6 時間以内(多くは1〜2 時間以内)に起こる重篤な非溶血性輸血副作用である。その本態は非心原性肺水腫であり、ALI/ARDS の基礎疾患となりうる病態である。臨床症状及び検査所見では、呼吸困難、低酸素血症、胸部X 線写真上の両側肺水腫影のほか、発熱、血圧低下を伴うこともある。発症要因に関しては、輸血の血液中あるいは患者の血液中に存在する抗白血球抗体が病態に関与している可能性があり、その他製剤中の脂質の関与も示唆されている。臨床の現場でTRALI の認知度が低いことや発症が亜急性であることから、見過ごされている症例も多いと推測される。TRALI の場合には、心不全の治療に有効な利尿剤はかえって状態を悪化させることもあるため、治療に際しては、輸血の過負荷による心不全(volume overload)との鑑別は特に重要である。 TRALI の治療に特異的なものはないが、酸素療法、人工呼吸管理を含めて早期より適切な全身管理を行う必要がある。なお、当該疾患が疑われた場合は、血漿中の抗顆粒球抗体や抗HLA 抗体の有無について検討する。 (2)急性間質性肺炎(AIP)とALI/ARDS との鑑別 原因が不明である特発性間質性肺炎(IIPs)の中に急性に発症する急性間質性肺炎と呼ばれる病態がある。薬剤性肺障害の中にもAIP と類似の病態を呈する場合がある。AIP は、別名、idiopathic ARDS とも呼ばれ、ALI/ARDSとの鑑別が困難な事が多いが、鑑別点として以下が挙げられる。 ALI/ARDS: ・ 両側胸水を認めることがある。 ・ 胸部で水泡音を聴取する。 ・ 気管支肺胞洗浄液(BALF)で好中球の割合が高い。 AIP: ・ 胸部で捻髪音を聴取する。 ・ 比較的早期から牽引性気管支拡張像を認める。 ・気管支肺胞洗浄液(BALF)でしばしばリンパ球の割合が高い。 (3)ALI/ARDS の疾患感受性 最近、angiotensin converting enzyme (ACE)のI/D 遺伝子多型がALI/ARDSの発症・重症化に関係していると報告23)された。Insertion (I) 、deletion (D) アリルは、各々、ACE 活性を低下、上昇させる。ACE 活性の上昇はangiotensinII の活性を高め、肺血管の収縮やリモデリングを惹起すると考えられている。ARDS96 症例をICU 入室の非ARDS症例、健康人などと比較検討した結果、DD 型ではARDS を発症する頻度が高く、予後が不良であった。今後もこの方面の研究の発展が望まれる。 |