| 副作用の概要 |
| (1)症状 |
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表2の薬剤使用により急性に生じる頭痛 「一酸化窒素(NO)供与体誘発頭痛」および「ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬誘発頭痛」では、拍動性の頭痛を呈することが多い。
また「一酸化窒素(NO)供与体誘発頭痛」のうち「遅延型一酸化窒素供与体誘発頭痛」は健常者で起こることはまれであるが、片頭痛患者では前兆のない片頭痛発作を、緊張型頭痛患者では緊張型頭痛を、群発頭痛患者では群発頭痛発作を引き起こすとされている。薬剤使用後急性に起こる頭痛の大部分は表2の3).
「その他の適応症に使用される薬物による急性有害事象としての頭痛」であるが、頭痛の特徴についての記載は少なく、ほとんどが鈍く、持続性、頭部全体、中等度~重度の痛みとされている。慢性の薬剤使用により生じる頭痛のうち「薬物乱用頭痛(MOH)」は、片頭痛や緊張型頭痛の特徴をもつ頭痛が、ほぼ毎日のように起こり、薬剤に対し抵抗性であることが特徴とされる。頭痛の性状・強度・部位は一定しないことが多い。わずかな知的あるいは身体的活動により引き起こされがちで、日常生活は大きな制限を受ける。トリプタン系薬剤乱用による
MOH では、頭痛の性質として従来からある片頭痛の重症化や頻度の増加としてあらわれることが多い。さらに表3に示したように、エルゴタミン製剤や鎮痛剤に比べて少ない服用回数でかつ早くMOH
に至りやすい傾向があるのも特徴とされている。また、「慢性薬物使用による有害事象による頭痛」では、薬剤誘発性頭蓋内圧亢進の病態から、頭痛とともに複視、視力障害を認める症例が報告されている。 |
| (2)発生機序 |
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頭痛に関与する主な部位は頭蓋内血管および硬膜である(図1)。
- 硬膜領域では硬膜のほか、硬膜動脈、頭蓋内静脈洞で痛覚を感受する。
- また内頸動脈、中大脳動脈および前大脳動脈の近位部など脳底部の主幹動脈では痛みを感じ、その刺激は同側の眼周囲、前額、側頭部に放散痛を生じる。
- 椎骨脳底動脈、後下小脳動脈近位部も疼痛を感じ、痛みは耳介後部から後頭部に放散する。
これらの部位から生じる痛覚について頭蓋内のテント上では三叉神経が関与し、テント下の硬膜、静脈洞、硬膜動脈では顔面神経、舌咽神経、迷走神経および上位頸髄神経の関与が知られている。なお脳実質は痛覚を感受しない。 |
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図1.頭部痛覚感受部位
(頭部上矢状静脈洞を含むレベルでの冠状断の模式図で赤色は痛覚感受部位を示す)
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薬剤の副作用により出現する頭痛もこれらの部位が関係すると推察されるが、詳細については明らかでない。
「一酸化窒素(NO)供与体誘発頭痛」ではNO が、また「ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬誘発頭痛」では、PDE 阻害により増加するcAMP
ないしcGMP が、脳血管の拡張を誘発し、脳血管や硬膜に分布する痛覚神経が影響を受け、頭痛が生じるのではないかと考えられている。
「薬物乱用頭痛 (MOH)」は、片頭痛、緊張型頭痛および両者を合併する患者に認められやすいことが知られている。さらに関節リウマチなどの大量に鎮痛剤が使用される疾患においてMOH
が問題となることは極めてまれである。これらより片頭痛や緊張型頭痛の病態そのものが、MOH を引き起こしやすい素因となっていると考えられている。MOH
の発生には、薬剤使用が引き金となって痛みに対する感受性の亢進(感作)が成立することが重要と考えられており、片頭痛に合併した場合には、中脳水道周辺灰白質や延髄縫線核などの痛覚抑制機能を有する部位での機能異常が重視されている。
また、「慢性薬物使用による有害事象としての頭痛」では、薬剤誘発性頭蓋内圧亢進が原因の一つとされている。
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| 副作用の判別基準・判別方法 |
| 1) |
「一酸化窒素(NO)供与体誘発頭痛」では原因となる薬剤として、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、硝酸イソソルビドなどがあげられている。→(表5) |
| 2) |
「ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬誘発頭痛」ではICHD-IIにおいて原因薬剤としてシルデナフィルとジピリダモールが記載されているが、本邦ではシロスタゾールもこの頭痛の原因薬剤となる。→(表6) |
| 3) |
「その他の適応症に使用される薬物による急性有害事象としての頭痛」の原因薬剤としてはアトロピン、ジギタリス製剤、ジスルフィラム、ヒドララジン、イミプラミン、ニコチン、ニフェジピンなどがある。→(表7) |
| 4) |
「薬物乱用頭痛 (medication-overuse headache: MOH)」の原因としてNSAIDs、エルゴタミン製剤、トリプタン系薬剤、オピオイドがICHD-II
ではあげられている。それぞれの薬剤がMOH 診断基準のサブフォームに分類されているが、本邦では、オピオイドが薬物乱用頭痛の原因薬剤となる可能性は少ない。→(表8) |
| 5) |
「慢性薬物使用による有害事象としての頭痛」では原因薬剤として蛋白同化ステロイド、アミオダロン、炭酸リチウム、ナリジクス酸、甲状腺ホルモン、テトラサイクリンまたはミノサイクリンなどがあげられる。これらの薬剤の長期使用により起こる合併症として認識されている。→(表9) |